小学校の英語授業でネイティブな発音を簡単にとりいれる方法
新学習指導要領への移行措置にともない、小学校中学年からへと広げられた外国語の授業。英語を専門に勉強していない先生にとっては、子どもたちを前にスラスラと英語をしゃべって授業することに、戸惑いや負担を感じている方も少なからずいることでしょう。そんな困っている先生にお薦めしたいのが『新版 うたって遊ぼう 小学生の英語の歌』(小学館)です。著者の一人、永井淳子先生に、誰でもできる英語の歌指導のアイディアをお聞きしました。
永井淳子(ながい・じゅんこ)さん
東京都市大学付属小学校 英語科講師。青山学院大学 恵泉女学園大学 非常勤講師
目次
最も重要なのは「英語らしい音声」を身に付けさせること
―今回の新版では、小学校3・4年生から必修化される英語の授業にぴったりの曲が掲載されています。本書の特徴はどんな点にありますか?
永井 コンセプトは「歌って遊ぼう」です。歌遊びを楽しみながら英語表現にたっぷり親しむことができます。掲載している曲は、英語圏の子供たちに歌いつがれ、遊びつがれてきた伝統の歌を厳選し、歌ごとに、楽譜、歌詞と意味、指導のポイントなどを日本語で紹介しています。
付属のCDには、標準的で聞きやすい発音の音源を全28曲とカラオケ6曲を収録しました。また、曲に合わせた振り付けやゲームなど、どの歌をどのように活用して、どんなことが学べるのかをかわいいイラストや日本語で具体的に解説しているので使いやすく、CDをかけてすぐに活動することができるのがポイントです。
これまでもいろいろな英語の歌の本が出ていますが、英語で解説されているものもあり、理解しづらいと思います。日本語でしっかり活動内容が書かれたものが現場の先生方には必要だと思いました。
―どのような使い方が小学校の英語学習として有効でしょうか?
永井 小学校の英語で大事にしたいのは、子供に英語の自然なリズムやイントネーションといった「英語らしい音声」を身につけさせることです。始めから単語を一つずつ正確に聞き取らせ、言わせようとようとするのではなく、英語のフレーズ、音の流れを丸ごと感じとらせたいと思います。
例えば、「If youʼre happy and you know it」と歌うところでは、「イフ・ユー・アー・ハッピー・アンド・ユー・ノウ・イット」と単語を一つひとつ区切ってはうまく歌えません。何度もフレーズ全体を聞く中で、リズムを感じながらだんだんと歌えるようになっていきます。
このような英語らしいリズムや音声を子供に獲得させるに、歌は非常に効果的です。
歌を通して英語特有の語順や文法にも自然となじんでいく
掃除の時間や休み時間にCDをかけておくと、自然に子供たちは歌を覚え、自分が歌えるところを口ずさむようになります。授業前に曲をかけておくのもよいでしょう。歌は気持ちを和やかにするので、リラックスして授業に臨めるのではないでしょうか。
子供たちが歌いにくいような箇所があれば、授業で先生がしっかり歌ってみせたり、そこだけCDを繰り返しかけたりするのも有効でしょう。先生も一緒に練習する姿を見せ、子供たちと楽しみながら歌いましょう。たっぷりと聞かせる中で、子供たちはいつの間にか自分で上手に歌えるようになっていきます。
歌を聴いていると、メロディーと一緒に英語のフレーズを覚えられるので、英語の語順への気づきにもつながります。歌詞には過去形、進行形も出てきます。歌を通してそのような表現に出合っておくことは、後々の英語学習にも役立つでしょう。
久埜百合/監修 永井淳子・粕谷恭子/著 価格:2,500円+税
ISBN978-4-09-105071-7
https://www.shogakukan.co.jp/books/09105071
英語圏の子どもたちに歌いつがれ、遊びつがれきた伝統の歌から、新学習指導要領に応じて、小学校の英語の授業にぴったりの28曲を厳選。歌ごとに、楽譜、歌詞と意味、指導のポイントなどを解説しています。CDには、標準的で聞きやすい発音の音源全28曲とカラオケ6曲が収録されています。どの歌を、どのように活用して、どんなことが学べるのか具体的にわかるので、授業で子どもたちと歌ってみたくなる曲がすぐに見つかります。
●これと関連したインタビュー記事が「EDUPEDIA」でも配信されます。
『教育技術』2019年4月号より