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高学年の学級開きは、荒れ予防のシステムを仕込む!

2019/3/18

小学校高学年の学級開きは、難しいものです。中学年のときにウケたとっておきのネタを披露しても、シーン……。かといって、真面目な所信表明だけでは退屈そう。高学年の学級開きからの一週間は、その後の学級経営の命運を左右する大切な時期なだけに、悩んでいる先生も多いことでしょう。

そこで、高学年経験も豊富で、笑顔あふれる学級開きを提唱する兵庫県芦屋市立公立小学校主幹教諭の金川秀人先生に、自然な形で子どもの信頼を勝ち取り、荒れを予防するシステムを仕込む方法を、伝授していただきました!

鏡に向かって口角を上げる先生

≪1日目≫ 第一印象で信頼をつかむ!

座席と名前を黒板にそらで書いて見せる

「笑顔あふれる学級開き」をするなら、まず先生の「笑顔」が大切です。

お笑い番組を見て大笑いしている笑顔、大学時代の仲間と騒いでいるときの笑顔、SNSに載せている笑顔です。その笑顔で職員室を出ましょう。

子どもたちの座席については、4月当初は名前と顔を一致させるためにも、出席番号順がよいでしょう。始業式前日に机に子供たちの名前を書いた紙を貼っておく、その場で名前を呼んで座らせていく、事前に黒板に書いておく、など、座席を知らせる方法はいろいろとありますが、私のとっておきは……


「その場で座席と子供の名前を黒板に書く」

というものです。

しかも、何も見ないで書くのです。何度も事前練習が必要ですが、これをすると高学年でも子どもはものすごく驚きます。「先生は、自分たちの名前を完全に覚えてくれている!」と、教師の本気が子供たちにも伝わり、教師の信頼感はアップします。

何も見ないで、子どもの名前を次々と書いていく先生

また、黒板にメッセージを書いておくこともお勧めです。

「進級おめでとう! 一緒にがんばっていきましょう。五年○組担任」

など、色チョークを使ってカラフルに飾り枠なども入れておくと、教室が明るくなります。笑顔は明るい教室から生まれます。

自己紹介はクイズ形式で

次に、先生自身の自己紹介です。黒板に名前を書くのが定番ですが、丁寧に美しく書きましょう。漢字の横にふりがなもつけます。先生の板書の字を初めて見せるのですから、とびっきりの字を書けるように準備しておきましょう。

そして、自己紹介。担任の先生がどんなことに興味を持っているのかを子どもたちはとても知りたがります。興味を持っていることから、その人となりが想像できるからです。クイズ形式で紹介すると楽しくなります。

「第一問。先生の好きな色は何色でしょう。1番、赤。2番、青。3番、黄色。1番だと思う人?(先生が手を挙げると、手を挙げて意思表示することが伝わります)2番だと思う人?」

このときに、手の挙げ方をほめるとよいでしょう。また、正解をすぐに言うのではなく、「先生の好きなプロ野球チームの色が○色なので、正解は・・・○番です」 というように、その理由から言うと、じらされる分だけ盛り上がります。

質問は好きな色、好きな歌手、好きな映画、好きな山、好きなお菓子、出身都道府県、人生で一番幸せな出来事、この世で一番おいしいと思う食べ物など、好きなものシリーズがよいでしょう。逆に苦手なものシリーズもありです。

自分をうまくPRして子供たちとの距離を一気に縮めることができたら、次は、教師の所信表明です。しっかりと話を聞こうとしている始業式1日目の今こそ、教師の思いをしっかり伝える大チャンス。始業式前に準備した「ぶれない軸」をここで話します。例えば、私ならこんな風に話します。
「先生が、一番大切にしていることは、『できたか・できていないか』ではありません。『伸びたか・伸びていないか』ということです」

手と手で友の授業
こんな授業を行うこともあります。イラスト/藤井昌子

全ての子供に声をかける

またもう一つ、始業式の日には、クラス全員に声をかけます。初日なのでバタバタして意外と時間がないのですが、教師さえやる気になればできるものです。

「今から、教科書を図書室まで取りに行きます。お手伝いしてくれる人?」
すると、元気いっぱいの半田くんとお調子者の中井くんがサッと手を挙げます。
「半田くん、中井くん、ありがとう。先生、めっちゃ助かるわ」
このように教師がほめるネタをふった上で、食いついてきた子をほめまくります。自分から前に出ようとしない岡田さんには、
「岡田さん、明日も楽しくがんばろうね」
と話しかけるだけでOKです。叱られることもないけれど、積極的に前に出てほめられることがほとんどない岡田さんにとっては、初日から先生に親しく声をかけられることは今まであまりなかったはず。ニコッとした岡田さんにすかさず、言葉をかけ続けます。 実際クラスの中で一番人数が多いのは岡田さんのようなタイプのお子さんです。そのような子がやる気になれば、クラスの雰囲気が一気にプラスの方向に動き出します。学級崩壊とは真逆の方向です。

写真を撮ろう!

新学年になった日の記念に一人ひとりの写真を撮っておきます。印刷して自己紹介カードに貼って使うこともできます。子供の成長は早いものです。高学年らしく成長していくので、始業式と夏休み前後では顔つきも変わってきます。
自己紹介カードを用意しておき、それを記入させている間に撮影をしていくとよいでしょう。自己紹介カードには、先ほど先生自身が話をした「好きなものシリーズ」「苦手なものシリーズ」を書く欄や、一年の目標などを書く欄を作ります。

≪2~3日目 ≫ 学級のシステムづくり

掃除・給食の乱れは学級崩壊に直結

2日目のメインは、学級のシステムづくりです。誰にとっても公平で安定したシステムは子供たちにも安心感を与え、落ち着いた居心地のよい雰囲気をつくってくれます。 この時期に、

・係活動
・日直の仕事
・朝の会&終わりの会の進め方
・給食当番
・掃除当番

などを決めていきます。 事前に先輩の先生や、前年度の担任にどのようにしていたかを聞いておくとよいでしょう。それを踏まえて今年の学年目標や、目指す子ども像に合ったやり方をしていきます。子どもたちに、
「前学年では、どんな係活動がありましたか?」
と、聞いていくと、前学年での係活動の実態がよくわかります。黒板係や電気係のような「仕事としての係」ばかりのクラスもあるでしょうし、その反対に新聞係やマンガ係のような「楽しくするための係」ばかりのクラスもあるかもしれません。ただし、ここでダラダラと時間をかけてはいけません。最終的には教師が次のように言って話を締めます。


「では、みんなの言うとおり、とりあえずこう決めますね。ただし、上手くいかなかったら、もう一度決め直します。それでいいですね」
子供たちの意見を聞いたのにもかかわらず、教師の都合でコロコロ変えられると子供たちは不満を持ちます。それが崩壊への第一歩につながります。だから、「ただし、上手くいかなかったら」という予防線を張っておくのです。

ただし、給食当番や掃除当番については、時間をかけて、子供たちと共通認識を行う必要があります。と言うのも、係活動が機能しなくても学級が崩れることはありませんが、掃除当番や給食当番が機能していない学級は確実に崩れてくるからです。
給食当番では、次の項目を確認します。

1 給食時の机の配置
2 給食時の各自の準備の方法
3 給食当番の準備の方法
4 給食当番が給食を取りに行っているときの教室で待っている子供たちの動き
5 給食の配膳方法
6 「いただきます」のタイミングや方法
7 食べきれなかったものをどうするのか
8 嫌いな食べ物はどうするのか、アレルギー食品のある子への対応
10 「おかわり」の方法
11 全部食べ終わったらどうするのか
12 食器の返却のタイミングと方法
13 「ごちそうさま」のタイミングや方法
14 給食当番の食器等の返却方法など

(学校全体で方法が決まっていることもあります。職員会議での給食指導の提案を確認しましょう)

給食のおかわりルールをこどもたちと決める先生

「どうぞ」「ありがとう」でプリントを配る!

学級では毎日プリントなどを、列ごとや班ごとに配る活動があります。その時にほんのちょっとした言葉も一緒に配る活動を付け加えさせます(故・有田和正教諭の実践です)。プリントを次の人に渡すときに「どうぞ」と言って渡します。受け取った人は「ありがとう」を言います。そして次の人にまた「どうぞ」と言って渡します。これだけで学級にあたたかい空気が生まれます。学級開きの時にこの活動を続けていくことを話しておきます。

≪4日目以降≫ 楽しいことを仕組む

授業にも楽しみを取り入れ絆を深めていく

学級開きからの3日間はやるべきことがたくさんあり、あっという間でしょう。楽しく遊ぶ時間もなかったかもしれません。しかし、やはり楽しいことは大切。大人もそうですが、楽しさを共有するとお互いの距離がぐんと近づきます。そこで、4日目以降は、クイズ形式、ゲーム形式の授業など楽しいことにどんどん取り組み、教師と子どもたち、そして子どもたち同士の絆を深めていきましょう。

黒板に複雑な線の組み合わせを書き、どんな漢字が隠れているかクイズを出す先生

イラスト/藤井昌子
『小五教育技術』2018年4月号より

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