教育界のレジェンド 鈴木惠子先生の「教師として大切にしたい言葉」

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温かく、生き生きと学ぶ子供たちの姿に魅了され、かつてその後姿を追い求めた先生方が全国にいた、鈴木惠子先生。その授業は、授業名人と称された故・有田和正先生から、「日本一の授業」と評されました。まだ鈴木先生を知らない若い先生方のため、そのweb連載から、珠玉の名言を集めてお届けします。

鈴木惠子(すずき・けいこ) 静岡県藤枝市の元公立小学校教諭。教育委員会指導主事、管理主事、小学校校長等を経て退職。好きなものは花と自然。

学級づくりに関する名言集

珠玉の言葉① 「子供と一緒に、『今を生きること』を楽しんでください」

最近の子供はしらけていて……なんて肩を落とす前に、まず大人が熱中する姿を見せれば、子供だって熱中するのです。
学校の究極の目標は、「生きること」を教えることです。
自分や周囲の人たちのことが大好きだ! と言える子供たちを育てることです。
どうか、率先して授業や遊びや行事に燃えてください。
子供と一緒に、「今を生きること」を楽しんでください。
「燃える」「夢中になる」「熱中する」「楽しむ」ということがどういうことなのか、その素晴らしさを、子供たちに身をもって教えてください。
(連載「教師として大切にしたいこと」第10回より)

珠玉の言葉② 「し~っ! 先生には聞こえるよ!」

ある時から、私は「聞こえません」と言わせるのはやめました。
代わりに、
「し~っ! 先生には聞こえるよ!」
と息を殺し、自分の全神経をちよちゃんの声に集中させる姿を、子供たちに見せるようにしたのです。

そうすれば、何とか聞き取れるものなのです。
聞こうと思えば聞こえる。理解しようと心を寄せれば聞き取れるものなのです。

教師のそんな姿を見て、子供たちも、ちよちゃんが発言する時には、ちよちゃんの方へ身を乗り出し、耳をそばだて、全身全霊で聞き取ろうとする態度を身に付けていきます。

「アッ! 私にも聞こえた!」「僕にも聞こえた!」……となるんです。

「みんなにも聞こえたの? 先生嬉しい!」と喜びます。
(連載「教師として大切にしたいこと」第2回より)

珠玉の言葉③ 聴くことの指導=人間関係づくりだと言っても過言ではありません」

全員が発言者の声に耳を傾けた時の、ピンッと集中した空気の気持ちよさを、まずは子供たちに繰り返し味わわせてください。
「ほら、今全員がまことさんの方を向いて、まことさんの声に耳を傾けたよね! すごく気持ちいいね!」と……授業を止めてでも、その瞬間の素敵な空気を子供たちと共有し、全員の心にインプットしていきます。
聴くことの指導で何より大事なのは、「話す」指導と同様に、「相手の言わんとするところを何とかわかりたいという思い」、「話している相手への思い」を育てることです。
(連載「教師として大切にしたいこと」第8回より)

授業づくりに関する名言集

珠玉の言葉④ 「授業は子供の素晴らしさに気付く時間です」

「大人が手を出し口を出し、子供を狭い大人の手のひらの上だけで活動させている間は、大人が用意した着地点以上のものは出てきません。
でも子供の力って、じつはものすごい可能性を秘めているものです。
子供を信じ、できるだけ黒子に徹して子供に任せることによって、大人が思ってもいなかったような柔らかな発想や、突拍子もない着眼点が生まれ、「ああ、そう来たか!」と、子供から目を開かされることが何度もありました。
授業は子供の素晴らしさに気付く時間なのです。」
(連載「教師として大切にしたいこと」第9回より)

珠玉の言葉⑤ 「教師というのは、たいていしゃべり過ぎているものです」

教師というのは、教えなければ! という責任感が強すぎて、たいていしゃべり過ぎているものです。発問をして、直ちに子供から反応が返ってこずに間(ま)があいてしまうと、教師は不安になったり焦ったりして、どんどん言葉をたたみかけてしまいます。
「授業はあなたたちのものですよ!」と言いながら、教師はしゃべり続けます(笑)。

その間(ま)は、子供自身の中から悩みや問いが生まれたり、思考が動き出したりする大切な時間なのに、……10秒と待つことができないのです。
沈黙が続くその10秒、20秒は、教師にとって、とてつもなく長く感じられるものです。
でも、最初は根比べです。子供との格闘……というより、待てない自分との格闘です。
子供を信じてとにかく待ちましょう。
教師がしゃべらなければ、子供の中から、何とか沈黙を破ろう! 風穴(かざあな)を開けよう! とする声が出てくるものなのです。必ず出てきます!
(中略)
喋り過ぎない、怖い顔をしない、立ちはだからない、……子供たちに授業の主役の座を明け渡す覚悟を「自らの姿」で見せることが、子供たちの授業への姿勢を変えます。
(連載「教師として大切にしたいこと」第6回より)

珠玉の言葉⑥ 「子供たちが互いに生かし・生かされている喜びを実感し合える話合いを」

「喜び」を伴う話合いとは、子供たちが互いに生かし・生かされている喜びを実感し合える話合いのことです。関わりの中で自分の力を発揮する喜び・力を合わせて真理に近づく喜びを実感し合える話合いのことです。(中略)
「自分の考えをわかってもらいたい。」というたった一点、その思いを育てることにより、子供は根拠や証拠を明らかにしたり、自ら言い方を工夫したりして、発言の内容が豊かになり、話合いが活性化されていきます。
(中略)
話すことの指導は、決して「大きな声で言いましょう」とか、「みんなの方を向いて話しましょう」とか、「結論から先に言いましょう」などと、形を指導する事が先ではありません。
思いを育てることによって、それらは後からちゃんとついてくるから大丈夫。大事なのは「相手意識」を育むことです。
(連載「教師として大切にしたいこと」第7回より)

編集・執筆/白石正明(みんなの教育技術編集部)

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