卒業前の学級経営 小6集大成の3月
いよいよ年度末、学級経営も集大成を迎えます。子供たち一人一人が喜びと希望を持って進級、進学していけるよう、ラストスパートです。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・奥山良太
目次
卒業式までに伝えたいこと
卒業式で担任に呼名され、校長先生から卒業証書を手にする子供たち、最後の学級指導を終え、6年間通った小学校を巣立ってゆく子供たち……そんな瞬間に立ち会えるのが、教師の素晴らしさなのではないかと思います。卒業していく子供たち一人一人に、どんな言葉をかけたいと思いますか。最後の学級指導で、どんな話をしたいと考えていますか。
この記事を読んでいる方の中には、初めて6年生を担任している先生もいれば、何度も6年生を担任している先生もいることでしょう。でも、子供たちにとっては人生で1度の小学校の卒業式です。卒業までの残り時間を確認し、子供たちに何を伝えたいか、もう1度考えてみるとよいかもしれません。
何を伝える?
- 学ぶことの意義
- 伝統をつなぐことの意味
- 話し合うことの大切さ
- 中学校生活で大切にしてほしいこと
- 自立することの大切さ
- 礼儀や感謝することの大切さ
- 悩んだときの自分との向き合い方 など
いつ伝える?
- 卒業式の練習が始まる前日
- 最後の学級会の助言で
- 学級活動(3)「中学校に向けて」の中で
- 6年生を送る会の後
- 最後の保護者会で
- 最後の〇〇のとき(委員会、クラブなど)
- 卒業式後の最後の学級指導で など
終わりは始まり
卒業を控えた子供たちは今、どんな気持ちでいるのでしょう。卒業したくないと思っている子、早く中学校に行きたいと思っている子など、様々でしょう。中には希望した進学先ではない中学校へと進学していく子もいるかもしれません。
卒業はリセットです。小学校生活が充実していた子も、そうでなかった子も、全員が1度リセットすることになります。今が充実していても、これから先、辛いことやうまくいかないことは必ずあります。そんなとき、過去を思い出し、「あのころは楽しかった。あのころに戻りたい」と思うのではなく、今の自分には何ができるかを考えられる人であってほしいと思います。
巣立ち行く子供たちに、「終わりは始まりでもあるんだよ」と未来志向の言葉をかけるのはいかがでしょうか。
計画的に! 年度末の学級事務
「行く1月、逃げる2月、去る3月」と言われるように、年度末は1年間の中でも最も忙しく、慌しい時期です。
忙しい年度末だからこそ、計画的に学級事務を行うことが大切です。下のチェックリストを参考に、「いつまでに」「誰が」「何をするのか」を学年で連携しながら計画的に進めていきましょう。
学級じまいに向けて チェックリスト
【学級に関すること】
□学年だよりの作成
□学級だよりの作成
□作品等の返却
□教室に保管している副読本等の返却
□保護者会準備
【卒業に向けて(6年担任)】
□卒業式の指導計画
□卒業証書の筆耕や確認
□卒業アルバム・卒業文集の作成
□卒業プロジェクトの指導
□6年生を送る会の計画・指導
□ PTA との打ち合わせ(卒業を祝う会など)
□卒業記念品の確認
□中学校入学式の祝電・メッセージ作成
□卒業式後の学級指導
【諸表簿の作成や確認】
□通知表の作成
□修了証の作成
□指導要録の作成
□出席簿の確認
□授業時数の報告
□卒業生台帳の作成
□抄本作成、進学先へ送る
□健康診断票の整理・確認
□歯の検査票の整理・確認
□学年会計簿の作成
□保護者への会計報告書類の作成
□学級編成替え
□年間指導計画の見直し
【児童理解に関すること】
□個別指導計画の作成
□次年度担任への引き継ぎ
□中学校への引き継ぎ
□キャリア・パスポートの引き継ぎ
【教室環境に関すること】
□教師用教科書の片付け・点検
□教師用指導書の片付け・点検
□ロッカー、靴箱、傘立ての点検・掃除
□児童机・椅子の点検・掃除
□備品の点検・片付け
□清掃用具の点検
□安全点検
□教室の掃除・ワックスがけ
【その他】
□私物の整理・片付け
□データの整理
□校務分掌の引き継ぎ
□始業式代表児童への指導(5年担任)
□タブレット等のデータ削除・管理
地域や学校によって時期や内容は変わります。学年や管理職の先生方と相談して進めましょう。
イラスト/菅原清貴
『教育技術 小五小六』2022年2/3月号より