卒業式プロジェクトPART2|目的とタイムテーブルを明確に
小学校生活最大で最後の行事である卒業式に向けた卒業プロジェクト。子供たちの手で成功へ導くために、教師として何ができるでしょうか? 忙しい学年末だからこそ、何のために行うのか? という目的意識と、限られた時間を大切に使うための段取りが重要になります。今回は、その具体的な進め方を提案します。
執筆/広島県公立小学校教頭・川原陽子(広島県小学校教育研究会特別活動部会研究部)
監修/広島県公立小学校教頭・寺戸典子(広島県小学校教育研究会特別活動部会研究部)
PART1はこちらからご覧になれます↓
卒業式プロジェクトPART1|ガイドブック作製が成功のカギ
目次
卒業プロジェクト活動成功のポイントQ&A
話し合う時間や打ち合わせの時間が、なかなか取れない……。
<Answer>
給食準備時間や給食時間(ランチミーティング)をうまく活用すると時間が作り出せます。
子供たちの考えを引き出す工夫は?
<Answer>
「企画書づくり」がオススメです。子供たちが考えた活動を実現させるために企画書を作るように促してみましょう。子供たちの考えを共有して、適切なアドバイスができます。ほかの児童と情報を共有することも大事です。
▼企画書テンプレート
たくさんの活動を一度に進めるのが難しいのですが……。
<Answer>
いろいろな人に力を借りましょう。卒業ムービー作成などは、保護者の中に堪能な方がおられることもあり、力を貸してもらえる場合もあります。
3学期の行事あれこれ
「特別授業プロジェクト」成功のポイント
「何のために」を大事に!
その先生との思い出に残る時間を作るために、特別授業をしていただくという趣旨の理解を意識できるようにしましょう。いろいろな場面で、「感謝の気持ちを伝えるための時間である」ということもしっかり伝えるようにしましょう。
下準備をしよう!
あらかじめ、担任が特別授業をしてもらいたい先生(校長先生や、教頭先生、事務の先生、養護の先生、専科の先生、地域の方など)に、得意なことや子供たちとやってみたいことをリサーチしておきましょう。
楽器を演奏できる、趣味で編み物をされる、バドミントンクラブに所属していた、俳句づくりが得意など、子供たちが興味をもちそうなことを題材に授業をお願いできることがあります。内々に話をしておくことで、楽しく思い出に残る時間にできます。
▼茶道のお点前を教えていただく特別授業
お願いの仕方を指導しておく
基本的には、プロジェクト推進メンバーが、特別授業をしてくださる先生との連絡を行いますが、依頼の時や内容の相談に伺った時のお願いの仕方(言葉遣いなど) については、全体で(他のプロジェクトも同様なので)指導しておきましょう。
お礼のメッセージを推敲したり集約したりするのも子供たちに任せて、最後まで自分たちで行えるよう
に支援しましょう。
特別授業タイムテーブル
「チャレンジ受けて立ちますプロジェクト」成功のポイント
趣旨の理解を促す
在校生との思い出に残る時間を作るために集会をするという、趣旨の理解を促すよう工夫しましょう。「仲間と楽しく過ごす」ということを意識できるようにしましょう。
何を受けるかリサーチ
あらかじめ、自分たちの得意なことや好きなことをアンケートでリサーチしておくと活動がスムーズにスタートできます。自分たちは、どんな挑戦を受けることができるのかを整理し、下学年に伝えますが、時間的なことも考えてグループで実施する、代表が受けて立つなどの工夫をすることもできます。
各学級や先生方への周知も子供たちに任せて、最後まで自分たちで行えるように支援するとより自治的な活動になります。
▼「チャレンジ受けて立ちます集会」実施の様子
「チャレンジ受けて立ちます集会」タイムテーブル
チャレンジ受けて立ちますプロジェクトについては「卒業式プロジェクトPART1」もご参照ください!
「簡単プロジェクト」アイデアいろいろ
「準備に時間がかからない」「すぐできて楽しい」など、簡単で誰もが楽しめるプロジェクトをご紹介します。ルールは自治的な活動の範囲で行えること! アイデア次第でいろいろ見つかるはず。
毎日席替えプロジェクト
「いろんな人と隣り合わせになってみよう」をコンセプトに、毎朝席順のくじを引いて、席替えをする。
簡単タイムカプセルプロジェクト
今の自分を表すもの……をメモ付きで、カプセル自販機のカプセルに入れる。
立つ鳥跡をにごさずプロジェクト
掃除の時間にひたすら教室をきれいにする。
コロナ感染症拡大予防のための活動の工夫
集会活動を行う場合
- 体育館で実施する場合、換気に努め、参加者が「密」に ならないようにする。全学年が一堂に会することができない場合は、学年ごとの発表を映像や音声にとって校内放送で流すなど、柔軟に対応する。
- 歌唱の場合は、同一方向を向き、一定の距離を保つようにする。
- 練習やリハーサルは、小グループやパートごとを基本とし、全員で集まって練習する機会を減らす。
- メッセージは、①手紙や寄せ書きにして届ける。②みんなの目に付くところ(階段の横長の垂直の部分など)に掲示する。
*札幌市特別活動研究会の特別活動希望の会のホームページを参考
協力/福岡県公立小学校教諭・柳井文陽 構成/浅原孝子
『教育技術 小五小六』2021年2月号より
卒業まで残り1か月の活動アイデアについてはこちらもご覧ください↓
最後の学校行事「卒業式」までのラスト1か月の活動アイデア