せんせいの時短術 作業効率を上げて時間を作る10のヒント

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マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
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元山形県公立学校教頭

山田隆弘

教職員の現場で「働き方改革」が叫ばれて久しいですね。そこで今回は「時短」術のアイデアをご紹介します。勤務校で仕事をたくさんもっているのに、平気な顔をして仕事をテキパキこなしている先輩はいませんか? そこには必ず時短にかかわるスゴ技が隠れているはずです。ぜひ見習いたいです。作業効率を考えた無駄をなくす技は、早く取り組めばそれだけ、後の教職生活の中で生み出せる余裕の総時間数が違ってきます。

【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~

効率アップには「段取り(見通し)」と環境整備を!

仕事を進めていくための箴言として、昔から「段取り八分、仕事二分」とよく言われます。
優秀な人の働きぶりを見ていると、これを必ず実行しているようです。
先日、わたしの家で、ちょっとしたリフォームを行いました。懇意にしている建築業者さんに依頼をすると、時間をかけて下見をしてくれ、しっかり希望や条件を聞いてくれました。その後業者さんは会社に帰って仕事の計画書、指示書や見積書などを時間をかけて作成し、わたしに確認させてくれました。
それを元に材料や仕事の段取りを職人さんに指示します。
職人さんたちもまた、資材や道具を整然と分かりやすく準備しており、滞りもトラブルもなく、すべての作業が最短の時間で終了しました。
わたしたちの仕事も同じではないでしょうか。
作業の効率を上げるには、まず仕事の見通しを持ち、先輩や上長に相談をするなどして、疑問点をなくします。そして、作業スペースの環境を整え、作業グッズを揃え、資料を整えてとりかかれば、作業そのものは最短の時間で終わるはずです。段取りを面倒くさく感じる人もいるかもしれませんが、「作業を始める前の仕事が大切」と考えて、まずは環境整備から入ってみましょう。

作業効率アップのヒント10選

① きれいに丁寧に書くことをやめると宣言する!
丁寧に文字を書くことは必要ですが、毎日じっくり時間をかけていては膨大な量がこなせません。児童の目に触れるモノは、少なくとも点画、はね、はらいなどはきちんと書きたいですが、あとは「ごめんなさい」でさらさらっと書きます。さらに、日記や自学ノート、授業で使ったカードなどは一応の赤ペンコメントの基準を決めておいてあとは、チェック印、シールなどで代用します。ただし、保護者宛の連絡帳の返信は気をつかいたいです。

② プリント類は多めに早めに印刷する!
かつて、PTA会長を引き受けてくださっていた、印刷所の社長さんと話したとき、こんなことを伺いました。
「印刷部数の発注は、少なめにされる方が多いです。やはり見積もりの金額を少なくおさえたい、という心理が働くからでしょう。しかし、多くの場合、程なくして追加印刷の注文が入ることが多いです。
一回目の発注で多めに印刷枚数をオーダーし、不要になった分を捨てる方が、全体のコストは低いんですよ。わたしとしては追加注文はうれしいですけどね」
そうなんです。学校のプリントでも自分で印刷して不足分をコピーしたり、再印刷したりする方が、時間もコストもかかるのです。流用のきかない印刷物は、必要数+αで問題ありませんが、何年にもわたって使うもの、例えば鑑賞カード、お手紙シート、自学シートなどは、一度にまとめて複数回分を印刷しておくといいです。どうしても余ってしまったら、リサイクルペーパーとして再利用しましょう。

③ 時間帯で仕事内容を変える!
出勤したら、職員で共有しているスケジュール表や時間割などを見ながら、一日のスケジュールを見通しましょう。そして、自分はどこで何をどんなふうにするかイメージをもちます。朝児童が登校する前は集中的に考える仕事、日中は授業のスキマ時間に細かい処理仕事をし、午後は作業的な仕事やコミュニケーションを要する仕事…と内容を変えていきます。勤務の前後は、「耳」を使う仕事をします。電車に乗りながら、また車を運転しながら「耳」は空いているので同時並行の仕事ができます。英会話CD、音楽鑑賞やダンスに使う音楽の選曲、あるいは落語や講演を聴くなど教養を高めるために使うのもいいですね。

④ 仕事をアウトソーシングする!
わたしは、人に仕事を振るのが苦手でした。何をしてほしいか説明するくらいなら、自分でやった方が早いと思っていました。でも、そんなことはないんです。他の誰かに頼める仕事なら、そのための時間を、自分にしかできない仕事に割り当てるほうが、断然良い結果を出します。
「先生のお力を見込んで、ぜひお頼みしたいことがあります。ぜひ助けてください!」
「キミは将来○○(職名・担当名)になるだろうから、この調査をまとめる資料づくりをしておくと、その時生かしていける。今回練習してみよう」
自分が楽をしたいから、ではなく、大変な時には正直に周囲に助けを求めましょう。そして、誰かが困っているときや、助けを求められそうなときは、進んで手助けしてあげましょう、そんな持ちつ持たれつのアウトソーシングができるような職場にしていきたいですね。
また、後輩のせんせいには、一段上の仕事を任せることで、いい経験になるのは間違いないです。

⑤ 多くのキーワードでファイルをつくる!
デジカメを最大限活用し、板書の記録、児童の作品リスト、発表のようす、授業のようすなど、なるべく余さず撮影しておきます。これが後になって、資料として生きてくることが多いのです。ファイルごとに細かな分類をすると時間がかかってしまうので、ファイル名を長く、具体的にします。パソコンの強みを生かして、検索でひっかかるようにするのです。

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など、作成日、ジャンルや実践学年、科目などをファイル名に入れ込み、検索に引っ掛かりやすくしておきます。児童のノートなど同ジャンルで多数のファイルができるものは、フォルダを作って出席番号順でファイルを作ったりしましょう。あとで実践記録をまとめる時や、評価資料、児童の指導記録に大変活用しやすくなります。

⑥ 資料はPDF化しておく!
とっておくべき資料をPDF化して整理しておくと、あとで引き出して活用するのが容易です。たんなる画像ファイルとは異なり、A4判タテなど、印刷しての活用も容易なフォーマットにできるからです。
スマホで撮影したら、PDFに変換する超簡単なアプリもたくさんあります。
こちらも検索でヒットしやすいようなファイル名をつけておくことが、すぐに見つかる賢い整理術につながります。

⑦ 一石二鳥。掲示を児童に任せる!
教室内の掲示コーナーを児童に任せるのもいいですし、図工や書写などの掲示を児童にやってもらうのも一つの手ですね。きちんと貼るという理想より、児童の自主性を養いましょう。学級経営は児童のパートナーシップでぐんと進みます。児童に共同経営者という意識をもたせたいですね。

⑧ ワークテストの〇つけ法を極める!
わたしの父は中学校の教員でしたが、テストを持ち帰って丸つけするのを眺めていたら、隅っこをクリップで留め、一番の問題だけ、二番の問題だけ…というように、ものすごい勢いで作業していました。しかも、自作テストなどは、答えの記号を、アイウエオとかabcdなどの記号をランダムに設定せず、最後に見ると「よくまなべ」になるなど、意味のある言葉が答えになるようにしていました。
ずるい! おもしろい! ○つけ簡単すぎる! でも、これが段取り術なんだなと思いました。ただ、やりすぎると生徒に答えを見破られることも多かったようですが…。

⑨ たまには立って会議をする!
座って会議をすると時間がかかります。企業によっては立ったままの会議もあるようです。持ち時間制にしたり、一案件あたり○分として制限することも大切です。立ち話はメモをしにくいということで、反対される場合も多いかもしれませんが、まずは少人数の、軽い打ち合わせレベルのものから試してはどうでしょうか?

⑩ 開始予定時刻で必ずはじめる!
「○○さんが来ていないのでもう少し待ちましょう」とかいう司会者がいますが、ほんとにやめてほしいです。「時間泥棒」とも言えます。いろいろな事情があることはわかりますが、出席者を待たせるようなことより大事なことはほとんどありませんし、その人がいないと困るというようなことはないです。遅れてきた人は、あとでリカバリーすればいいだけの話です。開始時間を守って会議を始めましょう。

以上、10の「技」をみてきましたが、いくつか実践してみて効果を感じてみていただければと思います。「段取り八分仕事二分」では、作業ツールを整理しておくことが大切なことは言うまでもないですが、わたしは作業スペースと思われるところにいつでも使えるようにグッズを置いておきます。例えば、筆記具です。「丸つけペン」「赤鉛筆」「水性ボールペン」「マーカーペン」「定規」「カッター」などを入れ、その「筆入れ」を同じような状態で数個用意していて各所においておきます。また、ネットにつながなくなった古いPCなどもすぐ使えるようにいろいろなところにおいてあります。一見無駄にみえますが、グッズを分散させておくことも「裏技」と言えるでしょう。

イラスト/したらみ

【参考図書】
総合教育技術増刊「『教師の多忙感』克服マニュアル」(小学館)
教育技術MOOK「学級担任の『多忙感』解消術」(小学館)
現役教師が活用する仕事術(ぎょうせい)
『授業力&学級経営力』<2018年11月号 特集「ホワイト」仕事術>(明治図書)
ムーギー・キム「最強の働き方」(東洋経済)
堀裕嗣「教師の仕事術」(明治図書)
黒川康正「できる人の朝の時間の使い方」(大和書房)
黒川康正「能率が3倍上がる仕事術」(ごま書房)
野口悠紀雄「続『超』整理法・時間編」(中公新書)
中嶋郁雄「仕事がパッと片付く!うまい教師の時間術」(学陽書房)
中嶋郁雄「残業しない教師の時短術」(学陽書房)
玉置崇「スマートに学校を動かす!『超』スクールリーダー時間術」(明治図書)
佐藤正寿「仕事がスイスイ片づく!教師のためのシンプル時間術」(学陽書房)
大前暁政「残業ゼロで、授業も学級経営もうまくなる!若手教師のための「超」時間術」(明治図書)
大前暁政「忙しい毎日を劇的に変える仕事術」(学事出版)
山中伸之「教師のすごいダンドリ術!」(学陽書房)
長瀬拓也「教師のための時間術」(黎明書房)
濱崎仁詩「1日をうまく使う教師の時短術」(ナツメ社)
松尾英明「『捨てる』仕事術」(明治図書)
佐藤正寿「教師のためのシンプル時間術」(学陽書房)


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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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