名言に学び、名言を生かそう~教室での講話にも使える名言集!~
世の中には、「名言」と言われるものがたくさんあります。歴史上の偉人、政治家や大企業の経営者、クリエイター等の文化人や教育者などが、さまざまな素晴らしい言葉を残しています。 これらを頭の隅っこにおいておくと、迷った時の指針になったり、生きる力の原動力になったりすることがあります。児童生徒にこういった名言を示して教育に生かすこともできますね。
【連載】マスターヨーダの喫茶室~楽しい教職サポートルーム~
目次
1 信頼する人、尊敬する人の言葉だからこそ感じられる名言
かつて、わたしには悩み多い時期がありました。担任外の学校の仕事が多く、また自分自身の子育ても重なって、心のゆとりを失っていました。学級経営もうまくいかず、細かなことでくよくよ悩んでしまい、胃を壊して体調的にも苦しい時期でした。
そんなとき県内一の研究校のリーダー・Nせんせいと、社会科の教材作りでご一緒する機会を得たので、相談に乗ってもらいました。
「せんせいは、県内でいちばん忙しい人ではないかと思いますが、なぜそんなにエネルギッシュで、いろいろな仕事をこなすことができるんですか」
『そうかなあ。強いて言えば、細かなことをあまり気にしないことかなあ』
わたしは、驚きました。何か、すごい秘訣があるのかと思っていたのですが、こんなシンプルなことだったのです。
以来、わたしは、この言葉を心の奥深くに入れこみ、仕事に当たってきました。すると不思議なことに、胃痛はなくなり、薬に頼ることなく日々を暮らすことができるようになってきました。
ほんとうに不思議です。「細かなことを気にしない」、つまり「どうにかなる」という開き直りだけで、失敗したことをくよくよ振り返って考えたり、うまくいかないことで深く悩んだりすることがなくなり体調が整ってきました。こうなると教室での笑顔も増えてくるわけです。
シンプルなことですが、「その言葉を誰が言ったか?」が最も重要なことかもしれません。
自分の尊敬する人や、身近に感じられ信頼を置く人が言った言葉だから、自分の心に響くのだと思います。
2 学級通信や担任のお話として使える名言
名言を学級通信に掲載したり、生徒指導や道徳などの指導の一部に使ったりするのもいいですね。児童の生活を振り返り、こんな名言はどうでしょうか。次の世代に伝えていきたいものを選んでみました。
○自分は何も知らないということを知りなさい(ソクラテス)
伝え方の例
ちょっとした知識を言って、自分は物知りだという雰囲気を出している人がいますよね。でも、その知識は一部です。それよりも知らないことの方が多いものです。「知らない」ということをまず自分自身が気づくということが大切です。まわりのたくさんの人や学校での学習、読書からどんどん学んでいきましょう。
○陽気な心は、薬のように人のためになる(古代イスラエル王 ソロモン)
伝え方の例
明るい人、元気な人がいると、その人がいるだけで場の雰囲気が明るくなりますよね。いるだけで病気に効く薬のように、みんなの役に立っているなんて素敵ですね。その人から元気やエネルギーをもらって明るくなります。わたしたちもそんなふうになりたいですね。明るく生きたいものです。
○心を楽にする秘訣は、自分の弱みをさらけ出すことである(空海)
伝え方の例
いつも強がってばかりいると友だちができないんだよね。自分の弱いところや悩みなどを人に伝えることができる人は友だちが多くなるし、聞いてくれる友だちがいると心が楽になるんだよ。
○チャンスは、明日も残っているとは限らない(親鸞)
【原文】明日ありと 思う心の仇桜(あだざくら) 夜半(よわ)に嵐の ふかぬものかは
伝え方の例
<原文を板書した上で>明日もきれいな桜を見られるだろうと思っていると、夜中に強い風が吹いて、散らしてしまうかもしれないよ、ということです。つまり、チャンスだなと思ったらすぐやらないとチャンスを逃してしまうことがあります。
○もっとも難しいことは自分自身を知ることであり、もっとも簡単なことは他人に忠告することである(タレス)
伝え方の例
友だちから、あなたについて「けっこうマイペースだね」「せっかちだね」などと言われて「え! そうなの?」と驚いたことがあるでしょう。自分の姿はみえていないものです。逆に、友だちの悪いところは簡単に目につくものです。そして、友だちに言ってしまうことがあります。でも、言われると友だちはいい気持ちはしないかもしれないですね。
○いつかできることは、すべて今日でもできる(モンテーニュ)
伝え方の例
「明日できることは明日でもいい」という考えもあります。でも、いつかやろうという考え方をしていると、結局できないままになってしまうことは多いようです。やろうと思うと案外やれるものです。さっさとやってしまった方が気持ちのいいものです。
○よい書物を読むことは、過去のもっとも優れた人たちと会話するようなものである(デカルト)
伝え方の例
わたしたちの社会は過去に生きた人たちが作ってくれたものです。過去の人たちとは直接お話ができませんが、文字を通して、その考えを知ることができるのです。それが読書です。昔の人たちの経験やことばに触れられることはとてもすばらしいことですね。
○人生の苦労を持ちこたえるには3つのものが役に立つ。希望・睡眠・笑い(カント)
伝え方の例
大人も子どもも、辛いことや悲しいこと、そして悩みはたくさんあります。でも、何か将来に楽しみを作ったり、目標を持つこと。つまり希望を持てば、がんばれると思います。そして、ぐっすり眠ることで、心身がリセットされます。最後に必要なことは、笑顔、笑い声です。お笑いの番組でもいいし、マンガを読むのでもいいです。笑えることを探し、いつも笑いに触れていきましょう。
○朝夕の食事はうまからずともほめて食うべし(伊達政宗)
伝え方の例
多少味が自分に合わなかったり、嫌いなものが出されたりしても、「おいしい」と言ってみましょう。それは、食べ物を大切にする感謝の気持ちです。また、作ってくれた人も嬉しくなり、ますますがんばって、よりおいしいものを作ってくれると思います。
○知って行わざるは、知らざるに同じ(貝原益軒)
伝え方の例
何か良いことを知っているなら、それを自分の行動に活かしましょう。例えば、「人に親切にしよう」という素晴らしい考えを持っているのなら、実際に人に親切にしましょう。そうしなければ、その考えを持っていないのと同じです。
○世の中に、無神経ほど強いものはない(勝海舟)
伝え方の例
小さなことや細かいことを気にして、大きな課題に挑戦することができない、ということが多いのではないでしょうか。この言葉は、まずやってみようということを言っています。
○すべては、志を立てることから始まる(吉田松陰)
【原文】志を立てて以て万事の源と為(な)す。
伝え方の例
みなさんには夢があると思います。やってみたいことやなりたいものがありますね。そういう思いを持つことを、「志を立てる」と言います。それをかなえるために、練習や勉強など、実際にチャレンジをしていきましょう。また、ふだんの生活のあらゆることを、自分の志にとって必要なことか、そうでないことかと判断していくことができます。
○私たちは運命を生きるのではなく、運命をつくっていくのです(日野原重明)
伝え方の例
百歳を超えてもお医者さんとして大活躍した、日野原重明医師の言葉です。人の意志を超えて、幸せや不幸をもたらすものが「運命」だと言われています。しかし、自分の努力次第で変わっていけるよ、まず行動を起こしてみようよ、ということをおっしゃっているのだと思います。
○人は幸福だから笑うのではない 笑うことで幸福になるのだ(アラン)
伝え方の例
いやなことがあったら落ち込んで暗くなるのではなく、「次、行ってみよう」と考えるのが大切ですね。そして笑いましょう。お笑い番組などで大笑いすると、どんどん心が明るく楽しく、元気になってきます。笑うと、どんどん幸せになっていきます。
○アイディアは好奇心から生まれる(ウォルト ディズニー)
伝え方の例
「なぜかな?」「どんな仕組みなのだろう」と、いろんなことに好奇心を持つと、調べたり、観察したりすることにつながります。それが知識を増やし、アイディアの源になります。アイディアはゼロからは生まれず、自分の知識が組み合わさって「思いつく」ものです。いろいろなことに興味をもつことができるのは、子どもの時です。大いに、好奇心をもって、毎日色んなことを見たり調べたりして暮らしてほしいと思います。
○いつでもパークをきれいにしておけば、人は汚さない
でも汚くなるまでほっておいたら、ますます汚すようになるんだ(ウォルト ディズニー)
伝え方の例
学校での掃除はなぜするのでしょうか。自分たちの学ぶ場所をきちんと掃除をするという日本の文化ですね。そして、この言葉は掃除をする時の基本を教えてくれます。汚くなったから掃除をするのでは、汚れがとれにくくなるし、「きれいに使おう」という気持ちが薄れてしまいます。いつでもきれいにということを目指していきたいですね。
○夢をつかむというのは一気にはできません。ちいさなことをつみかさねることで、いつの日か、信じられないような力を出せるようになっていきます(イチロー)
伝え方の例
イチロー選手は、子どもの頃からずっと、日々の練習で人一倍努力してきたそうです。毎日の積み重ねがいつか大きな力になっていくことでしょう。日本だけでなくアメリカのメジャーリーグで大活躍したプロの野球選手の言葉は重いですね。夢の実現のスタートは小さな一歩からなのです。
いかがでしょうか。わたしたち大人にとっても心に残る名言ですね。
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なせばなる なさねばならぬ 何事も ならぬは人の なさぬなりけり
これは地元に伝わる上杉鷹山公の名言です。わが国のいろいろな場で使われますが、わたしにとっては、小さい頃から何度も言わされ、解釈を説明され、引用され身についています。このように、地元の歴史上の偉人などの名言を教育の根幹に据えるということもいいかもしれません。
ところで最近は、低学年のやんちゃ坊主とお付き合いすることが多く、場に適した行動ができないとついお説教タイムになってしまいます。
和尚はお経 カレーはらっきょう 子どもは勉強 せんせいは説教
(笑)おあとがよろしいようで…。
イラスト/したらみ
【参考図書】
西沢泰生『10分で読める 一流の人の名言100 偉人たちの言葉に学ぶ旅』(メイツ出版)
西沢泰生『10分で読める 偉人の言葉 教えと名言80』(メイツ出版)
ウォルト・ディズニー『ウォルト・ディズニーの言葉 ~今、我々は夢がかなえられる世界に生きている~』(ぴあ)
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マスターヨーダの喫茶室は毎週土曜日更新です。
山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。