研究会に参加する際、質問していますか?【全国小学校授業実践レポート 取材こぼれ話㉚】

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全国「授業実践レポート」 取材こぼれ話
研究会に参加する際、質問していますか?【全国小学校授業実践レポート 取材こぼれ話㉚】

やっと開催されるようになった大規模研究会などで感じること

この2年数か月の間、コロナ禍によって公開研究会が開催されなかったり、リモート開催になったりしてきました。しかし、今秋は大規模な公開研究会も行われるようになってきています。そこで今回は、公開研究会と校内研究会で感じる、ちょっとした違いについてお話をしてみたいと思います。

大規模な研究会のほうが質問が出づらい傾向がある

私はこれまで全国大会や都道府県大会、自治体単位の公開研究会や校内研究会など多様な研究会に参加し、取材をしてきました。そこで感じてきた印象を言えば、規模の大きい大会になればなるほど研究協議会での積極的な質問が減る傾向があるのではないかということです。

例えば、現行学習指導要領の改訂に向けた議論が始まった頃に行われた、ある教科の全国大会の研究会では、私が授業を拝見した学年の協議会で、参加者からの質問がまったくと言ってよいほど出てきませんでした。いくら進行役の先生が、「質問は…」と投げかけても、手が挙がらないのです。授業者側も、質疑応答の時間をしっかりとっていたにも関わらず、質問が出てこないことに困ってしまった様子で、結局、近隣校に在籍し、研究授業づくりにも協力されていたと思われる先生方を数名指名。何とか、質疑応答の場を活発なものにしようと苦慮されているご様子でした。

もちろん、自治体によって研究会の雰囲気も異なるため、この自治体自体がそういう雰囲気だということも考えられるかもしれません。しかし、同じ自治体で行われた校内研究会を何度か拝見したことがありますが、いずれも活発に質問が出され、議論が深まっていたのです。

他の自治体でも同様に、大きな大会の協議会では質問がなかなか出てこないのに、校内研究会では活発に意見が出されている様子を見たことがあります。そこには、協議会での議論の仕方(対話の場の規模など)の問題もあるようには思います。しかし、先の例と同様に大規模の研究会のほうが、質問や意見が出てきにくい(あるいは一部の人のみで議論が進む)傾向があるように思うのです。

ここから活発に議論が進んでいった、とある自治体の校内研究会。
ここから活発に議論が進んでいった、とある自治体の校内研究会。

すべての自治体、すべての教科等で全国大会から校内研究会までを見てきたわけではありませんから、そうだと言い切ることはできませんが、もし、私が感じたような傾向があるとしたら、そこにはどんな理由が考えられるでしょうか。

やはり、知らない先生方が多数を占める場所で、「質の低い質問をしたら恥ずかしい」という思いがあるのではないか、というのが私の想像です。あるいは「若手は参加するように」「年次研修として行くように」と言われて参加はしたものの、「何だかよく分からない」という場合もあるのかもしれません。

しかし、いずれにしても質問をしないというのはとてももったいないことだと思います。

オンラインの研究会で質問することから始める

私が駆け出しの教育記者の頃に、とあるベテランの先生から「研究会で質問をしないのは、その会に参加していないのと同じだ」と教えていただいたことを覚えています。別のベテランからは、「若手の頃、『研究会に行ったら必ず1回は質問するように』と先輩から言われた」という話を聞いたこともあります。

また以前、とある授業名人が「研究授業中にずっと指導案を見ている人がいる」と指摘されたお話をしました。それは、自分事として授業を見るのではなく、「指導案通りに授業が進むかどうかということを、ただ確認しているだけなのだ」ということで、そこには学びがないというのがその授業名人のお話です。

先のベテランたちの言葉も、授業名人の言葉も同様の問題点を指摘しているのだと思います。それは、質問をするということは、その対象となる授業や研究発表を「自分ならどうするか」「自分のクラスならどうするか」と、主体的に見ているということで、それが重要だということです。そうでなく、他人事として「ヘ~、そんなふうにやるんだ」と見ていたのでは、どこで見た授業がどんなにすばらしいものだったとしても、得られるものはほとんどないでしょう。

子供の学びも、「主体的・対話的で深い学び」であることが重要ですが、それは年齢や立場に関係なく、あらゆる人の学びにとっても同じことだと思います。さらに言えば、そのような学びを子供たちにさせていきたいという実践研究をしている学校や研究会ならば、例えば、若手の先生の初歩的な質問であっても、きちんと受け入れて、答えてくれるはずだということです。それこそが、学びの場の重要な基盤なのですから。

そうは言っても、教育という専門的な内容について質問する場に慣れていなければ、挙手して自分の疑問を投げかけることは、少しハードルが高いのかもしれません。そこでお勧めしたいのが、小規模で行われているオンラインの研究会や勉強会で、質問をすることから始めるということです。もちろん研究会や勉強会の性質によって、質問をしやすい会もあればそうでない会もあることでしょう。しかし、近年はこうしたオンラインの会が増えてきているため、ちょっと興味をもって探してみれば、きっと見付かるはずです。そうやって、研究会で一度、質問することに慣れると、そこから得るものがとても大きいことにきっと気付くはずだと思います。

【全国「授業実践レポート」取材こぼれ話】次回は、11月18日公開予定です。

執筆/矢ノ浦勝之

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