「効果的な学校」の必須条件 「チーム学校」への挑戦 #2

連載
【連載】「チーム学校」への挑戦 ~学校の組織力と教育力を高めるリーダーシップ~

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

多様化、複雑化する学校の諸問題を解決するためには、教師一人の個別の対応ではなく、チームとしての対応が必須である。「チーム学校」を構築するために必要な学校管理職のリーダーシップとは何か? 赤坂真二先生がさまざまな視点から論じます。
第2回は、<「効果的な学校」の必須条件>です。

執筆/上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二

効果的な学校

「チーム学校」は、これからさらに複雑化、高度化する学校現場の課題を克服し、社会的なニーズに応えるための学校づくりの指針として打ち出されているわけです。公立学校は、社会的格差是正のための装置としてのミッションを背負っているわけですが、近年の研究結果からは、子どもたちの学力は、保護者の学歴や年収によって規定され、そこに学校としての教育力では抗い難い壁があることもわかってきました。

しかし、一方でそうした地域の実態や社会的背景を克服し、社会的格差を克服している学校も存在し、「エフェクティブ・スクール」(効果的な学校)と呼ばれています。多くの学校管理職のみなさんや、学校づくりにかかわるみなさんは、そのような学校の創造を目指していることと思います。

そうした学校が現実に存在するということがわかれば、次に、重要なことは、そこで何が行われているかということです。鍋島祥郎(2003)は、「エフェクティブ・スクール」を探し出して調査したアメリカのロナルド・エドモンズの研究をもとに、エフェクティブ・スクールの条件を抽出しています。それは、

①校長のリーダーシップ
②教員集団の意志一致
③学習環境
④教員の姿勢
⑤学力測定とその活用

のことが指摘されています※1(○数字は筆者)。単純にまとめれば、校長が学校経営上の明確なリーダーシップをとり、その下に、職員が協力的な関係を築き、目標を達成しようとしていた、そして、学習における物的環境と人的環境が整っていて、また、教師の子どもたちへの接し方が適切だった、さらに、客観的な指標で、教育活動の成果を評価し、次の活動に活用していたということでしょう。

では、わが国ではどうかというと、本誌(2016年5月号)でも紹介された、お茶の水女子大学の耳塚寛明のグループによる「平成26年度文部科学省委託研究『学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究』」が注目されるでしょう。この調査研究では、高い成果を上げている学校の特徴として、次の7点が挙げられています。(◯数字は筆者)

①家庭学習指導
②管理職のリーダーシップと同僚性の構築、実践的な教員研修
③小中連携教育
④言語に関する授業規律や学習規律の徹底
⑤学力調査の活用
⑥基礎基本の定着の重視と、少人数指導、少人数学級の効果
⑦放課後や夏季休業期間中の補習

ご覧のように、エドモンズや耳塚らの研究には共通点がありますが、「チーム学校」の観点から見ると、やはり、そこに校長のリーダーシップと建設的な職員集団の存在は欠かせないといえるでしょう。「チーム学校」のコンセプトとしては、課題解決のために、外部との有機的な連携ということがうたわれているわけですが、学校として成果を上げるためには、まずは、職員集団の連携が必要であることがわかります。

外部連携の前に

「チーム学校」がそのミッションを遂行するためには、内部連携が欠かせないということでしょう。考えてみれば当たり前のことで、多様な職員、専門スタッフが学校に入ってきたときに、まずは、内部の組織が「一枚岩」になっていなかったら、組織全体がガタガタになります。特別な支援を要する子どもたちが一定数いる現在、教室には複数の教師がいます。かつてのように一人の教師の意向だけで授業や学級経営をするわけにはいきません。教室に支援員さんが入れば、その支援員さんと教師との連携が必要です。支援員さんが複数いる場合は、支援員さん同士の連携も必要です。しかし、実際には、ここら辺の人間関係がうまくいかないという相談を度々受けます。また、学級担任の先生からは、学年主任や管理職とうまくいかないという相談も近年、ぐっと増えました。管理職や学年主任が話を聞いてくれず、全て決めてしまう、困っていて相談しても、助言をしてくれない、「学年の問題だから学年で解決するように」言われた、などの話は後を絶ちません。こうしたことがあると職員は少なからず、がっかりし、意欲を失っていくようです。

私のような学校という組織を少し離れたところから見ている立場からすると、学校は授業研究などにはかなり一生懸命ですが、職員室がうまく機能するためのマネジメントには随分無頓着であると感じられます。パソコンでいうと、OSの機能を高めずに、アプリだけ更新しているように見えるのです。

ここのところを甘く見ると思わぬ落とし穴に陥るのではないでしょうか。淵上克義(2007)は、エドワード・L・デシらの研究をもとに、教師が上司(管理職)や学校による管理・統制を強く感じるほど、子どもたちに対して管理的・統制的な行動をとり、逆に、教師が管理や統制をあまり感じることなく自主性や自律性を強く感じるほど、子どもたちに対しても支持的で自主性を高める行動をとる傾向にあったことを報告しています※2

淵上の指摘が重要なのは、上司(管理職)のマネジメントの在り方が、個々の教師のリーダーシップにも影響し、それが、子どもたちの意欲にまでかかわってしまうということです。淵上らの研究を持ち出すまでもなく、このことは元教諭だった管理職のみなさんも感じてこられたのではないのでしょうか。

※1 鍋島祥郎『効果のある学校 学力不平等を乗り越える教育』解放出版社、2003
※2 淵上克義「学校組織の人間関係と教師の意欲」、中谷素之編著『学ぶ意欲を育てる人間関係づくり 動機づけの教育心理学』金子書房、2007

『総合教育技術』2017年5月号より


赤坂真二(あかさか・しんじ)
上越教育大学教職大学院教授
新潟県生まれ。19年間の小学校での学級担任を経て2008年4月より現職。現職教員や大学院生の指導を行う一方で、学校や自治体の教育改善のアドバイザーとして活動中。『スペシャリスト直伝! 学級を最高のチームにする極意』(明治図書)など著書多数。


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