【教師の働き方改革】明日から個人レベルでできる5つのこと
世界中の教師の中でもっとも労働時間が長いと言われている日本の先生。効率化できる仕事は少しでも時間を短縮して、笑顔で子どもたちと向き合う時間をできるだけ長く確保したいものです。そこで、埼玉Clover学び続ける教師ネットワーク代表・紺野悟先生が個人レベルでできる働き方改革のヒントを紹介します。
執筆/埼玉県公立小学校教諭・紺野悟
目次
僕の働き方改革 三つの軸
近頃、働き方改革とよく耳にします。様々な取組や考え方が議論されていますが、僕は一般の小学校教師という立場で、今どのように仕事をしているかをご紹介したいと思います。
これまで、ありがたいことに様々な方々と出会って学ぶ機会をいただきました。その中で、自分に合いそうなものに取り組んできました。この機会に、改めて問い直してみると、自分の働き方の軸は次の三つであるということに気が付きました。
1.基本ルーティンをもつこと
2.変更には柔軟であること
3.「今、これ」をハッキリすること
では、具体的に説明していきます。
毎朝出勤してすぐに TO DOリストをつくる
僕が出勤してはじめにする仕事は、TO DO リストを作ることです。できることなら、温かいコーヒーやお茶を飲みながらリラックスして行うようにしています。
今日一日の中で必ずやらなければならないことを手帳にリストアップする、ただそれだけのことです。
「今日は〇〇の回収日だな」
「昼には委員会があるんだな。朝、声をかけなくては・・・」
なんていう感じです。
出勤してすぐの職員室でパソコンを立ち上げたら、連絡黒板を見たり、メールのチェックをしたりするので、うっかりミスが減ります。
また、「今日は〇〇の回収日ですね」なんて、同僚と会話したら、何気ないコミュニケーションにもなりますし、確認もできてしまいます。あとは、これを加除訂正しながら仕事をしていきます。完了したらその都度、赤線を引いていく。すべてなくなったら退勤。これが僕の基本ルーティンです。
落ち着けるものを持つ
映画『風立ちぬ』に出てくる大人の男性は、みんなたばこをふかし、当時の時代の大人のかっこよさを放っていました。僕がかっこいいと思う人は、好きなものがあって、優雅さというか、落ち着きと笑顔がある人です。今の時代、授業終わりにたばこをふかし・・・とはいきませんが、何か心安らぐものを用意してはどうでしょうか。
子どもたちが下校した後で職員室に戻ったら、例えば、1杯の至福のコーヒー。それもお気に入りの豆のコーヒーなら格別です。きっと、その後の会議や研修にも、一度頭を休ませてから向かうことができるでしょう。僕は、同じものでは飽きてしまうので、ある時は炭酸飲料、ある時はチーズおかきになります。
勤務時間の合間に、何か落ち着けるものを持つということは大切です。
先手で丸付けの方法を決める
子どものためを思えば、どのプリントにも、どのノートにも、丁寧にコメントを入れて丸を付けてあげたいものです。しかし、実際は子どもたちが下校した後、様々な業務があります。研修や学年会、電話対応など、気付いたら時計は6時・・・、なんてこともあります。遅くなればなるほど、昼間の疲れも溜まって、気晴らしに同僚とおしゃべりをしたくなったりします。すると、仕事の効率が下がります。
誰でも疲れは出るもの。ですから、エネルギーのいる仕事は、エネルギーがあるうちに行うのがベストです。教師が丸を付けるもの、子ども同士が相互チェックするもの、スタンプだけのものなどを、先に決めておくようにしています。
今日の算数は演習問題。①の問題は一人ずつやり方を確認して丸付け。残りの問題は自分で丸付け。終わったものを教師が確認。このように決めておくことで、子どもの見落としもなく、エネルギーを確実に注ぐことができます。
テストの日を決める
皆さんはテストをどのタイミングで実施しますか。僕のクラスでは、今年は月曜の1時間目と決めています。これには次の理由があります。
一つ目は、土日に自主学習が宿題で出るので、テスト勉強ができるからです。すぐにテストをすることで成果につなげます。
二つ目は、朝登校してきて、まだ休日モードの子どもたちが切り替わるからです。自分が勉強してきたことをすぐに問われるわけです。テスト前に再度復習をすれば、成果も上がります。
三つ目が、月曜日に専科の時間があるので、丸付けをその日中に行うことができるからです。こうすることで、子どもは即時評価をもらうことができ、間違いを忘れないうちに修正することができます。さらに、教師の放課後の時間も生まれます。
バッグの中身をスリム化する
帰ってからあれも、時間があればこれもと思って仕事を持ち帰っていませんか?
これを考え出すときりがありません。指示の原則で一時一事とよく言われますが、今やることも一つに絞ります。今はこれ。そう先に決めることです。そうすると、バッグの中身はスッキリします。旅の上級者はキャリーバッグを持っていかないと言います。少ない荷物をどうやりくりするかで、重要な物に集中でき、結果的に素早く準備できるそうです。
これらのことが、はじめに提示した三つの観点で共通している「僕の働き方」です。
基本フォーマットをこのように構成すれば、臨機応変な対応が必要な際にも、ぶれずに対応できます。応用や変更は基本があって生まれます。予定通りにいかなくても、どう変更すれば対応できるか、と考えることができます。
子どもと過ごしていて、幸せだと感じられる時間が少しでも長くなれば、それこそが働き方改革のような気がします。
紺野悟(こんの・さとる)●埼玉県公立小学校教諭。1991年埼玉県生まれ。2014年から埼玉県の教諭として勤務。埼玉Clover学び続ける教師ネットワーク代表。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小一小二』2019年9月号より