小学校理科でのプログラミングの位置づけ 【進め!理科道〜よい理科指導のために〜】#14
プログラミングという言葉が一般家庭でもよく聞かれるようになりました。 それは小・中学校でプログラミングが学校教育の中に取り入れられたからだと言えるでしょう。小学校理科でのプログラミング、ということもよく言われていますが、具体的に理科の授業でどのように扱っていけばよいのでしょうか。今回は、小学校におけるプログラミングがどのようなものなのか、 また小学校理科においてプログラミングはどのような位置づけなのかについて整理をしておきたいと思います。
執筆/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
1.小学校で「プログラミング」、どこまでするの?
今回の学習指導要領の改訂でプログラミングが導入されるようになりました。 その総則には、情報活用能力の育成を図るひとつの手立てとして次のようなことが書かれています。
イ 児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動
これは、小学校6年間の間で、子どもたちの情報活用能力の育成をする中、実際にコンピュータを使ってプログラミングする体験を入れていくことが求められている、ということです。
プログラミングに関する授業をどの程度入れるかについては、学校によって全く異なっています。すごく沢山の時間を使ってプログラミングの体験をしている学校もあれば、極端な話をいえば小学校の6年間で1回でもプログラミングの体験をすれば体験をしたことになるため、数少なくやってる学校もあります。学校によって目標が異なり、それぞれの考え方で進めていくということなので、学校の方針に従ってプログラミングの体験をすればよいかと思います。
2.理科の時間でのプログラミングは「理科の学習が充実する」ために導入する
学校におけるプログラミングの活動は、教科の授業の中で行うものと、教科の授業以外の時間に行うものとに分かれます。
教科の授業以外の時間に行うプログラミングの体験活動であれば、「プログラミング教育」といわれている教科の指導要領の内容を外れてプログラミングを好きなだけやったらいいと思います。
しかしながら、教科におけるプログラミングの体験になると少し話が変わります。教科の授業時間内でやっている以上、「教科の学習が充実するために」プログラミングの体験をする必要があるということです。逆に言うと教科の授業でプログラミングの体験をしているにもかかわらず、学習内容がその教科と全く関係のない「単なるプログラミング教育」をしていると問題になるということです。 理科におけるプログラミングの授業を見る機会がありますが、学習指導要領の理科の学習内容と全く関係のないプログラミングの体験が散見されます。 理科の時間でのプログラミングは「理科の学習が充実する」ために導入したいものです。
3.小学校理科でのプログラミングの位置づけ
(1)教科書での扱いは、6年生で「やってみよう」の扱い
小学校の教科書を見ていただくと、多くの教科書でプログラミング体験は6年生に位置付けられています。3年生から6年生までの理科の単元を見通したときに、6年生の「電気の利用」での扱いがもっとも適していると考えられているからです。
(2)6年「電気の利用」とプログラミング
●どれだけ電気を効率的に使うことができたか、計測してみよう。
(3)参考にできる資料
最近ではプログラミングに関する書籍も出ていますが、参考にできる以下のサイトをご紹介します。「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」は、プログラミングの実践事例を紹介するもので、文部科学省から紹介していることもあり、しっかりとチェックを受けたものが掲載されています。
また、プログラミングに関する手引き等も文部科学省から出されていますのでご確認ください。
●小学校を中心としたプログラミング教育ポータル
●プログラミング教育に関する文部科学省の資料
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<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。
イラスト/難波孝