ギフテッド【わかる!教育ニュース#13】

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中澤記者の「わかる!教育ニュース」
ギフテッド【わかる!教育ニュース#13】

先生だったら知っておきたい、さまざまな教育ニュースについて解説します。連載第13回のテーマは「ギフテッド」です。

「特定分野に特異な才能のある子」をどのように支援する?

突出した才能をもつ人を言い表す「ギフテッド」は、「神から授けられた」という意味の英語が語源。称賛を込めた言葉ですが、現実には、才能ゆえに学校になじめず、苦悩する子どももいます。

「特定分野に特異な才能のある子」への支援策を議論してきた、文部科学省の有識者会議がこのほど、提言をまとめました。(参照データ

特徴は「エリート教育」ではないと掲げた点です。才能があるがための困難を取り除きつつ、才能をつぶさず学びの機会を与えることを重視しています。

有識者会議のもとには「生後10か月で日本語と英語でコミュニケーション」「小3から中学数学、小5で数ⅡBへ」「4歳で進化論、8歳で量子力学や相対性理論を理解」など、秀でた才能の事例が寄せられました。

一方で、学校で経験した困難を尋ねると「教科書の内容は全て理解していたが、周囲に合わせろと叱られた」「同級生と話がかみ合わず、変わっている子扱いされる」などの悩みも多数。調査した小学生494人の28.7%が、不登校傾向とも分かりました。提言はその苦悩をくみ取り、「支援」を前面に打ち出したのです。

例えば、別室で特性に応じた指導をしたり、大学や博物館、民間など学校外の教育プログラムを利用したりし、さまざまな学びの機会を与えるよう提案。心理的ケアに当たる養護教諭やスクールカウンセラー、知的好奇心を満たす本を紹介できる学校司書の活用にも触れました。

文科省は2023年度から教員研修の開発や実証研究に取り組む

議論が始まるきっかけは、2021年1月の中央教育審議会の答申。9年間を見通した義務教育を巡って、「特定分野に特異な才能のある児童生徒への指導」を掲げ、学校での指導や支援のあり方の検討を促しました。これを受け、同年7月に有識者会議が設けられました。

会議では「特異な才能」について、知能指数など客観的な定義をしませんでした。何らかの基準で選び抜いた子に、特定の教育を施すことが「ラベル付けにつながりかねない」と考えたためです。選抜競争や、家庭の経済状況による格差が出かねないうえ、差別や学校内の分断を生む恐れにも言及しました。

教員には「特異な才能」への理解を深め、特性を把握し、効果的な支援をするよう促しています。とはいえ、定義のはっきりしない「特異な才能」の持ち主をどう見極め、対応すればよいのでしょうか。いまだ手探り状態で、文科省は2023年度から、教員研修の開発や実証研究に取り組む構えです。

どこでも一定の質を保った教育を施す。集団での振る舞い方を習得させる。同じ年齢の子たちが同じ内容を学ぶ教育には、そんな効果もあります。けれど、過度な横並びは個性をつぶす圧力になります。それぞれの子の特性に応じ、必要な学びを与え、可能性を伸ばすのが、中教審が描いたこれからの学びの姿。ギフテッド支援も、その一つと考えてはどうでしょうか。

参照データ
▽文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20220928-mxt_kyoiku02_000016594_01.pdf

主権者教育【わかる!教育ニュース#14】はこちらです。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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