学級のみんなでつくる授業~日々の授業を見直そう~

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「教師は授業で勝負」という言葉をよく耳にします。子供たちにとって学校生活の大半は授業時間ですから、教師の授業力が子供たちの学校生活を左右するといっても過言ではありません。担任の授業力を上げることが、よりよい人間関係づくりや学級集団づくりへとつながります。ここでは、日々の授業を見直し、子供たちが学び合ったり教え合ったりしながら、みんなでつくっていく授業づくりのアイデアを紹介します。

執筆/岡山県公立小学校教諭・橋本久美

まずは授業をチェックしよう

今回の学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現がいわれています。まずは、現在の授業スタイルが、学習指導要領の実現を目指した学級のみんなでつくる授業になっているか教師主導型の一斉授業になっていないか、チェックしてみましょう。

日々の授業チェックポイント

一問一答型授業になっていませんか?

  • 発問数が多い。
  • ひとつの発問に対して、ひとりの子供が答える。
  • 数名の子供だけが発表している。

教師がしゃべりすぎていませんか?

  • 児童の発言をおうむ返しのように繰り返す。
  • 一文が長い。
  • 発問、指示、説明、称揚の区別をしていない。
  • 知っていることや教えたいことをついつい長く説明してしまう。
  • 同じことを繰り返し伝える。

身につけたい力が明確になっていますか?

  • めあてとまとめの内容がずれている。
  • 教師のねらいと子供の振り返りの内容がずれている。

自分の授業を録音したり録画したりすると話し方の癖に気づくことができます。また、教師と児童の発言量の割合を分析することは、「しゃべりすぎ」を見直すきっかけにもなります。

授業の基盤を確認しよう

一人一人の特性をきちんと把握する

学級には、一人一人異なった特性を持った子供たちが集まっています。

  • 左利きの児童
  • 視力の低い児童
  • ノートを書くことが困難な児童
  • 視覚支援を必要とする児童
  • 個別の指示を必要とする児童

学級担任として、すべての児童の特性をしっかりと把握し、個人差に配慮した授業を心がけましょう。

安心できる環境

全員が参加し、活躍する授業では、学級が安心できる場所であることが基盤となります。

  • 何でも話せる雰囲気
  • 失敗や間違いを笑わない集団
  • 話している人に耳を傾け、真剣に聞く姿勢

教師が手本となり、学級全体の支持的風土を高めましょう。

学級のみんなで授業をつくる

見通しのある授業展開を

子供たちが意欲的に学習に取り組むためには、見通しを持って学習に臨むことができるようにすることが大切です。

単元の学習計画や1単位時間の課題、授業の流れなどを明確にし、学級全体で共有しましょう。

トークタイムの活用

さまざまなトークタイムを効果的に取り入れることで、全員が考えを持って授業に臨んだり、考えを深めたりすることができます。

  • ペアトーク
  • グループトーク
  • 同じ意見の人や違う意見同士での意見交流
  • ○人(人数限定)との意見交流
  • ワールドカフェ形式 など

「何のために意見を交流するのか」を子供たちにきちんと伝えて活動するようにしましょう。トークタイムを効果的に取り入れることは、多様な考えを認め合う人間関係づくりにつながります。

課題、感想、振り返りを全員で共有

全員の考えを視覚化して共有することで、子供の学習に対する参画意識がぐんと高まります。

  • 付箋紙に記入後、印刷
  • グループごとにホワイトボードに記入後、全体へ提示
  • 全員が自分の意見を板書
  • 1人1枚短冊に記入後 掲示
  • 1人1台端末を使って共有

1人1台端末の活用はGIGAスクール構想の実現にもつながります。

指名なし発表に挑戦!

指名をせずに、子供たち同士で譲り合いながら順番に立って発言する方法です。指名の時間を省略することができ、短時間で多くの子供が発言することができます。指名なし音読(一文読み)などから始めると、ゲーム感覚で音読を楽しむことができます。

発表の順番を譲り合うことで互いを思いやる優しさも育ちます。

司会グループによる授業

〈実践例 6年生社会科の歴史学習〉
(1次)
・全員で単元計画を立てる。
(2次)
・グループごとに担当時間を決めておく。
・担当グループが一時間の授業を進める。
 ①前時の復習クイズ
 ②めあての確認
 ③調べ学習
 ④意見の出し合い
 ⑤めあてに対する意見の分類や質問
 ⑥まとめ
 ⑦振り返り
(3次)
・歴史新聞等で単元をまとめる

高学年では、授業の流れをパターン化することで、子供たちによる司会グループで授業を進めることができる場面もあります。教師が指導するべき点と子供たちに任せる点を検討した上で、ときには子供たちに任せてみてはいかがでしょう。

イラスト/種田瑞子

『教育技術 小五小六』2021年10/11号より

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