鈴木惠子の「教師として大切にしたいこと」―連載第8回「今、全員が耳を傾けたよね! すごく気持ちいいね!」
温かい空気の中、生き生きと学ぶ子供たちの姿に魅了され、かつて全国の多くの先生方がその後姿を追いかけた鈴木惠子先生による書き下ろし連載第8回。今回は、教室の中に「耳を傾ける文化」をどう育てるか、について考えます。
鈴木惠子(すずき・けいこ) 静岡県藤枝市の元公立小学校教諭。教育委員会指導主事、管理主事、小学校校長等を経て退職。好きなものは花と自然。
聴き手も全員が、授業を動かす「主役」
第7回は、「子供ファーストの授業」の牽引力となる「話す力」についてお話ししました。今回は、「聴く力」についてです。
「聴く力」を育てる
「聴くことの指導」は、教室で子供同士の関係性を築くための基盤です。
「聴くことの指導=人間関係づくり」だと言っても過言ではありません。
なぜなら、「聴く」という行為は、相手に関心を持つこと、相手を受け入れようとする受容の眼差しを持つことだからです。
友達が一生懸命に自分の気持ちや考えを語っている時に、本気で聞ける学級集団を育てていかなければなりません。
「子供の人格を尊重して」とか「友達を大事に」などという言葉が学校現場ではよく使われますが、私は、学校生活の大半を占める「授業の場面」においてこそ、それが実現されるべきだと思います。
聴くことは相手を大切にすること。聴くことの指導は、日々の授業の中で知らず知らずのうちに積み重ねられていく人権教育、道徳教育そのものなのです。
イラスト/岡本かな子
■ ー 連載 鈴木惠子の「教師として大切にしたいこと」 ー 過去の回はこちら(↓)へ■
■ 第1回「わからなさがわかるかな?」
■ 第2回「し~っ! 先生には聞こえるよ!」
■ 第3回「答えは目の前の子供の中にあります」
■ 第4回「授業観・子供観を見直そう」
■ 第5回「子供ファーストの授業ってどんなもの?」
■ 第6回「授業の主役を明け渡す覚悟を『姿』で見せよう」
■ 第7回「互いに生かし・生かされていることを実感できる話合いを」