小学生の頃の思い出|絵本作家 竹内通雅さん

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雑誌『教育技術 小一小二/小三小四/小五小六』では、月替わりで人気の高い絵本作家に表紙用のイラストの作画をお願いしていきます。本コーナーでは、その絵本作家さんに、小学生の頃の思い出を当時の写真とともに綴っていただきます。2019年9月号は竹内通雅さんの学校給食の思い出です。

表紙画像
『教育技術』2019年9月号3誌の表紙に使用された、竹内通雅さんの絵

学校給食の懐かしいメニューは、脱脂粉乳やソフト麺

竹内通雅
小学三年生くらいの竹内通雅さん。「庭石の上に登り、立ち上がって威張ったふうな感じですね。内弁慶な性格が出ているようです」(ご本人談)

学校給食には昭和38年の4月から、小学校と中学校で9年間お世話になりました。いわゆる「脱脂粉乳、飲んだよねー」「鯨の竜田あげ、食べたよねー」の世代です。脱脂粉乳は2年くらいで瓶の牛乳に代わり、鯨肉もいつのまにかメニューから消えました。僕は脱脂粉乳も鯨も特に嫌いということはなかったね。

給食にまつわる話題って、好きだったもの嫌いだったものの話が一番盛り上がるんじゃないかな。

先に挙げた「脱脂粉乳」「鯨の竜田あげ」と同じくらいネタに上るのが「ソフト麺」かもね。

ソフト麺の正式名称は「ソフトスパゲッティ式めん」というらしいです。そうだったっけ?  食感の微妙なうどんみたいなものだとずっと思っていたけれど、スパゲッティだとしたらスープパスタのさきがけだよな。けんちん汁やカレー汁に浸して食べたしね。でも、そうするとどちらかといえば今風のつけ麺に近いぞ「ソフト麺」は。これ、僕はわりと好きだったなあ。

愛しの「あげパン」には、学校給食と母との思い出

そうそう、一番好きだったのは「あげパン」でした。普段のコッペパンをツーンと匂うような油で揚げ、ジャリっとした砂糖が絡めてある。お世辞にも上品な味じゃないのが、余計に子ども心を沸きたたせた。だって揚げてあるんだぜ、甘いんだぜー。しかもこれは、ひと月に一度あるかないかの特別メニューなのだ。コッペパンより作る手間がかかるしなあ。

嫌なことがあってもこの日のために登校した、まさしく「愛しのあげパン様」だったよな。

そういや小学生の、カオスのような小宇宙ランドセルでは、おはじきやひご棒、しわくちゃのプリント類にまじって、ぺちゃんこでカチカチになった食べ残しコッペパンがいつも数かけら発見されたのだ。発見した母親は時々それらをおいしいあげパンに変えてくれました。

そんな古いパンを食べて大丈夫かって? 大丈夫だよ、だって揚げてあるんだぜー、たっぷり砂糖で甘いんだぜー!

『教育技術』2019年9月号より

竹内通雅(たけうち・つうが)
1957年長野県生まれ。イラストレーターから絵本作家へ。主な絵本に『おどるカツオブシ』(文・森絵都/金の星社)、『じごくのさたもうでしだい』(文・もとしたいづみ/ひかりのくに)、『ぐるぐるぐるぽん』(文・加藤志異/文溪堂)、『ぶきゃぶきゃぶー』(文・内田麟太郎/絵本館)、『ふたごだよ』(文・サトシン/ポプラ社)など。
竹内通雅blog

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