子どもの体育ノート、教師用の記録ノートは、何をどう使えばいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #3】
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体育の授業で、子どもたちが気付いたことやその日の運動の記録はどうしていますか。また、授業者としての日々の授業記録などは、どのようにしていますか? これらの悩みを解決する手立てとして、子どもの体育ノートと教師用記録ノートの活用が挙げられます。
今回は、子どもの体育ノート、教師用記録ノートについての実践例を紹介します。
執筆/栃木県公立小学校教諭・下野誠仁
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
子どもの体育ノートと教師用記録ノートのメリット
体育ノートの活用には、多くのメリットがあります。まず、その日の自分の記録や気付いたポイントをメモすることができます。春に50m走のタイムを記録しておけば、秋に再度測定する際には、「春の自分に勝とう」とめあて設定をすることができます。前年度の記録が残っているなら、1年前の自分と比べて、どのくらい伸びたかを確認することもできます。また、運動のポイントを記録しておけば、これを意識して運動したり、友達の運動を観察したりすることもできるでしょう。さらに、ワークシートと違ってバラバラになったり、破れてどこかにいってしまったりすることもありません。毎回ワークシートの準備をする手間を省くこともできます。
ここで提案する教師用記録ノートも、大変便利なものです。小さく携帯が可能なものですので、教師がクラス全員の記録が書かれたノートを手元に持っておき、いつでも記録を参照できるようになります。記録が伸びた瞬間に、その場で子どもたちを評価し、励ますことができるようになるのです。
子どもの体育ノートのつくり方
体育授業は活動優先ですので、ノート指導に時間を使いすぎるのは避けたいところです。年間を通して毎回同じパターンで記入することで、この時間を短縮できます。
どんなノートを使えばよいか
以下にいくつかの実践例を紹介します。
他教科でも使用できる一般的なB5サイズの5㎜方眼ノートです。このノートの真ん中に横線を引き、半分に分けます。1ページの半分を授業1回分として使用します。学年初めの活動の合間を使って、全てのページに横線を引かせ、すぐに書き込めるように準備をします。このノートでしたら、2年間は使用可能です。
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下のようなB6サイズのノートもおすすめです。B5サイズの半分で毎回1ページずつ使用することができるので、子どもにとっても分かりやすく、使いやすいでしょう。コンパクトで持ち運びも簡単です。
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いつ、どのように記入させればよいのか
記入に時間がかかりすぎないように、ノートに記入する内容はできるだけ精選します。加えて、毎回同じパターンで記入できるようにします。私が記入させているのは、「日付・授業回数・活動場所・教材名」、「得点・回数」、「感想」です。ノート自体も書くスペースは大きくないので、書くのが苦手な子も負担なく記入できます。
記入させるタイミングは、授業開始時に「日付・授業回数・活動場所・教材名」を記入させます。子どもたちに1時間の授業の見通しをもたせることができます。「得点・回数」については、その都度記録させたり、授業の最後に記録させたりします。「感想」には、授業で理解したポイントや気付いたコツ、感じたことなどを書かせ、児童の思考を見取ります。
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教師用記録ノートのつくり方
体育授業では、教室での授業とは異なり校庭や体育館を動き回りながら、時には運動の見本を見せたり、補助をしたりしながら指導する場面があります。そういった理由から、コンパクトで携帯しやすく、かつ名簿に記入できるようなサイズのメモ帳タイプのノートが重宝します。そこでおすすめしたいのが「Ca.Crea(カクリエ) A4×1/3」(PLUS)のノートです。
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達成状況の把握や成績管理に
写真のようにノートに名簿を貼り、達成状況を記録していきます。出席番号順の名簿を貼ったり、体育の学習班の名簿を貼ったりして記録します。
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※右の写真では50m走(青)と40mハードル(赤)の記録を比較しています(黒塗りの部分は児童名)。これをもとに、得点化して評価します。
授業の計画やメモとして
単元の大まかな流れや大体の用具の数、配置等をメモします。また、子どもたちに必ず話すこと、重要な発問、授業後の「こうしたほうがいいかな?」という改善点などを記録しておくこともできます。
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このように、便利な道具を活用することで、子どもの成長の様子を把握し、子どもに寄り添った授業づくりができるようになります。ぜひ明日からの体育授業で生かしてみてください!
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執筆
下野 誠仁
栃木県公立小学校 教諭
1988年、沖縄県那覇市生まれ。若手や体育授業が苦手な教師にとっても取り組みやすく、子どもたちみんなが「できた」を実感できる体育授業を目指し、実践・研究を重ねる。
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監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。