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「理科的な学び」は授業だけではない! 【進め!理科道〜よい理科指導のために〜】#6

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓
進め! 理科道(ロード)
〜よい理科指導のために〜

理科の授業は学習内容が限られていますが、日常には理科的なことがたくさんあります。小学校の授業の内容ではありませんが、スライムづくりや静電気で遊ぶ実験などの科学実験もその一つです。私自身は理科の授業も楽しかったのですが、クラブ活動や日常生活で虫を捕まえたり、ものづくりをしたりするところも面白いと思っていました。子どもにとって、理科の授業内容と授業以外の内容を分けて考えているわけではありませんし、何がきっかけで理科が好きになるのかはわかりません。先生の役割は、理科の授業内容を教えることだけでいいのでしょうか? もう少し、理科というものを広くとらえて子どもたちの自然に対する興味・関心を高めてあげたいものですね。

執筆/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

1.「理科的な学び」は授業だけではない

先日、家の庭の剪定や土作りをしていたところに、お隣の家の庭から小さなお客さん2人が声をかけてきました。「おーい、何しているの?」近所の小学校1年生の男の子と女の子です。お隣の家の男の子は小さい頃からよく話をしていたので、私の “お友達” なのです。「今は草をとっているんだよ」というと、「家ではミニトマト植えているよ。今何か植えているの?」「学校で花を植えているんだけど何だと思う?」と、どんどん話が広がります。次第に、「お庭に行っていい?」と、こちらの庭にやってきます。

庭の中では観察会、「レモンの赤ちゃんがたくさんなっているから見てごらん」と紹介し、家に植えているレモンがどのようになっているのかを見たり、「アゲハチョウが好きな葉っぱがあってね。ここには卵を産んだり、卵から出たら葉っぱを食べたりするんだよ。」と説明し、チョウによって好きな植物があることを知り、アゲハチョウが集まってくる植物をじっくり見て、幼虫探しをしたりします。そのうち、向こうの方から「○○くん、どこ?」と別の女の子もやってきて3人に。

芝の目土を撒こうとすると「やりたい!」と、3人が土を運ぶお手伝いをし始めます。この時も「芝が生えていないところに土を撒くと生えるようになる」ことを知ります。肥料を混ぜた土作りの際は、交代で土を混ぜ、交代で運ぶための土入れのお手伝いをしてくれました。このように、彼らにとっては遊びの延長ではありますが、日常の中の活動には様々な「理科的な学び」がたくさんあるわけです。

イラスト/難波孝

2.休み時間や家庭で「理科的な学び」を促す

理科の学習内容ではなくても、その周辺の学習である「理科的な学び」はたくさんあります。例えば、

  • 家の中にアリが入ってきたことから、「アリの巣はどういうところにできやすいのだろうか。」や、「アリのえさになる物がどこかにあるのかな?」といった疑問。
  • 部屋全体の空気を早く入れ換えたければ、隣同士の窓ではなく、部屋の対角線上の窓を開ければよいことを知る。
  • エスカレーターは、人が近づいたら動き出すのはなぜだと思う?と聞いてみる。
  • どんぐりの形が違うけど、どんな種類があるのかな、と聞いてみる。
  • 教室に変わった植物の鉢を置いて育てる。

などです。

子どもたちに休み時間や家庭で「理科的な学び」を促すには、自分の目で確認・体験したらよいことや、知ってほしいことに「まず、着目させる」ことが大切です。その際、自分で調べる(観察する)ことができる、子どもたちでも安全である、などに留意して観察や体験を促したいものです。

簡単に言えば、安全であれば「自分で調べてごらん」と言えばいいですし、学習内容と関わりがなければどんどん教えてあげればよいということです。子どもたちは、その中から興味があればさらに調べますし、興味がなければやりません。とにかく、たくさんの「引っかかり」をつくってあげることが大切かと思います。

3.理科で“生活をより充実”させたい

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