小3算数「10000より大きい数」指導アイデア
執筆/富山大学人間発達科学部附属小学校・屋鋪善祐
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらい(本時7/10時 数の大きさを1億まで拡張した後)
十進位取り記数法の仕組みに基づいて、1万より大きな数の表し方について考える。
評価規準
十進位取り記数法の仕組みに着目し、数直線をよりどころにして1万より大きな数の表し方について考えている。(思考・判断・表現)
問題
矢印(↓)にあたる数は?

27000 は、20000 と□を合わせた数。

ほかにも、いろんな見方がありそうだよ!
「230」ってどんな数ですか。
200+30、300-70、10 の 23 個分です。
いろいろな見方がありますね。では、上の数直線の矢印(↓)の数は、なんですか。
27000 です。20000 から7目盛り進んでいるからです。
20000 と7目盛りというのは、数をどう見ていると言えますか。
27000 は 20000 と 7000 を合わせた数と見ていると言えます。
この 27000 も、千までの数のように、いろいろな見方ができそうです。
ほかにも見方があるのですか。では、27000 はどんな見方ができるかを考えていきましょう。
学習のねらい
大きな数も、いろいろな見方ができるだろうか。
見通し
「合わせる」「~個集めた」「大きい」「小さい」と表せばよさそうだ。〔方法の見通し〕
1つの数でも、いろいろな見方ができそうだ。〔結果の見通し〕
自力解決の様子
A つまずいている子
20000 と 7000 という見方しかできていない。
B 素朴に解いている子
数直線を基にして、数をいろいろな見方で捉えている。
20000 から7目盛り進んでいる。7000 大きくなっているということだから・・・。
C ねらい通り解いている子
数の多面的な見方を考え、それを言葉や式などで表している。
30000 より 3000 小さい数と言える。式に表すと、27000=30000-3000 と表せるよ! まだまだありそうだ!
学び合いの計画
「数直線」という用語は三年生で学習しますが、子供たちは二年生で「かずの線」として数直線に触れてきています。その読み取り方を思い出す場を設けることで、「27000 は、20000 と7000 を合わせた数」であると捉えるようにします。
数直線をよりどころにして数の見方について考えることで、大きな数も多様な見方ができることに気付くきっかけとなります。
数を多様に見ることができにくい子には、「合わせる」「~個分」「大きい」「小さい」など、ヒントとなるキーワードを提示して、考えの手助けとする方法も考えられます。
一人ひとりが自信をもって数の見方を広げることができるように、考えの見通しをもつ場を工夫しましょう。
話合いでは、考えを共有し合い、自分の考えと友達の考えを比較し合う場を設けましょう。「○○さんと同じ考え方だ」「同じ考え方だけど、言葉じゃなくて式で表したよ」「自分とは違った考え方だ」など、友達の考えから、自分では見いだせなかったさまざまな数の見方に気付く姿が生まれます。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
27000 は、どのような見方ができましたか。
「30000 より 3000 小さい数」という見方ができます。数直線でも 30000 より3目盛り小さいです。
私も同じ見方をしたけれど、式で表したよ。
「27000=30000-3000」です。
言葉だけでなく、式でも表すことができるんですね。
私も、式で表しました。「27000=1000×27」
これを言葉で表すと、どんな見方になりますか。
「27000 は、1000 を 27 個集めた数」という見方だと思います。1000 の目盛りが 27 個分進んだと言えます。
同じ数でも、いろいろな見方ができるんですね。もっといろんな数も調べてみたいです!
学習のまとめ
大きな数も、いろいろな見方ができる。
27000=20000+7000 2万より 7000 大きい(7目盛り→)
27000=30000-3000 3万より 3000 小さい(3目盛り←)
27000=1000×27 1000 の 27 こ分(27目盛り)
評価問題
42000 は、どのような見方ができますか。
子供の期待する解答の具体例
- 40000 より 2000 大きい数 → 42000=40000+2000
- 50000 より 8000 小さい数 → 42000=50000-8000
- 42000 は、1000 を 42 個集めた数 → 42000=1000×42 など
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
十進位取り記数法の仕組みに着目し、1万より大きな数の見方について考えている。
感想例
- 大きな数も、いろいろな見方ができることが分かりました。友達の考えを聞いて、言葉だけでなく、式で表すと分かりやすいと思いました。
- 二年生で学習した千までの数も、同じようにいろいろな見方ができると思いました。
- もっと大きな数でも、いろいろな見方ができそうです。試してみたいです。

イラスト/小沢ヨマ、横井智美
『教育技術 小三小四』2021年6/7月号より