休み明けの気持ちを前向きに切り替えるアクティビティ|沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」
二学期にスムーズに学級経営を行うためにも、休み明けの学級開きはとても重要。子供の自主性・自立性を引き出す実践が話題のカリスマ教師「ぬまっち」こと沼田先生に、久しぶりの登校に不安を抱えている子供に寄り添い、上手に気持ちを切り替えさせる、クラスの荒れを防ぐために有効なアクティビティを教えていただきました。
目次
二学期のリスタートは最初が肝心
長期休暇明けでもある二学期の学級開きは、いろんな意味で難しいよね。
友達との再会や新学期の活動を楽しみにしている子もいれば、夏休みモードが抜けきれない子もいるだろう。
なかには一学期に嫌なことがあったり、ネガティブな体験をしたりしたまま夏休みに入ってしまい、登校することすらなかなか前向きになれない子もいる。
そうした子供たちの微妙な心の変化に気付かずにスタートしてしまうと、学期の途中で学級が乱れたり、荒れてしまうこともある。
一方で、二学期の学級開きの時期を上手く乗り切れば、年度の後半もスムーズに過ごせることが多い。
つまり、休み明けは慎重に、そして楽しくリスタートすることが重要だ。
今回は、一学期の嫌なことをすっきり忘れて、気持ちを切り替え、前向きにリスタートするためのアクティビティを紹介しよう。
「ビーイング」で、気持ちを切り替えすっきりリスタート!
※PAプログラムの一つ「ビーイング」に沼田先生のアレンジを加え、リスタート向けにしたものです。
【進め方】
①模造紙2~3枚をつなげて、1枚の大きな紙を作る。
②その紙の上に、小柄な子に横になってもらい、体の線を太めのサインペンでなぞり、ヒト型を取る。
③子供たちにヒト型の内側には「楽しかったこと」や「これからやってみたいこと」を、外側には一学期や前年度に「嫌だったこと」「つらかったこと」を書かせる。
(密集することを避けるために、付箋やラベルシールに書かせ、その後ヒト型の中と外に貼り付けてもOK!)
④それぞれ書き終わったら、ヒト型の部分を切り抜き、「楽しい想い出(ヒト型)」と、「嫌だったこと(外側)」に分ける。
⑤「君たちの嫌なことはぜーんぶ破って捨ててしまおう」と声をかけ、外側の紙は破ってしまう。
(先生が豪快に紙を破って見せたり、一気にシュレッダーにかけるところを見せてあげるとよい。子供たちにビリビリと破いてもらってもOK)
⑥すべて破り終えたら、「嫌なことは今ここでゴミ箱に捨てて忘れよう!」と言って、破った紙はゴミ箱にポイッと捨てる。
これは例外だけど、あるクラスでは細かく破いた紙を中庭で子供たちと一緒に燃やしたこともある。
その時の光景は今でもよく覚えている。みんな自分たちがコメントを書いた紙が燃えてなくなるのを静かに見つめていて、その後はとてもすっきりした顔をしていたよ。
嫌なことを書くことで気持ちが整理され、捨てることでスッキリ切り替わる
もちろん火を使うことはあくまで例外。
先生が子供たちの目の前で細かく破り捨てるだけで十分効果はある。
よい事や悪い事をそれぞれ書き出すことで頭の中が整理されるし、ネガティブな気持ちをアウトプットして、自分の体から切り離し、そしてゴミ箱に捨てる、ということを一連の流れで体験してみることで、自分の気持ちに一区切りつけることができるからだ。
その後も、何か嫌なことがあったら「紙に書き出してみる。それを破ってゴミ箱に捨てる」ということをルーティンにしてもいいよね。そうやって自分なりの気持ちの切り替え方を覚えておくと、大人になっても役に立つんじゃないかな。
それから、残ったヒト型の紙は、ぜひ教室内に掲示しておこう。ポジティブなワードで埋め尽くされたオリジナルの掲示物が、クラスを前向きに、明るくしてくれるはずだよ。
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沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/
取材・構成・文/出浦文絵