活発な話合いを促す「学級会の議題」の立て方
学級会では、普段どんなことを話し合っていますか。「議題」で悩んだり困ったりしたことも多いのではないでしょうか。学級会の「議題」は、話合いにおいてとても重要です。どんな議題が子供にとって必要感や価値があるのかを、「冬を楽しもう集会」を例に考えていきましょう。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・山本恭兵
目次
どんなことが議題になるのか
まず、学級会の議題としてふさわしいものとはどんなものなのかを考えてみましょう。主なものに次のようなことがあります。
- 学級生活に関係があり、学級全員が協力しなければならないこと
- 多くの子供にとってすぐに話し合う必要があること
- みんなで創意工夫する必要があること
- 学級や学校生活をよりよいものにすること
- 子供たちの力で解決できること
議題を考える際に、これらの条件を満たしているかを確認する必要があります。また、金銭の徴収や教育課程の変更に関わることは、議題として望ましくありません。
どこで議題は生まれるのか
議題の多くは、活動中に生まれます。係で準備をしているときに「あれ、どうしよう」とか「もっとこうしたらよくなりそう」ということが出てきます。そこを教師が見付けて、「クラスのみんなで話し合ってみたらどう?」と促します。または、「○○係さんが、こんなことで困っていたんだけど……」と教師がクラスのみんなに紹介する方法もあります。
教師は、子供たちが活動しているときに、どの係の子供が困っているのか、自分たちだけでは決められないのかなどをよく観察しましょう。
議題は焦点化して
議題を選ぶ際に気を付けたいのは、みんなで何を決めればよいのか(合意形成すればよいのか)ということです。決めることが多すぎると、時間内に終わらなくなります。
「冬を楽しむゲームを考えよう」ではなく、「冬を楽しむゲームの○○を決めよう」と焦点化することで、子供たちが何を話し合えばよいのかが分かりやすくなります。
活動例
【議題例①】
歌のおどりの最後のポーズを決めよう
集会の歌に振り付けをする際に、ダンス係が大まかな振り付けをつくりますが、最後の決めポーズ(サビのところでも)をみんなで話し合います。実際に歌いながらポーズをしてみることで、確かめながら話し合うことができます。みんなで一緒のポーズをとることで、子供が友達との仲のよさを感じることができます。
【議題例②】
「北風と太陽」で、復活するためのルールを決めよう
ゲームのルールを決める議題もあります。ゲーム係がある程度決めておき、大事なところをみんなで話し合って決めるとよいでしょう。この場合は、おにごっこで捕まった子が戻るための方法を議題にしました。意見が割れたときは、休み時間などに実際に試してみて、提案理由にふさわしいか判断するようにしましょう。
【議題例③】
集会のめあてに合ったプログラムを決めよう
集会のめあてに合わせてプログラムを決めるのもよいでしょう。実行委員がプログラムを考え、一つだけ「スペシャルプログラム」としてみんなで決めます。「集会のめあてに合った」とすることで、ただ遊ぶだけでなく、価値のある活動をすることができます。今回は「凧揚げ大会」や「福笑い」などの冬遊びが考えられます。
【議題例④】
みんながもっと仲よくなれる感想の伝え方を決めよう
集会における感想は、ふり返りの場面でもあります。この機会に、より活動のめあてを意識したやり方を話し合うのもよいでしょう。具体的には「係の友達のがんばっていた姿をカードに書いて贈る」「みんなが仲よくなった場面をカードに書いて掲示する」などが考えられます。
話し合う際には原案が大切
話し合う際に、子供がそれぞれ意見を出し合っていくと、なかなかまとまらず、時間もかかってしまいます。提案者が議題に対する原案を考え、事前にみんなに提案します。その原案に対しての意見を出し合うことで、話合いの軸がぶれず、短い時間で話し合うことができます。原案をつくる際には、教師も助言をして、よりよいものをつくるようにしましょう。
今回は集会のプログラムを基に議題をつくりましたが、他にも生活上の諸問題から議題が生まれることもあります。集会だけでなく、普段の自分の生活から問題を発見する目を育てていくことが大切です。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2021年1月号より