学級担任の時短術⑨「通知表を効率的に作成しよう~その2」
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仕事を効率化しつつも、授業や学級経営の質が落ちないような時短術について、毎月22日公開、全12回で連載していきます。第9回のテーマは、通知表作成における時短のコツです。通知表作成時に心強い便利なアイテムを紹介します。
執筆/千葉県公立小学校校長・瀧澤真
目次
通知表作成時に心強い3つの便利アイテム
本連載の第4回で、通知表作成に関わる時短術について述べました。今回はまた別の観点からの通知表作成の時短のコツを述べていきます。
二学期は最も長い学期のため、所見文に書くネタは比較的豊富にあるかもしれません。しかし、ネタが豊富にあれば、短時間で所見文が書けるのかというと、そう簡単にはいきません。それをどういう角度で表現するのか、どのように伝えるのかということに悩み、結構時間がかかるものです。
そこで、今回は、所見文作成時に作業を効率的に進めるために、手元に置いておきたいものをご紹介します。
①学習指導要領を手元に置く
所見文も通知表の一部であり、評価の一つです。ですから、
△国語では、自分の経験したことを友達に伝えることができました。
と、活動内容を記述するだけでは不十分です。ここに、評価に関わる文言を加える必要があります。
ですが、どのように評価するか悩むことも多いと思います。そこでおすすめしたいのが、所見文を書く際は、学習指導要領を手元に置き、指導目標について確認することです。
例えば、一・二年生の国語「話すこと・聞くこと」の目標は、「相手に伝わるように、行動したことや経験したことに基づいて、話す事柄の順序を考えること」と示されています。
ここから、「事柄の順序を考えながら話していたか」が、評価ポイントになることが分かりますから、
○国語では、自分の経験したことを話の順序を工夫しながら、友達に上手に伝えることができました。
と、評価に関わる文言を入れて書くようにします。
②管理職や自分の傾向を一覧にしておく
本連載の第4回で、事前に管理職に所見文を見てもらいチェックを受けるとよいと書きました。今回は、実際に一学期に書いた所見文について、さまざまな指摘を受けていると思います。
二学期でも同じ指摘を受けるようでは、それこそ時間の無駄です。そこで、どのような指摘を受けたかがぱっと見て分かるように、ノートなどにまとめておくとよいでしょう。例えば、
〇「しっかり」の中身を書くこと。
と大きめの字で、指摘された事項を書きます。そしてその下に、
〇しっかり取り組みました。→1日も休まず取り組みました。
と具体例を書いておきます。管理職からの指摘が付箋紙に書いて返されたなら、それをノートに貼ってもよいでしょう。
また、自分がミスしがちなこと、迷いがちなことなども、併せて一覧にしておきましょう。
〇暖かい心 → 温かい心
〇早く正確に計算する → 速く正確に計算する
このように、誤用と正しい使い方が一目で分かるように、セットにしてまとめておくとミスが減ります。
③ネガポ一覧・類語辞典を活用する
所見文を書こうと思っても、なかなか記述できない子供がいるかもしれません。そんなときは、「ネガポ一覧」を眺めると、よい表現が見付かることがあります。「ネガポ」というのは、ネガティブな表現をポジティブな表現に変えることです。例えば、
〇愛想がない → 真剣である
と変換します。このように、ネガティブな言葉をどうポジティブな言葉に変換するのかをまとめたものが「ネガポ一覧」です。インターネットで「ネガポ」「リフレーミング」といった言葉で検索すると、簡単に入手可能です。スマホのアプリにもあります。一覧の中には、少し無理があるのではないかという変換例もありますので、時間があれば自分で修正しておくとよいでしょう。
いずれにせよ、こうした見方の転換を図ると、その子の見えていなかったよさを再発見できることも多いものです。
例えば、ある子のことを「無口で暗い性格」だと、ネガティブに捉えていたとします(普通はそんな捉え方はしないと思いますが、話を分かりやすくするために極端な例を出しました)。そこでポジティブ変換すると、「物静かで控えめ」と望ましい性格に変化します。
もちろん変化したのはその子ではなく、教師側の子供の見方です。しかし、見え方が変われば、対応も変わってくるものです。
また、同じような言い回しが続いてしまい、どう表現するか悩んだら、すぐに類語辞典を引きましょう。例えば、「努力する」という言葉を使いすぎている場合に、類語辞典を引くと、
〇「努力する」の類語の一例
・熱心に取り組む
・前向きに取り組む
・努める
・がんばる
・全力をつくす
などの類語が出てきます。この中から、言い換え可能な言葉を選べばよいのです。なお、場所をとらず、すぐに引けるので、類語辞典はスマホアプリやインターネットを活用するのがおすすめです。
イラスト/バーヴ岩下
『教育技術 小一小二』2020年12月号より