【若手教師お悩み座談会・後編】だから教師はやめられない!
日々悩みながらも子どもたちのために一生懸命がんばっている教師の仲間が全国にいます! 皆さんと同じく現場で奮闘中の小学校教員2年目のタクヤ先生と4年目のナナ先生(ともに仮名)に、今だから話せる失敗談や、先生になって良かったこと、そして若手教員の皆さんに向けてメッセージをお話していただきました。
〔参加してくれた先生方〕
👨🏫タクヤ先生……大学院を卒業後、現在は神戸市の公立小学校で2年生の担任をしている。教員2年目。大学院時代はICT活用に関して研究していた。アウトドアが大好き。
👩🏫ナナ先生……大学卒業後、現在は北海道の公立小学校で2年生の担任をしている。教員4年目。大学時代は理科教育を専攻していた。きのこと水樹奈々が大好き。
◯聞き手
中瀬美稀…小学校教員の経験あり。さまざまな媒体で執筆を行うフリーライターとなった現在も、教員が自分らしく働ける社会にしたいという思いを持ち続ける。タクヤ先生、ナナ先生とは大学時代の同級生。
こちらの記事も併せてお読みください。
【若手教師のお悩み座談会・前編】教師になって一番の悩みは授業以前のこと
【若手教師お悩み共有座談会・中編】コロナ禍の2学期、行事なしでどう育てる?
目次
【いちばんの失敗】集金袋を紛失!
ーー先生って、学級経営だけでも大変なのに、授業準備も保護者対応もいろいろな業務をこなしながら、さらに人間関係にも気を遣うなんて…。とても大変そうです。そんな日々の中でお悩みは尽きなさそうですが、これまでの教師生活で、失敗談などはありますか? 学級経営でもそれ以外でもいいので、聞いてみたいです。
ナナ:私、整理整頓が苦手なんですよ。大事な書類の管理とか…。
今働いている学校では、図書館の業務も任されていて、ある日学校販売の本購入代金を回収することになって。それで、注文書の入った封筒を預かったまま、紛失してしまったんです。結局、(管理職とも相談した結果)自分で本を購入して児童のおうちに届け、事なきを得たのですが…。
あのときは、本当に申し訳なかったですね。
タクヤ:それ、大丈夫だったの…(汗)!? 書類の整理・管理は本当に大事だよね。
僕も、事務手続きの書類の締め切りを過ぎて提出してしまったことがあります。事務員さんに催促されて気付いたのですが、なんと締め切りを1週間も過ぎていました(苦笑)。
あと、生徒指導でもやらかしてますね。子ども同士のトラブルなどがあった場合、まず子どもたちに聞き取りをして事実を把握するのですが、聞き取りの段階で子どもの嘘に気付かずに子どもを帰してしまって…。後日、改めて聞き取り調査をしてなんとか対応できましたが、そんなことばっかりですよ(苦笑)
【コロナ禍で気になること】マスクごしのコミュニケーションの難しさ
ーーコロナの前と後で子どもたちとの関係をつくる活動に変化はありましたか?
ナナ:マスクに過敏な子どもが可哀想ですね。大人でもマスクが嫌な人はいると思うのですが、特に過敏な子どももいて。だけど、そういう子に対しても「マスクしてね」って言わないといけない。
あとは、マスクをしていると、声がこもることですね。子どもの声が聞き取りづらい。マスクで表情がほとんど見えなくて、感情が伝わっているのかなって不安にもなります。
タクヤ:マスクに関して言うと、大きな声を出す指導が躊躇われることですね。音楽の授業で、もちろん歌は歌えないし、大きな声を出さないと言う指導の延長線上で、国語の時間にみんなで音読をしましょう、とかの指導も躊躇われますね。
マスクで表情が読めないというのも困りますよね。こっちも伝えるのに必死だし、子どもの表情を読み取るのにも一苦労です(苦笑)
ナナ:あとは、給食の時間。
タクヤ:全員前向いて…ってやつね。
ナナ:そう。給食の時間に、喋らないで全員前を向いて食べなさいと指導するのがつらいですね。子どもたちが可哀想…。
今の1年生なんかは、コロナ流行後の学校しか知らないから、喋らず全員が前を向いて食べるというのが当たり前になっていて、まだマシかもしれませんが…。高学年の子は特に、今まで班机にしてみんなでお話ししながら楽しく食べていたのが、急にダメになっちゃったら、つらいですよね。
【先生になって良かったこと】子どもからの手紙で気分はお祭り
ーーコロナ禍の教師生活で悩みは尽きないと思いますが、そんな中でも、先生になって良かったことをぜひ教えてください。
ナナ:子どもたちから、ありがとうの手紙をもらったときですね。年賀状を書いたりもらったりするのも嬉しいです。
タクヤ:(うんうん 激しい頷き)
中瀬:素敵なお話ですね。タクヤくん、めちゃくちゃ頷いていましたね(笑)
タクヤ:そう!(子どもから手紙をもらうなんて)気分はお祭りよ!
中瀬:いいですねえ。豊田くんは、他に何かありますか? 先生になって良かったこと。
タクヤ:子どもの成長が嬉しいですよね。1年生の子が算数のテストで100点取るようになったときとかね…!
ナナ:私、ちょうど昨日、自分のクラスの子どもたちの4月の作文を読み返していたんですね。で、今の作文と読み比べてみたんです。そしたら、みんなちゃんと成長が感じられて…。
「ああ、今までやってきたことは、間違ってなかったんだな…!」と感動しました。
タクヤ:分かる! 1年生だと、字が書けるようになっただけでもすごく感動するし嬉しいもんね。
最後に…若手教師のみんなへメッセージ
ーーここまでたくさんのお悩みを共有できて、有意義な時間になったと思います。最後に、二人と同じように現場で頑張る若手教師のみんなへメッセージをお願いします!
ナナ:悩むことはたくさんあると思いますが、決して自分だけがダメなわけじゃないよ。
周りの先生にも聞いてみるのも前に進む一歩だと思います。これからも周りの人たちに相談しつつ、頑張っていけたらいいなと思っています!
タクヤ:私は『教室は間違うところだ』という絵本が好きです。
「間違うことを おそれちゃいけない」
「間違ったものを 笑っちゃいけない」
これは、教師も同じですよね。
間違うことを恐れずに、一緒に前に進んでいきましょう!
・・・
今回、若手教師の二人にお話ししてもらった、うっかりミスやコロナ禍ならではのお悩みは、共感できる先生も多そうですね。
そして、悩みはありつつも先生になって良かったことを話す二人の笑顔は素敵で、教師という仕事の素晴らしさを感じられた瞬間でした。
このシリーズでは、全3回にわたって、若手教員のお悩み共有座談会の様子をお伝えしました。新学期が始まり、「学校に行きたくない…。」と悩んでいる若手教師の人も多いのではないでしょうか。そんなあなたに、「ひとりじゃないよ、仲間がいるよ」ということを感じてもらえれば幸いです。
少しでも、悩みを抱える若手教師の皆さんの心が軽くなりますように!
取材・文/中瀬美稀