目標に向かって学級をひとつにするには〈前編〉【伸びる教師 伸びない教師 第22回】
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今回は、「目標に向かって学級をひとつにするには」の前編です。学級目標は、年度はじめに立てるほか、月の学級目標などを立てる学級もあります。どのようにすれば学級目標が達成できるかという話です。豊富な経験で培った視点で捉えた、伸びる教師と伸びない教師の違いを具体的な場面を通してお届けする人気連載です。
※本記事は、第22回の前編です。
執筆
平塚昭仁(ひらつか・あきひと)
栃木県上三川町立明治小学校校長。
2008年に体育科教科担任として宇都宮大学教育学部附属小学校に赴任。体育方法研究会会長。運動が苦手な子も体育が好きになる授業づくりに取り組む。2018年度から2年間、同校副校長を歴任。2020年度から現職。主著『新任教師のしごと 体育科授業の基礎基本』(小学館)。
伸びる教師は目標に向かって学級をひとつにし、伸びない教師は目標を立てるだけで終わってしまう
目次
目標を立てただけでは子供の意欲の喪失につながる
学校にはたくさんの目標やめあてがあります。
学習指導においては、研究授業を見たり先生方の授業を見て回ったりするなかで、目標やめあてを大切にしている授業が多いと感じます。
しかし、行事の目標、生活目標、学級目標などの目標についてはどうでしょう。
例えば、4月に立てる学級目標です。
「何事にも一生懸命頑張るクラス」「明るく元気で仲がよいクラス」など、決まった目標を教室の見える場所に掲示し「みんなでよいクラスにしていきましょう」と教師が子供たちに呼びかけます。
しかし、日が経つにつれ、いつの間にか学級目標は忘れ去られてしまい、目標を達成できたかどうかわからないまま次の学年に進級します。
学級目標に限らずこうしたことが続くと、目標を達成しようと一生懸命取り組んだ子供は意欲を失います。結果、次から教師がいくら目標を掲げても子供たちは積極的に取り組まなくなってしまいます。
そのことを知っている教師は、目標を立てたら子供たちが目標に向かって活動できるよう様々な工夫をしています。
具体的なイメージをもたせ「何ができれば達成」なのかを明確にする
目標について具体的な姿をイメージできるよう言葉かけをします。
「みんなで協力するクラスが学級目標に決まったけれど、協力するってどういうことなの」
「友達に親切にしましょうが今月の目標だけど、親切にするってどんなことがあるかな」
教師が具体的なイメージをもたせることで、子供たちは何をすればいいかがわかり、行動に移しやすくなります。
また、なにができれば目標が達成されたといえるのか、学級全体で共有することが大切です。
「4月の生活目標は大きな声で挨拶をしようです。では、大きな声ってどれくらいの声なのかな?」
「前にいる人が振り向くくらいの声」「教室の端から端まで聞こえる声」など、子供たちはそれぞれが思う大きな声を発表します。中には、「これくらいの声」と実際にやってみせる子供も出てきます。
「じゃあ、○○さんくらいの声で全員が挨拶できたら目標達成ということでいいですか」
このように、教師が目標を具体化したり達成基準を明確にしたりすることで子供たちは動き出します。
構成/浅原孝子 イラスト/いさやまようこ
「目標に向かって学級をひとつにするには」〈後編〉へ続く
※第16回以前は、『教育技術小五小六』に掲載されていました。