学年主任に見習う集会活動の指導【4年3組学級経営物語8】
7月①「教師力アップ」にレッツ・トライだ!
文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ
4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。熱い心はこの胸に! …しかし、イザという時、迷いとまどってしまう渡来先生。めざすは、イワオジの教師力。頑張り続ければ、いつか花開く時が来る…。今回は、「教師力アップ」にレッツ トライだ!
目次
<登場人物>
4年合同お楽しみ会
7月初旬の体育館に響く、葵ゆめ先生の華麗なピアノ演奏。そして、盛大な拍手と大声援。
4年生は「合同お楽しみ会~ラストスパートだ!~」の真っ最中。各学級の出し物に加え、先生方のサプライズで会場は大盛り上がりです。
「心が揺さぶられました…。それに比べ拙い芸が恥ずかしい」
少し前に機関車の汽笛や宇宙ロケット発射等の物まねを熱演した渡来勉先生は、自信喪失の様子です。ニッコリ微笑む葵先生。
「子どもの頃から、頑張ってレッスンを続けてきたのよ。もう辞めようって、何度も思ったけど」
「トライし続けるってすごい。昨日までの適当な人生がホント情けない…」
渡来先生の自己批判が続きます。*ポイント1
♢一学期の振り返りを
ようやく、一学期が終わろうとしています。4月以来、走り続けた一学期。一定の成果と満足感はあるものの、何もかも上手くいったわけではないことでしょう。夏休み目前のこの時期に、下のチェック表を使って、一学期の学級づくりについて振り返りましょう。そして、二学期に向けて、自分の学級の課題を見つけましょう。
「反省は中止よ。すごいのが始まるんだから」
葵先生が舞台を指し示します。
大歓声が響き、大河内巌先生が登場しました。得意技はジャグリング! みんなを魅了する大胆なボールさばき。
「すごーい!」
「イワオジ、超かっこいい!」
大はしゃぎの子どもたち。
舞台に舞うカラーボールが、瞬く間に両手に次々と吸い込まれます。
葵先生がそっとささやきました。
「いつ見ても大迫力…、さすが、パリの大道芸人直伝の技ね」
「す、すごすぎるぅ!」
大きくのけぞる渡来先生。
華麗な演技を終えて戻ってきた主任が、サラッと答えます
「パリのピエールじいさんに教わったんだ。昔、世界を放浪していた頃にな」
イワオジの〝教師力”の原点
「いろんな国で、ボランティア活動に参加した。学校に行けない子どもたちを支援して、教育の大切さを強く感じた。…だから、教師になったんだ」
夕日に染まる町並み。
主任の思い出話の続きを聞きたくて、帰路を共にする渡来先生たち。
「優れた教育は人を幸せにする。が、その実現には教師の熱い心と豊富な引き出し必要だ」
「もっと頑張らなくちゃ。私も…」
うなずく葵先生。
珍しく多弁な主任に、問いかける渡来先生。
「熱い心…、同感です。でも、引き出しって??」
「教職に必要な様々な知識や技術、具体的指導法、多様な対応方法などですね」
葵先生に応じる主任。
「どれも現場でしか磨けない力だぞ」
「引き出しも乏しいし…。教師になって3か月、ずっと悩んでます。大河内先生のような教師力を、早く身に付けたいです」*
下を向く渡来先生。
「為すことによって学ぶ、…それでいこう」
突然立ち止まる主任に、慌てて急停止する渡来先生。通行人とぶつかりかけ、思わず謝ります。
「よーし…、一学期の最後の総合的な学習『世界の国からこんにちは』のゲストティーチャーとの打合せは、渡来先生に任せるよ」
驚く渡来先生に、主任がボソリと言葉を続けました。
「子どもに課題を持たせ、自主的な学びにつなぐ。引き出しづくりに、レッツ・トライだぞ!」
(7月②につづく)
『小四教育技術』2017年8月号増刊より