コロナ下における家庭科 感染リスクに配慮し指導計画を再検討しよう
児童の実態を把握する際の手順とポイント等についてご紹介します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・山崎邦彦
目次
①まずは調査することから
実態把握には、幅広い情報収集が必要不可欠です。学習に関すること、生活の改善に関すること、食習慣や体力等に関することなど、調査を行うことにより、全体の傾向や個別の特徴等に触れることが大切です。
調査の目的は、子供たちの心理的な心構えや活動等に関する準備の度合いを理解することです。効果的な調査に向け、目的を明確にしましょう。
②情報の細分化と分析のポイント
幅広く情報を収集したら、分析を行う必要があります。例えば、「単元別」や「観点別」、「活動の形態別」や「習熟度別」など、調査した内容を細分化し、項目ごとに分類、整理をしましょう。
その際、結果を文字や文章等でまとめるだけでは不十分です。表や多様なグラフ等を用いて可視化すると効果的です。
棒グラフは、部分と部分の量の大小を比較する際に活用します。一目で最大値や最小値を把握することができ、項目ごとの比較も容易です。
折れ線グラフは、値の移り変わりをすのに最適です。全体の変化の様子や部分の傾向等に着目すると、全体像を簡単に把握することができます。
円グラフや帯グラフは、全体に対する部分を割合で表すものです。数値の比較をしたり、関係づけたりすることで実態把握の材料になります。
この他にもレーダーチャートや散布図、度数分布表やフローチャートなど、児童の実態を把握する多様な表現方法があります。
実態調査の目的や活用場面に応じた方法で児童理解を深めていきましょう。
③活用と実践
「原因を追求することで、解決策が明らかになる」という言葉が示すとおり、手探りでやみくもに解決策(指導方法)ばかりを追い求めても効果は薄いものです。目的を明確にした児童理解、実態把握に努めましょう。
④指導計画の再検討
文部科学省の『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」』には、
家庭、技術・家庭における「児童生徒同士が近距離で活動する調理実習」は、感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動
参考資料・文部科学省「学校の新しい生活様式」より
と示されています。 家庭科等は、具体的な活動場面を想起し、年間指導計画を再検討します。その際、1年間を見通し、感染リスクを考慮した指導計画となるように検討します。
家庭科は、調理に関する学習が各学年に2、3題材が配置されています。これらは、社会の状況が改善してから実施するよう年度末に計画します。調理は、「教師が示範する調理実験」や「実験動画」による指導も可能です。これらを効果的に取り入れましょう。
また、「ミシン」の取扱いも非常に迷います。現時点では、個人の裁縫用具等を活用した学習を優先的に実施するといいのではないかと思います。
他にも家庭科は、消費者教育、金銭教育、環境教育等に関する内容も数多く取り扱っています。
これらは時期を問わず指導することができます。一方、季節や生活様式に応じた内容は、指導時期を逃すことがないように適切に計画を立てたいものです。
家庭科と同じように体育科、音楽科も、感染リスクを考慮して慎重に指導計画を見直していきましょう。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2020年9月号より