学級活動(1) 学級会で議題を集め・選び・話し合う工夫
子供が学校生活をよりよくするために見出した議題を取り上げて、話し合うことを明確にし、学級会で話し合ってみましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・杉本竜也
目次
議題を集める工夫
学校生活の様々な場面から議題が提案されるように環境を整えます。
議題箱(議題ポスト)の設置
いつでも提案できるように、議題箱(議題ポスト)の傍に、提案カードを用意しておきます。内容等に合わせて色を分けてカードを用意するのもいいでしょう。
朝の会や帰りの会の活用
必要に応じて、朝の会や帰りの会などで時間をとり、全員が提案カードを書く機会をつくるということもできます。なかなか提案がないときには、このような方法も考えられます。
掲示物の工夫
背面掲示の学級活動コーナーに、提案カードの書き方を示したり、付箋紙などを用意したりして議題を出しやすい環境を整えます。休み時間や給食時間の話題を付箋紙などに書いて貼っておくことでそこから提案することもできます。
望ましい議題選定のポイント
集まった議題について、学校生活の充実や工場のために、次のようなことに気をつけながら計画委員会で選定します。
望ましい議題の条件
- 多数の子供が早急な解決を望んでいる
- 学級全員が協力しなければならない
- 創意工夫の余地がある
- 学級や学校生活をよりよいものにする など
望ましくない議題の条件
- 個人情報やプライバシーの問題
- 相手を傷つけるような結果が予想される問題
- 教育課程の変更に関わる問題
- 校内の決まりや施設・設備の利用の変更などに関わる問題
- 金銭の徴収に関わる問題
- 健康や安全に関わる問題 など
高学年としてのポイント
高学年においては、中学年までの経験を生かしながら、学級のみならず学校生活にまで目を向けて議題を選定していくことが望ましいでしょう。
(例)新型コロナウイルスの感染予防をしながら学級の絆を深める会をしよう
感染予防のために学校生活においていろいろな制限がある中で、自分たちが経験してきたお楽しみ会を想起しながら、話合いを行います。
ソーシャルディスタンスを意識したり、接触が少なくなるようにしたりと制限があることで、今までのお楽しみ会とは違う関わり方やルールを工夫する必然性ができます。
(例)修学旅行のバスで絆を深めよう
修学旅行という学校行事の中で、学級目標を達成するためにバスの中の過ごし方について話し合います。
話し合うことは、①運転手さん、ガイドさんとの出会いと別れの式について、②学級の絆を深めるレクリエーションについてなど、バスの時間を充実させる計画を立てるようにしましょう。
話し合うことのポイント
学級会で話し合う議題が決まったら、話し合うことを設定しましょう。その際、5W1Hの内容を確認します。
高学年では、出された意見をもとにして、組み合わせたり、よいところを取り入れて新たな考えを生み出したりするなど、創意工夫を生かして合意形成できるようにすることが求められます。そのため⑥の方法の話合いが中心となります。
①〜③については、事前に教師の指導のもと、計画委員会で話合い、決定し、原案説明の際に、共通理解を図れるようにしましょう。
④については、児童の実態や内容によっては、学級会で話し合うこともありますが、事前にアンケートを実施するなどして、計画委員会である程度決めておくことが望ましいです。
教師が計画委員会の話合いに積極的に関わり、学級会では、何を話し合えばいいのかを全員が理解した状態で学級会に臨めるようにしましょう。
そして、年間を通して、いろいろな議題や話し合うことを経験させていきながら、子供の自発的、自治的な活動となるようにしていきましょう。
議題の例
イラスト/菅原清貴
『教育技術 小五小六』2020年9月号より