夏休み明けトラブル未然防止のアクションプラン

特集
夏休みあけの学級経営リスタート特集

夏休み気分の抜けない子供たちのリズムを整えるためのポイントを紹介します。

執筆/福岡県公立小学校教諭・宮原佳太

夏休み明けトラブル未然防止のアクションプラン

夏休み明けの初日に子供たちを温かく迎えよう

夏休み明け直前

登校日、子供たちへのメッセージを黒板に書き、温かく迎えましょう。

子供たちへのメッセージを黒板に書く
  1. 「おはようございます」「おかえりなさい」「待っていましたよ」といった挨拶を書く。
  2. 2学期の行事や学級目標の達成に向け、励ましの言葉を書く。
  3. 日程や宿題の提出方法等、連絡事項を書く。

写真やイラストを添えるのも有効です。子供の気持ちを明るく前向きなものにしましょう。

初日の朝

子供たちの様子を注意深く観察しましょう。

始業前や朝の会の時間では、

  1. 教室に入ってくるときの表情や挨拶
  2. 教師や友達との会話の様子
  3. 座っているときの姿勢
  4. 健康観察のときの顔色や返事

といった点に着目し、支援が必要な子供を把握しましょう。生活習慣の乱れや友達関係の悪化等、夏休み中の変化に早い段階で気づくことができれば、迅速に対応することができます。

子供たちの様子を注意深く観察

朝の会や帰りの会

朝の会や帰りの会を活用して、子供たち同士の関係をつなぎましょう。「どんな夏休みだったか」というテーマで1分間隣の人とおしゃべりをさせる、といった簡単なものでも有効です。ペアトークやレクリエーションを用意し、早い段階でコミュニケーションのきっかけをつくってあげましょう。

子供二人

放課後

当日欠席した子供がいる場合、必ず保護者に電話連絡をしましょう。初日の活動や今後の予定を子供に伝えてもらい、見通しを持たせることで、不安感を軽減させることができます。欠席の理由が登校渋りだった場合は、すぐに子供の相談を受けましょう。具体的な支援の方法を提案し、1日でも早く安心してもらうことが大切です。

楽しい1日にしつつ、子供の様子を丁寧に把握し、すぐに対応を始めましょう。一人ひとりの子供に温かく向き合うという気持ちをいつも以上に強くすることが大切です。

教師と子供たち

夏休み明け1週間で子供たちのリズムを整えよう

家庭学習の未提出があった場合

「持ってくるのを忘れた」「まだ終わっていない」という子供がいた場合、今後どうするかを本人と一緒に考え、決めましょう。子供自身が習慣を見直していく機会と捉えることが大切です。次のような内容で話し合ってはどうでしょうか。

  1. 提出できない原因は何か。
  2. その原因をなくすには、今後どうすればよいのか。
  3. 未提出の分は、「何を」「いつまでに」提出することができるか。

教師は、子供の実態に応じて物の管理や時間の使い方についてのアドバイスをしましょう。

「チェック表を使って持ち物を確認する」「勉強する時間を自分で決め、お家の人に宣言する」といった具体的な方法を一緒に決め、うまくいっているかを確認しながら、子供の自立を支援していきましょう。

チェック表を使って持ち物を確認

生活習慣が乱れていた場合

帰りの会の時間を活用し、生活習慣を整えるための行動目標を決めさせます。

事前に、睡眠、食事、運動についてのアンケートを実施したうえで、

  1. アンケート結果をもとに課題をつかませる。
  2. 課題の原因や、その解決方法について話し合わせる。
  3. 自分に合った解決方法を選び、行動目標として1週間実践させる。

といった流れで進めます。3では、行動目標の達成について毎日確認するシートを準備し、家庭学習の1つとしましょう。実践してみてよかったことを振り返らせたり、保護者や教師が価値づけをしたりして、定着を図ることができます。

家庭学習の未提出があった場合と同様、子供自身が習慣を見直していく機会と捉えることが大切です。

起床時の子供
家庭で食事中の子供

登校を渋る子供がいた場合

すぐに家庭訪問をし、子供の相談を受けたりするとともに、学校の楽しい様子を伝えます。

その際、友達に下のようなカードを書かせ、学習したことや、「待っているよ」というメッセージを伝えるとよいでしょう。毎日、いろいろな友達に書かせるとより効果的です。教師だけでなく、友達の思いも伝えられるので、より安心感を持たせることができます。登校渋りに限らず、欠席した子供にはいつも届けるようにしておきます。

カード
  1. 宛名を書く。
  2. 1時間目から6時間目までの内容を書く。
  3. 宿題や連絡を書く。
  4. メッセージを書く。

書かせる子供は、友達関係を考慮して決めましょう。

子供たちのリズムを整えるために、具体的な方法を準備しましょう。子供が自身で課題を乗り越えられるよう支援するという気持ちが大切です。

イラスト/菅原清貴

『教育技術 小五小六』2020年9月号より

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