学校での居場所、どう作る? 【外国人児童の担任のなったら 第2回】

特集
支援を要する子供たちへの適切な対応集

菊池聡

授業中は一言も話すことがない子供が、休み時間になると、同じ母語を話す子供同士で集まって、大きな声で話している姿を見かけることがあります。

そんな時、「校庭で遊びなさい」とか、「クラスの友達と遊びなさい」とか、「できるだけ日本語で話しなさい」などのように言ってしまうことはありませんか?

「みんなの教育技術」に寄せられた声をもとに、担任が気になるポイントを3回の記事で説明していく本連載、第2回目は学級での居場所づくり編です。

外国人児童の教室での振る舞い

ポイント1 子供のストレスを緩和して心の居場所をつくる

日本と外国では、マナーや習慣が違うので、 ちょっとした行き違い からケンカになってしまう場合もあります。

ある時、南米から来日した子が、食器をトレーに置いたまま食べて、食べこぼしをしているのを目にした隣の日本人の友達が、それを注意したことで、ケンカに発展してしまったことがありました。ちなみに、南米ではテーブルに食器を置いたまま食べるのがマナーだと、その子の保護者から聞きました。

担任としては、日本と異なる文化や習慣を知り、学級の子供たちに「みんな違って、みんないい」と話をすることで、このような行き違いによる間違いをなくすことができると思います。

また、国とは関係なく、日本国内で見ても、北海道と沖縄でマナーや習慣が異なることもあるでしょう。一人ひとりの違いに目を向け、互いに理解し合える関係づくりをしたいところです。

外国人児童にとって、習慣や母語、文化の異なる学校生活は、私たちには想像できないほどの緊張感やストレスがあるようです。担任は、そんな心に寄り添い、ストレスを緩和して「心の居場所」をつくることを心がけてほしいと思います。

ポイント2 日本語を理解できなくても参加できそうな教科は、できるだけ学級で

その子だけ別室に取り出しての日本語学習の時間は、国語など、日本語に強く依存している教科に限定して設定をします。日本語を理解できなくても参加できそうな体育や音楽、図画工作や家庭科などの時間は、できるだけ学級での授業に参加して友達と関わりながら学ぶことができるように調整することが望ましいと思います。

ただ、アジアなどの国の学校では、机に座って「勉強すること」が中心で、体育や音楽、家庭科などの教科を履修したことがない子もいます。スポーツは万国共通言語のように思われがちですが、オリンピック競技にないようなもの(ドッジボール、とび箱、なわとびなど)は、全く経験したことがない子もいます。

水泳はオリンピック競技にはありますが、私は水泳を体験したことがない子とたくさん出会ってきました。こういった知識があるだけでも、外国人児童の学校生活に対する「とまどい」に寄り添いやすいのではないでしょうか?

ポイント3 子供が活躍できる場面を意識的につくる

外国人児童が「主」となって話したり手本を示したりして活躍できる場面を意識してつくることも大切です。たとえば、「母校では図工の時間はなく、切り絵の時間があった」という子に出会った時は、中国人講師を招いてクラス全員で「中国の切り絵」を体験しました。

「餃子の皮は、自作が当たり前」という子に出会った時は、「餃子づくり」をしたこともあります。「外国人児童を輝かせたい」という気持ちを担任がもっておくことで、「ここだ!」というタイミングは、きっと見つかると思います。

切り絵をして楽しむ外国人児童

菊池聡●きくちさとし 横浜市立小学校教師。2001~2003年に香港日本人学校に勤務。帰国後、国際教室を担当。学校という組織の枠を超え、幼稚園・保育園から中学・高等学校との連携、地域ボランティア団体などとの協働を進め、多文化共生と、日本語教育を含めた子供達の教育という視点から多文化共生の地域づくりに取り組む。著書に『学級担任のための外国人児童指導ハンドブック』(小学館)『< 超・多国籍学校 >は今日もにぎやか!ー多文化共生って何だろう』(岩波書店)がある。

菊池聡先生の外国人児童支援シリーズの集中連載
第1回 初めて担任として外国人児童に会う日

次回は、 「外国人児童を指導する際の心構え」についてお伝えします。4月23日(金)午後8時ごろ公開予定です。

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『学級担任のための外国人児童指導ハンドブック』
菊池聡/著
小学館

取材・構成/楢戸ひかる イラスト/畠山きょうこ

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