研究授業はあえて苦手な音楽で【4年3組学級経営物語6】

6月①「授業力向上」にレッツ・トライだ!
文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ
4年3組担任の新任教師・渡来勉先生……通称「トライだ先生」の学級経営ストーリー。授業で勝負できる先生に! その夢を追い、教師道を歩み続ける!!今月は、教師の誇りにかけ苦手教科の音楽の授業を克服するぞ。さあ、「授業力向上」にレッツ・トライだ!
目次
<登場人物>

主人公。教職1年目。教師になる熱意に燃えて、西華小学校に赴任。 やる気とパワーは人一倍あるものの、時には突っ走り過ぎるのが玉にキズ。しばしば飛び出す口癖から「トライだ先生」と 呼ばれるようになる。4年3組担任。

教職20 年の経験豊富な学年主任。4年1組担任。一見いかついが、 温かく見守りながら的確なアドバイスをしてくれ、 頼れる存在。ジャグリングなど意外な特技も。

教職3年目。4年2組担任。新採のトライ先生を励ましつつも一歩リード。きまじめな性格で、ドライな印象を与えてしまうことも。音楽好きでピアノが得意。
〝チーム4年” 炎の1週間!

その日…。苦手な音楽授業を終え、ホッと一息の渡来勉先生を数名の女子が取り囲みました。
「楽しくないよ、トライだの音楽!」
「いつも大声で歌うだけよね」
とどめは、アキの「お願い、 葵先生と音楽の授業、交代して!」という熱烈な要望。
最大の弱点を突かれ、立ち往生する渡来先生。
「やめろ、トライだを苛めるな!」
先生の危機に、体育会系男子のカズたちが反撃開始です。
しかし…、カズが次に放った言葉が、“教師の誇り”を完全に粉砕してしまいました。
「トライだに音楽は無理だろ。空気読めよ!」
月曜日…。放課後の3組教室、新任の研究授業が迫った渡来先生を囲み、打合せの真最中。
「どう解決するんだ? この課題を」
地獄耳の大河内巌主任が、まず先日の件について質問。
「研究授業は音楽で…。全力でトライします!」
「やるしかないわね。チーム4年が完璧に支援するわ。…道はとても遠くて険しいけど」
感動ぎみの葵先生と、眼光鋭い主任の笑顔。
「じゃあ、まず指導案作りに本気でトライだ!」*ポイント1
授業づくりには、教師用の指導書を活用するのも一手です。
指導書には、通称「赤本」と言われる、教科書に朱書きが加えられたものと、細かく解説された「研究編」の2種類があります。授業づくりの参考にしたいのは「研究編」の指導書です。指導書で目を通しておきたいのは、主に次の点です。
①「単元設定の意図」や「系統性」
この単元で、子どもにつけたい力や具体的な言語活動の方法について解説しています。また、他の学年の単元との系統性や関連もあり、広い視野を持って指導をすすめることができます。
②「学習指導計画」と「1単位時間の展開」
この単元全体の指導計画、評価の規準、毎時間の展開例が記載されています。毎時間の展開には、主発問の例や板書計画例もあり、授業を組み立てる時の大きな参考になります。
③「教科書の解説」と「指導の工夫」
ここでは、授業展開のポイントや具体的な学習活動の方法などを解説しています。児童への指導上の配慮についても参考にすることができます。
上記を参考に「何を」「どのように」教えていくのかを工夫することで、
授業力を高めていきましょう。