小6理科「水溶液の性質」指導アイデア

執筆/大阪府公立小学校指導教諭・坂田紘子
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿

単元のねらい

水に溶けている物に着目して、それらによる水溶液の性質や働きの違いを多面的に調べる活動を通して、水溶液の性質や働きについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主により妥当な考えをつくりだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

小6理科「水溶液の性質」指導アイデア
イラストAC

単元の流れ (三次 総時数 12時間)

◆一次 水溶液に溶けている物(5時間)

① 身の回りにはどんな水溶液があるのか、これまでの経験や学習から話し合う。

子供が主体的に問題解決に取り組むためには、解決したい問題が生まれる事象との出合いが大切です。そのために、子供たちの認識とのズレが生じる事象に出合わせることが考えられます。5年生での学習経験から、水溶液を蒸発させれば溶けている物が出てくるだろうと思っていたのに、何も出てこない事象に出合うことで、問題意識をもつことができるようにしましょう。

② 水溶液(炭酸水、食塩水、薄い水酸化ナトリウム水溶液、薄い塩酸など)には何が溶けているのか、蒸発させたり、気体を集めたりして調べる。

どれも透明で見た目は同じだけれど、においが違うからそれぞれ違う水溶液だね。

5年生の学習では、食塩水やミョウバン水は蒸発させたら、溶けている物が出てきたよ。

本単元は「粒子」を柱とする領域に位置付けられており、子供が自然事象を主に「質的・実体的」といった見方を働かせて追究することが大切です。具体的には、においの違いやリトマス紙の反応の違いから「質的」な違いを捉えようとしたり、見た目にはわからない水溶液に溶けている物や、溶けた金属を「実体的」に捉えようとしたりすることです。

蒸発させても何も出てこなかった水溶液(炭酸水や塩酸)は、何かの気体が溶けているのかな。

③ 炭酸水に溶けている物を調べたり、二酸化炭素を水に溶かしたりする。

◆二次 水溶液の仲間分け(2時間)

① リトマス紙を使って、水溶液を仲間分けする。

◆三次 水溶液と金属(5時間)

① 金属(鉄、アルミニウムなど)に水溶液を加え、金属が変化するか様子を比べる。
② 溶けた金属はどうなるのかを調べる。【活動アイディア例】

より妥当な考えをつくりだす力を育成するには、「多面的に考える」ことが大切です。本単元では、水溶液に溶けている物は気体か固体か、酸性かアルカリ性か、金属を溶かすことができるかなど、様々な側面から考えることで、水溶液をより的確に捉えることになります。

単元の終わりに期待される振り返り

水溶液はみんな同じように見えるけれど、それぞれの性質に合わせて気を付けて使わないといけないね。目に見えないけれど、危険なものもたくさんあるね。

水溶液の性質をうまく利用して、物を溶かしたり汚れを落としたりすることで、私たちの生活に役立っていることがたくさんあるんだね。

実験に使った水溶液は、水道に流さずに容器に回収していたね。普段の生活の中でも使った洗剤や水溶液が流れていくことで、環境への影響を考えないといけないね。

授業の展開例

イラスト/高橋正輝、横井智美

『教育技術 小五小六』2020年1月号より

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