子供のケンカをチャンスに変える方法とは?【動画】
多くの若手教師から慕われる小倉美佐枝先生が、連載記事「令和2年度新任教師のリアル~実習と通常授業の間にある大きな壁~」を読んで、アドバイス! 今回は、「ケガをさせないことで精一杯」という新任教師の言葉が気になったミサエ先生です。
目次
勤務時間に追われず、自分のペースを大切に
若手の先生に限らず、中堅の私ですら勤務時間はどうしても遅くなってしまいます。「何時までに帰ろう」と決めてもなかなかこれが難しい。効率的や時短での仕事の進め方は、仕事内容や、やり方がわかっているからこそできるものです。
そうした経験の積み重ねの中で取捨選択できる状態になってできるようになるものかなと。1、2年目の先生はそれができなくて当然です。「自分は仕事ができない」と、自分を追い込まず、自分のペースを大切にしてほしいです。
「子供にケガをさせない」は教師の視点
お二人の会話の中で気になったのは「子供たちにケガをさせないことで精いっぱい」という点。子供にケガをさせない意識は先生誰もが持っていて、安全な学級づくりを心がけていても時にはケンカもあります。
「子供にケガをさせない」は教師の視点。大切なのは「子供自身がケガをしないよう、安全に過ごすにはどうすればよいか」自ら考える機会を作り、それを実行していくこと。
ケンカはするもの。しないことが奇跡です。うまくいかないことも経験だと思って、挑戦し続けていくよう促していくのはどうでしょう。
自分とは違う考えがあることを学べるのが学級
ケンカは1人ではできず、友だちがいるからこそ起こるもの。そして学級は自分とは違う他者とのつきあい方が学べる良い場所です。その中でどうやって解決していけばよいか、考える機会をぜひ作ってほしいです。
ケンカを抑制するのではなく、「うまくいかないこともあるよね?」「何に困っているの?」と両者に尋ね、それぞれの思いを聞き出します。そして相手の思いを知ったことでどう思ったか、考えさせます。
私だけで解決できない時は、クラスのみんなに意見を求めることも。疑似体験できるチャンスと思って、学級全体で考えます。みんなの意見によって選択肢を増やし、どうすれば解決するか、二人に決めさせます。
その経験を経て、自分と友達の考えは違うということを学べます。そしてクラスのみんなに助けてもらえるということも学べるのです。
ケンカは教師や子供にとって学びのチャンス
ケンカをしている子供たちの姿を見て、落ち込んでしまう先生がいます。でも、そこは学びのチャンスと気持ちを切り替えてみましょう。ケンカをした二人にとって人づきあいを学べるチャンスであり、ほかの子供たちにとって生活指導を学べるチャンスです。そして、私たち教師にとっても子供たちと向かう時の視点が増えるチャンスです。
ケンカを抑制するだけでは、ケンカの頻度が増えるし、ケンカの質も悪くなっていきます。丁寧にケンカを扱うことで、手を出したり、悪口を言ったりなどの回数が減っていき、ケガをしないということにもつながります。
ジャンケンによって覚悟が決まる
ケンカの解決方法のひとつとしておすすめなのが『ジャンケン』。
・グー、チョキ、パーでルールが簡単
・誰にでもできてわかりやすい
・すぐ結果が出る
・結果がわからないワクワク感
こんな理由から子供たちはジャンケンが大好きです。また、解決方法がジャンケンと決まった場合、負けた時は自分の思うような結果が得られないという覚悟もできます。
だからジャンケンをする際には「勝った時はこうする」「負けた時はこうする」と、基準をはっきりさせて、結果に至るまでの過程を丁寧に扱うことで、子供たちだけでもケンカの仲裁ができるようになったりします。
ミサエ先生による愛あるメッセージいかがでしたか?
抑制するのではなく、ケンカは学びのチャンスと捉えて丁寧に扱うことで、子供たちも先生も対応の幅が広がっていきます。ぜひ、実践してみてください!
若手教師の本音を知ることができる「令和2年度新任教師のリアル」はこちらから!
小倉美佐枝(おぐら・みさえ)
若手教員向けのセミナーで圧倒的支持を集める個性派ポジティブ教師。共著に『女性教師の実践からこれからの教育を考える!』(学事出版)ほか。