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コロナ下「11月の荒れ」初期対応のポイント

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特殊な状況下でスタートした二学期は、例年以上にトラブルが起こりやすい時期。クラスの荒れを防止するための指導や学級崩壊につながらないための初期対応の方法をベテランの先生方から徹底取材しました。

写真AC

例年、11月は荒れの危険性がある時期と言われます。特に今年はコロナ禍という特殊な状況もあり、問題が生じるといっそう難しさが増すかもしれません。いったん荒れの兆候が出たときに、それをどのように解決していけばよいのでしょうか。

子供の心に寄り添う「ハッピールーム」をつくる

宮城県公立小学校教諭・鈴木美沙緒

まず、宮城県公立小学校の鈴木美沙緒先生は、コロナ禍という特殊な状況への対応には学校体制づくりが重要だと話します。

「本校では学校再開に向け、家庭の状況や生活の乱れなどの多様な理由から、登校を渋る子や心の悩みを抱えた子供が出てくるだろうと考え、特別な教室を一つつくりました。

それは子供の心に寄り添い、なんでもできる教室で『ハッピールーム』と名付けました。担任をもっていない発案者の私が担当となり、当初は数人の子供がここに通っていました。

『ハッピールーム』は、机にきれいなテーブルクロスをかけたりして、ランチルームのようなかわいらしく入りやすい雰囲気にしています。そこで、例えば『ハッピールーム』という看板を子供たちと一緒に作ったり、勉強も一緒にしたりしながら、子供たちの思いを聞き、話をしていったのです。そうやって、子供の心に寄り添いながら、次第に教室に入れるようにしていくわけです。

そこでは保護者の方も一緒に通ってこられて、私と話をする場合もありました。

そうした取り組みを通して、1、2か月の間に次第に学級に入れるようになり、今はほぼ全員が教室に入って落ち着いて学習できるようになっています。

これは教室に入っていくための方法ですが、万が一、学級の中で落ち着かなくなる子が出た場合も、『ハッピールーム』で心が落ち着くまで過ごすことも可能です。特にコロナ禍のような特殊な問題がある今は、学校体制をつくって対応することが必要だと思いますし、担任としてもそのような体制づくりの提案をすることが大切だと思います。

そのような体制づくりがない状況で、万が一、落ち着かない子たちが出てきた場合には、やはり子供の心に寄り添うために放課後など、まず子供の思いをじっくり聞く時間を取ることが大切だと思います。もしそれで解決できなければ、加えて保護者とも話をして、保護者の思いや願いを聞き取り、そのうえで可能なことは実行し、対応が可能でない場合は折衷案を示し、解決を図ることです」

クラスの身近な問題を取り上げて、子供たち自身に考えさせる

新潟県公立小学校教諭・井畑悟

コロナ禍の有無に関わらず、授業づくりが鍵だと話すのは、新潟県公立小学校の井畑悟先生。そのうえで解決策は、クラスの身近な問題を自分ごととして考えさせることだと話します。

「私はやはり一人ひとりの子供が授業を楽しいと感じ、授業を通して『こんなことが分かった』『これができるようになった』と実感をもてるようにすることが、最大の荒れ防止策だと考えます。学校生活の中心である授業で、子供たちが成長を実感できれば、クラスが荒れることはないと思います。

それでもコロナ禍のような特殊な状況があると、難しい面もあるかもしれません。そこで万が一、クラスが荒れの種になるような落ち着きのない状況になってきたときは、なるべく身近でどの子にも関わるような身近なことを取り上げて、子供たち自身に考えさせるのがよいと思います。

もし大きな問題行動を取り上げると、当事者とそうでない子の間に温度差が生じますし、取り上げられた子供自身にも反発心が生まれてしまう可能性があります。

だからこそ、どの子にも関わるような、例えば、教室の整理整頓や提出物の散乱といった、誰にも関わる身近な問題を取り上げて、子供たち全員に自分ごととして考えるように投げかけるのです。

それも『どうしてこんなに汚れているの!』と叱るのではなく、『みんなが過ごす教室がこんなに汚れているんだけど、どう思う?』と問いを投げ、子供たち自身に考えさせていくわけです。

学級が荒れてくる状況というのは、先生と子供たちの信頼関係が崩れかけているわけです。だから、『これが悪い』と、先生の価値判断を上から押し付けられると子供たちに反発心が生まれます。ですから子供たち自身に考えさせ、どうしたらみんなで解決できるか、その方法を考えて実行するように促していくのです。

そうやって、子供たち自身が日常を過ごし、学ぶ場の環境を協力して整えていくほうに意識が向けば、次第に悪循環の輪が逆に回り始めていくことになると思います」

「分かる」「できる」授業づくりが荒れ防止の最良策
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