高学年が燃える「プロジェクト制」【ぬまっち流】

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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

小学校高学年の担任になったら、子どもには、自分で考えて、自ら動いてほしい! 教師に言われなくても動けるようになってほしい! そう願うものですよね。でも、実際は……教師が一番動いている状態になっていませんか?そこで、「子どものやる気に火をつける」プロ、メディアでもおなじみの「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生に、お話を聞きました。

沼田晶弘先生 写真/下重修

「教師がやらないことを増やすこと」が大事

僕は、子どもが自分で動くようになるためには、「子どもが自らやる気になる仕組みを考え、きっかけをつくること」と「あえて教師がやらないことを増やすこと」が非常に大事だと思っています。

あえて教師が子どもに「やる気になれ」とは言っても意味はありません。教師は、子どもがやる気になるきっかけを考えればいい。あとは子どもに任せるしかありません。

なぜならやる気は出そうと思って出るものではなく、自然に湧き出るものだから!

子どもが自らやる気になり、自分で動くようになる→先生はやることが減る。さらに子どもの言動やその成果を見て成長を実感し、子どもたちの行動を心から喜べるようになる→教師の仕事が楽しくなる!

そんな仕事がしたいと思いませんか!?

「漢字テスト強化プロジェクト=KTK」ちょっとかっこいいネーミングでやる気UP!

そこで今回紹介するのは「個別並行プロジェクト制」です。

僕の教室の背面の壁には、花で飾られたたくさんの台紙が掲げられます。この紙に書かれているのは、すべて子どもたちが考えたプロジェクト。「習字の紙を貼るプロジェクト」といった係活動に近いものや、「漢字テスト強化プロジェクト」など様々です。達成したものにはこのように花がつけられて飾られます。現在進行中のプロジェクトは教室の扉周りに貼って差別化します。

達成したプロジェクトの数々
達成したたくさんのプロジェクト 写真/下重修

ポイントは、プロジェクト名のかっこよさ。「習字の紙を貼るプロジェクト」ならSKH、「漢字テスト強化プロジェクト」ならKTKといった具合です。プロジェクトはやりたい人が2人以上いれば立ち上げることができ、朝の会や帰りの会でメンバーを募ります。すべて期限付きで、期限内に達成すれば花をつけて壁に飾れるというルールにします。

プロジェクトは自分で選んで参加できる

個別並行プロジェクト制のメリットは、自分の興味のあることだけ選んでやればよいところ。掛け持ちもOK! 自分の得意なことを生かして、自分なりの目標を設定できるため、一人ひとりのやる気を引き出すことができるのです。プロジェクト数をどんどん増やすことで、全員が活躍できる機会が作れます。

ちなみに、いろいろなメディアで紹介もされたので、ご存知の方もいるかもしれませんが、プロジェクトを立てるモチベーションを維持するために僕が考えた大きな目標は、「全員で帝国ホテルのレストランでディナーを食べて、リムジンに乗って帰る」というもの。

この目標達成のために子どもたちが考えたのが、プロジェクトによって賞金を集めることでした。「GSC=学校新聞コンクールへの応募」「TSC=図書館を使った調べる学習コンクールへの応募」など賞金がもらえるコンテスト系のプロジェクトがたくさん立ち上がり、実際に十分な金額が集まって、目標達成することができたのです。

「勉強しなさい」と言われて全くやらない子でも、プロジェクトだと思うと俄然やる気になるものです。そして、このプロジェクトに積極的に参加することで、勝手に成績も上がります。

大事なのは「やるのが楽しい!」と感じることなのです。

取材・文/出浦文絵


沼田晶弘先生 写真/下重修

沼田晶弘:1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学付属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。

『小五教育技術』2018年5月号より

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