小5国語「和の文化を受けつぐ―和菓子をさぐる」指導アイデア

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教材名:「和の文化を受けつぐ―和菓子をさぐる」(東京書籍)

指導事項:A 話すこと・聞くこと イ  言語活動:ア
指導事項:C 読むこと カ  言語活動:イ

執筆/福岡県公立小学校教諭・矢野万理
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次

小5国語「目的を意識して読み、資料を活用して『和の文化』の魅力を伝えよう」指導アイデアのイメージイラスト
イラストAC

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

「和の文化」に関する複数の本や資料を目的をもって読み、伝えたい内容に応じて適切な資料を使いながら説明する力を育成します。

②言語活動とその特徴

本単元では、「いろいろな本や資料から和の文化について調べたことを基にプレゼン大会を開く」という言語活動を設定しています。オリンピックイヤーを迎え、世界各国の人々が日本を訪れることが予想される今、私たち日本人が日本の文化を再認識することは大切です。

「和の文化」について調べ、説明するという言語活動は、子供が目的意識をもって取り組めると考えます。本教材は、子供が想起しやすい和菓子が題材であり、序論・本論・結論の構成が明確な文章です。

また、和菓子を「歴史」「ほかの文化との関わり」「文化を受けついだり支えたりする人」の三つの観点から説明するという構成が、自分が調べたい「和の文化」に迫り、発表するための手引きになります。

さらに、図表や写真を用いた説明のしかたが、今後の子供の発表にも生かしやすくなっています。小グループで一つの文化について説明するという単元設定が、子供らの協働的な学びを支えます。

以上のことから、本単元で身に付けたい力、「目的や意図に応じて、事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら、場に応じた適切な言葉遣いで話す力」(A 話すこと・聞くこと イ)と、「目的に応じて、複数の本や文章などを選んで比べて読む力」(C 読むこと カ)の育成にふさわしい言語活動であると考えます。

単元の展開(13時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

①「和の文化」について関心をもち、グループごとに調べて発表したい。「和の文化」について、その魅力を伝えるプレゼン大会を開くという単元を設定し、学習計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び

【単元】目的を意識して読み、資料を活用して「和の文化」のみ力を伝えよう

第二次(2~5時)

②③④目的を意識して序論と本論1、本論2、本論3、を読み、書かれている内容を読み取る。

⑤結論部分を読んで文章の要旨をまとめ、自分の考えや疑問、調べたいことを振り返り、次時からの学習につなげる。
※並行読書

第三次(6~13時)

⑥⑦説明会に取り上げる題材と調べる観点を決め、本や資料から必要な情報を集める。
→アイデア2 対話的な学び

⑧必要な情報を選んだり組み合わせたりして、説明する内容を考える。

⑨伝えたいことが明確に伝わるように、説明の構成と必要な資料を考える。

⑩構成に沿って発表する内容を考え、資料を用意する。

⑪説明の内容や資料の使い方などについて、グループで助言し合いながら、説明会の練習を行う。

⑫⑬「和の文化」プレゼン大会を行い、感想交流をして、学習を振り返る。
→アイデア3 深い学び

アイデア1 目的意識を明確にし、より意欲的に取り組むための単元の設定

主体的な学び

単元の導入では、子供にとって、目的を明確にし、使命感をもって調べ、説明したいという気持ちが高まるような設定を工夫します。二種類の設定を例に挙げるので、実態に応じて取り組みやすい方を選ぶことができます。

一つ目は、「わたしたちの県の伝統文化を発信しよう」という設定です。この場合、「もの」に限らず、地域の祭りや伝統的な行事等の「こと」、地域で活躍する職人等の「人」に範囲を広げて題材を探究することもできます。

シビックプライドの醸成にも有効です。経済産業大臣が指定した全国各地の伝統的工芸品が紹介された日本地図も作られています。見た目にもわかりやすく、子供の興味・関心を高めるのに役立ちます。

二つ目は、「伝統文化のハローワーク 求む!次世代の担い手」という設定です。伝統文化の中には、深刻な後継者不足を抱えるものもあります。その背景を知った上で、自分たちがその伝統文化の担い手の一人として、次世代の若者を勧誘するためにその魅力を伝えます。

作り手の思いに寄り添い、迫ることができます。どちらの設定でも、より目的意識が明確になり、子供の単元に向かう意欲が高まると考えます。

▼より具体的な設定

より具体的な設定
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アイデア2 題材にぴったりの視点と説明のしかたを考えるグループ会議

対話的な学び

グループで題材や担当を決める話合い活動の場面では、調べる題材に対して的確に魅力を伝えることができる「さぐる視点」を決めることが最も重要です。

それぞれの単元の設定(「わたしたちの県の伝統文化」か「ハローワーク」か)とあわせて、その目的を達成するために効果的な視点は何かを、その理由を明確にしながら互いにじっくりと話し合えるようにしたいものです。

そして、その視点を説明するのに最も適切な資料を選ぶことにつなげていきます。そのために今までに学習した内容から視点や資料の種類を想起させ、子供と一緒にまとめるひと手間をかけることが大切です。

▼さぐる観点

・歴史や背景
・季節との関わり
・地域の風習や行事との関わり
・素材、材料へのこだわり
・作り方、工程
・実物に対して(こだわり、種類等)
・支える人たちの思い・願い
・使った人たちの感想 等

▼説明に適切な資料

・写真
・年表
・表、グラフ
・図、図解
・作り方などの工程表
・ポスター
・リーフレット、パンフレット等

これらをグループ全員で話し合ってから、担当を振り分けると、自分の得意なことを生かして意欲的に調べ活動や資料の作成に取り組めると考えます。

担当が決まってからも、企画段階で全員が全体の内容を共有していることで、自分が調べている途中で、グループの友達が有効な資料にも気付いて紹介し合うことができるなど、協力しながら調べ活動を進めることができます。

アイデア3 伝え合うことで、達成感を実感できる相互評価の工夫

深い学び

プレゼン大会のもち方に関しては、全体で一つずつ聞き合う、半分に分かれて聞き合う、隣の学級に向けて説明し合う等、様々な形式が考えられます。できる限り全グループの説明を聞き合えるようにします。

その際、相互評価にもつながる、説明を聞いた側の感想シート(下図参照)を活用します。説明のしかた等の内容面、発表のしかた等スキル面、思いが伝わったかどうかの心情面に分けて、評価できるようにします。

このシートは、聞き手にとっては聞くための視点となり、説明する側にとっては発表の力点ポイントであり、評価にもなります。伝わったという喜びは、さらに深い学びを目指す次の学習への意欲を高めることにつながります。

▼説明を聞いた側の感想シート

説明を聞いた側の感想シート
クリックするとPDFがダウンロードできます

深い学びへ誘うヒント

本単元のように複合的な領域でねらいを達成することを目標とする場合、「読むこと」の目標が、「話すこと・聞くこと」の目標に結び付き、子供にとって読み取ったことが発表するために必要だ、と実感できるような単元構成を工夫することがポイントです。

『教育技術 小五小六』2019年11月号より

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