小5国語「不思議な世界へ出かけよう」指導アイデア

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教材名:「不思議な世界へ出かけよう」 東京書籍

指導事項:B「書くこと」 イ
言語活動:イ

執筆/福岡県公立小学校指導教諭・副島康平
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次

小5国語「構成を工夫して物語を書こう」指導アイデアのイメージイラスト
イラストAC

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

筋道の通った文章となるように、文章全体の構成や展開を考えて書く力を育成します。

②言語活動とその特徴

本単元には「想像したことを基に物語を書く」という言語活動を位置付けます。物語を書くことは、物事を見つめ、思考し、想像し、それを文章化する力が必要です。

また、物語の世界は虚構であるとは言え、決して現実から遊離したものではなく、むしろ現実をしっかり踏まえたところに成立します。豊かな想像の世界は、現実を見据える確かな目があってこそ生まれます。

物事を客観的に見つめて考えたり、それを文章で表現したりできるようになってくるこの時期の子供には、本教材に対する興味・関心の高まりが期待できます。

そこで、前単元での「物語をおもしろくしている表現の工夫」を探した学習経験を生かし、「想像したことを基に物語を書く」という言語活動は、本単元で育成を図る資質・能力「筋道の通った文章となるように、文章全体の構成や展開を考えて書く力」(B 書くこと イ)の育成にふさわしいものであると考えます。

単元の展開(6時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

①日常の作文や絵に描かれた人物の立場から、物語を書くなどしたこれまでの書く学習経験と、ファンタジー作品やそれらの構成・表現の工夫を読む学習経験の想起を結んで単元を設定し、学習計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び

【単元】構成を工夫して物語を書こう

第二次(2~5時)

②絵などを手がかりに「時」「場所」「人物」や「出来事」など、物語のあらすじや設定を考えて想像を広げる。
→アイデア2 対話的な学び

③「構成メモ」を作って物語の構成を考える。
→アイデア3 深い学び

④作った「構成メモ」を基に、筋道の通った文章になっているかに気を付けながら表現を工夫して物語を書く。

⑤書いた物語を読み返し、適切な構成や記述になっているかを確かめ、推敲する。

第三次(6時)

⑥書いた物語を読み合い、文章のよさについて感想を伝え合ったり、これまでの学びを振り返ったりして本単元をまとめる。

アイデア1 既習や体験にモデルやサンプルを加えて、問いを生み出す単元設定

主体的な学び

子供はこれまでに絵に描かれた人物の立場から、物語を書くという学習を経験しています。また、宮沢賢治の「注文の多い料理店」を構成や表現の工夫を見つけながら読む学習もしてきています。さらに既習教材でファンタジー作品を読んだ経験もあります。

そうした「書くこと」と「読むこと」の経験や、書くことの苦手意識などからくる困り感を結ぶことで、「想像を広げ、構成を工夫して物語を書く」ことへの意欲がつなげられるように単元を設定します。

その際、教師の書いたモデル作品とサンプル作品を読み比べて、構成や表現の違いからそのよさを再確認させたり、その他の様々な作品に触れさせたりすることで、「どのように書けば読み手がおもしろいと思うような物語を書くことができるのだろう」という問いを想起させます。

問いを見いだし、書く目的と意図を明確にした単元を設定することで、見通しをもち主体的な学びへ誘います。

▼単元を設定するまでの過程

単元を設定するまでの過程
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アイデア2 物語の設定やあらすじを付箋紙等で共有する対話活動

対話的な学び

物語は読み手に読まれて、はじめて作品として成り立ちます。子供にとっても、自分の書いた文章や物語を、読み手がおもしろがって読んでくれることは、書き手としての喜びを味わうだけでなく、書いた達成感を感じたりこれからの書く意欲が高まったりすることも期待できます。

ここでは、子供が絵から想像を広げて書き出した物語の「時」「場所」「人物」や出来事を、付箋紙(またはカード等)に項目別に書き出す活動を設定します。

その後、書いた付箋紙やカードを基に、ペアやグループで自分の考えた物語の設定を伝え合い、おもしろさを共有する対話活動を設定します。

その際、補足の説明や友達にアドバイスをもらいたい視点を出させ、聞いた友達と感想の交流を通して、考えを再構築させ、構成メモに付加・修正を加えていくようにします。

ペアやグループで自分の考えた物語の設定を伝え合い、おもしろさを共有する対話活動を設定します。
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ペアやグループで自分の考えた物語の設定を伝え合い、おもしろさを共有する対話活動を設定します。
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言葉への見方や考え方を働かせる教師の発問(や声かけ)

深い学び

子供の中には、物語の設定や出来事を考えているうちに、個々の設定事項を広げすぎてしまい、気付けばつじつまの合わない構成メモになっていることもあります。

ここでは、出来事が起こる意味や前後で変化することについて、設定と結び付けて問い返す発問によって、山場の前後と人物の変化について、筋道の通った構成になる視点で読み返していくようにします。

▼教師の発問例

出来事が起こらずに物語が終わっては、なぜいけないのでしょうか。

何も起こらなかったら、ただの人物の紹介だけになって、物語の意味があまりない感じがします。読み手もおもしろくないと思います。

では、とにかくどんな出来事や事件でも、起こりさえすればよいのですね。

関係ない出来事を解決しても、あまり意味がないと思います。そのことで何かが変わるようなことでないと。

事件が起こることは物語の「山場」を作るうえで大切ですが、その前後において人物の心情の変化など、そのつながりも重要ということですね。

わたしの物語は、人物の何が変わるのかな。それは、事件の解決とどのように関係しているのかな。もう一度構成メモを読み返して考えてみよう。

・自身の構成メモを読み返す。
・再度、構成メモに付加・修正する。

深い学びへ誘うヒント

「山場」の前後で中心となる人物の何かが大きく変わることが大切です。出来事は起こりさえすればよいのではなく、中心人物の「何」かを変えるきっかけとなるのか。その前後のつながりを意味あるもとして書くことが、筋道の通った物語を書くうえで重要です。

イラスト/種田瑞子 横井智美

『教育技術 小五小六』2019年10月号より

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