「作家の時間」3回目のレッスン ~事件の解決を考えよう~
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連載|ayaya先生のすてきやん通信
書く活動をワークショップ形式で取り組む学習法「作家の時間」。3回目のレッスンでは、「事件の解決」について考えます。Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生オススメの実践です!
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
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■「作家の時間」はじめてみませんか
■「作家の時間」を面白くする二つの工夫
■「作家の時間」はじめてのレッスン ~魅力的な人物を考える~
■「作家の時間」2回目のレッスン ~中心人物の悩みや課題と事件をつなげよう~
目次
作家ノートの使い方
第1回のレッスン前に、準備する物として、「作家ノート」と「作家ファイル」の説明をしました。「作家ノート」は、作品の構想を考えたり、レッスンの内容を書き留めておいたりするために使い、「作家ファイル」は、原稿を綺麗な状態で保存するために使います。
第3回のレッスンの前に、もう一度「作家ノート」の使い方を伝えます。レッスンを始めて3週間。レッスン内容や物語をノートに書いて、想像を膨らませている子供たちは、より有効なノートの使い方に興味をもって聞くことができるでしょう。
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作家ノートにも、普段授業で使っているノートにも、自分の思いをしっかり書ける子に育ってほしいと願っています。そのため、ノートには「レッスン内容を書く」だけでなく、そこから自分が何を感じ、どう作品に生かしていくかを考えて、記していってほしいと思います。
「おすすめの作家ノートの使い方」は、これまでに「作家の時間」をしてきた子供たちとともに考えたものです。しかし、これが「正解」というわけではありません。
一つの例として提示することで、子供たちがより使いやすいノートをつくるための手立てのします。
レッスン③「事件の解決を考えよう」
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「事件の解決」という言葉は、光村図書では、3年生で学習します。物語の構成の中の、山場やクライマックスの場面のことです。
これまでのレッスンで考えた「中心人物の特徴」や「事件」と結びつけて「事件の解決」を考えるよう、子供たちを促します。このつながりがなければ、読者は物語の先を予想しながら読んでも、期待を裏切られてしまうので、物語はおもしろくなくなってしまいます。
「事件の解決」とは具体的にどういうものかを「スイミー」で確認したあと、他の作品でも考えます。そうすることで、このレッスン内容が、一つの作品にのみ当てはまることではなく、物語はどれも同じような創られ方をしていると気づくことができます。
これまでに学習した作品である「お手紙」(アーノルド・ローベル作・絵、光村図書二年下)と「ずうっと、ずっと、大すきだよ」(ハンス=ウイルヘルム作・絵、光村図書1年下)を例に考えました。
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中心人物は、気持ちや考え方が変わったり、成長したりします。この変容の過程をもっとも魅力的に描くのが、「事件の解決」の場面です。
気持ちが変わったこと、考え方が変わったこと、成長したことが読者に伝わるように書くには、会話文や行動描写、情景描写を工夫する必要があります。これらが伝わるように、二つの作品を、
- どんな登場人物が、最後にどうなったか。
- 最後に変容するために、どんな出来事があったか。
この2点で整理して伝えました。
最後に、
- 事件の解決は、中心人物の特徴と結びつける
- 対人物やその他の人物などとの会話文を入れる
- 気持ちの揺れ動きを表現する
とまとめました。
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レッスンが終わった後は、「ひたすら書く時間」になります。
次回は第4回のレッスンについてお伝えします。
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樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書)ほか。編著・共著多数。
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