コロナ下での学校再開─子どもの安全と学びの保障を両立

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新型コロナウイルス感染症が収束しない中で再開された学校生活。管理職および教員には、感染症対策の徹底を図りながら、いかに子どもたちの学びを保障するかという難しい舵取りが求められています。ウィズコロナ、ポストコロナ時代の学校はどうあるべきかを考えます。

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撮影/金川秀人

学校再開で突きつけられる多くの課題

5月25日に新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言が解除され、6月以降、全国の学校に子どもたちの姿が戻ってきました。休校措置は長いところでは約3か月にも及んだため、学校再開を心待ちにしていた教育関係者、子ども、保護者も多かったことでしょう。しかし、ウイルスの脅威は消え去ったわけではなく、学校現場には多くの課題が突きつけられています。

まず何よりも優先すべきは、児童生徒の安全確保です。子どもたちがウイルスに感染しないよう、消毒・検温の徹底やソーシャルディスタンスを確保した教育活動の工夫など、安全と学習の両立を目指す試行錯誤が各学校で続けられています。

また、3か月もの学習の遅れをいかに取り戻すかも重要な課題です。休校期間中、家庭でのプリント学習やICTを活用した学習などは行われていたものの、教員と児童生徒の双方向の授業、子ども同士が交流する形の授業はほとんど行われず、この4月から新学習指導要領が全面実施となった小学校はもとより、受験がかかわる中学校・高校も大幅な教育課程の見直し、再検討を余儀なくされることとなりました。

学校再開にあたり文部科学省が総合対策を発表

こうした事態を受けて、文部科学省は6月5日、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の『学びの保障』総合対策パッケージ」を公表、感染拡大の状況にかかわらず、子どもたちの学びを最大限に保障するとの考えに基づく各種方策を示しました。

この中では、時間割編成の工夫や土曜日の活用、学校行事の縮減などを行ってもなお、当初予定の指導を年度中に終えることが困難な場合には、次年度以降を見通した教育課程の編成や、学校の授業における学習活動の重点化といった特例を認めること、および加配教員、学習指導員などの人的支援や感染症対策のための消毒液、非接触体温計といった物的支援を行うことなどが示されました。また、「GIGAスクール構想」におけるハード・ソフト・人材を一体とした整備を加速させることや、特定警戒都道府県に指定された地域など、優先すべき地域でICTを活用したオンライン学習が全児童生徒に可能な環境を実現させるといった方針も盛り込まれています。こうした方策のもと、各学校では子どもの学びを保障するためのさまざまな手立てを講じていくことになります。

新型コロナウイルスの影響下における教育活動は、残念ながら今後しばらくは続くでしょう。であるならば、この機を日本の教育行政および学校のあり方を根本から見直し、再構築するためのスタート地点と考え、前向きに取り組んでいくという考え方も必要になるでしょう。

構成・文/葛原武史(カラビナ)

『総合教育技術』2020年9月号より

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