「作家の時間」はじめてのレッスン ~魅力的な中心人物を考える~
連載|ayaya先生のすてきやん通信
書く活動をワークショップ形式で取り組む学習法「作家の時間」。今回は、第1回目のレッスンについて紹介します。Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生イチオシの実践です!
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
■「作家の時間」はじめてみませんか
■「作家の時間」を面白くする二つの工夫
目次
レッスン①「魅力的な中心人物を考えよう」
いよいよ子供たちと書いていくレッスンのはじまりです。1回目のレッスンは、書きたいことを具体的に想像できるように、「魅力的な中心人物を考えよう」としました。
1.レッスンを始める前に
まず、「中心人物」という用語について押さえます。用語を共通理解することで、どの学年、どの授業でも新たな文章に出合ったときに、用語を使って話し合ったり、発表したりする子供が育ちます。すると、次の学年になっても学んだことがゼロになってしまうということはありません。子供が用語の定義を理解して、使えるようにしていきましょう。
2.『スイミー』で考える
『スイミー』(レオ=レオニ 作・谷川俊太郎 訳)を例に、中心人物について考えることにしました。「作家の時間」は3〜6年生で行っているので、全員が読んだことがあります。
『スイミー』を例に挙げた理由は、それだけではありません。
『スイミー』の冒頭では、スイミーが住んでいる場所、仲間(家族構成)、人物の特徴(色、得意なこと、名前)が分かりやすく書かれています。中心人物を魅力的にするには、特徴が明確であり、その特徴とつながる事件とその解決が待ち受けている必要があるのです。『スイミー』は、これらを理解するのにぴったりな作品です。
3.イメージマップを書き込む
ノートの左側にスイミーの絵を簡単に描かせます。そして、『スイミー』の冒頭部を読み、イメージマップのように特徴を書き込んでいく学習をしました。
できるだけたくさんの特徴を書くように促すと、子供たちは、書く力をつけると同時に、読む力も身につけていきます。
4.魅力的な人物にするためのアドバイス
最後に、魅力的な人物にするためのアドバイスとして、
「得意なこと、苦手なこと、強力な仲間やアイテム、悩みや課題を考える」
と、まとめました。
5.レッスンが終わったらひたすら書く!
レッスンが終わった後は、「ひたすら書く時間」になります。
スイミーで書いたイメージマップのように、自分で登場人物の絵を簡単に描いて、特徴を考えていきます。
1回目のレッスンを終えると、休み時間に6年生の児童が、私のところへ出来上がった中心人物のイメージマップを見せに来てくれました。見せてくれたプリントには、「お話ができあがるのを楽しみにしているよ」というメッセージを書きました。
6年生の児童に許可を得て、3〜6年生に紹介しました。友達の頑張りは意欲に、先輩の作品は憧れになります。クラスで行う場合にも、できている子の作品をどんどん紹介するようにしましょう。
次回は第2回のレッスンについてお伝えします!
樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書)ほか。編著・共著多数。