自主的に行動できる子供を育てる「ルーティン表」の活用法【動画】

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髙橋朋彦の「トモチャンネル」
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千葉県公立小学校教諭

髙橋朋彦

みなさんの学級の子供たちは自分で行動できていますか? 朝の時間や休み時間、つい遊んでしまってやるべきことができない、ということも多いのではないでしょうか。毎日の同じ行動くらいは、自分たちの力でやれるようになってほしいものですね! 

そこで教育技術本誌でもおなじみのトモ先生こと髙橋朋彦先生が、子供たちが自ら行動できるようになるための「ルーティン表」の作り方と活かし方についてシェアします!

毎日のことが自発的にできるようになる「ルーティン表」

皆さんの学級の子供たちは、自分たちで行動できているでしょうか?

私の学級では、朝、登校したら自分のランドセルを片付けて朝読書を始めるのですが、友達と遊んでしまって、なかなかできないことがあります。そうすると、朝読書の時間にざわついてしまって、1日中ざわついた雰囲気になってしまいます。

朝の行動は毎日決まっているので、できて当然なのですが、残念ながらできないことがよくあります。

遊んでしまってできない

その時、「早くしなさい!」と強めの指導をしてもよいのですが、朝からそういう指導はしたくないですよね。毎日の同じことくらい、自分たちの力でできるようになってほしいものです。

そんな時、私の学級で効果的だったのが「ルーティン表」です! これを使えば、自分たちで見通しを立てて行動できる「第一歩」となります。

今回は、この「ルーティン表」の作り方を3つのステップでご紹介します!

作り方①「困り感」を共有する

1つ目のステップは、「困り感を共有する」です。

たとえば、こんな形で子供たちに投げかけます。

「ねえ、みんな、朝読書の時間、ざわついた雰囲気でうまくできてないよね? これ、どうしたらできるようになるかな?」

(子供たちから意見が出てくる)

「……あ、なるほど。
朝読書の準備を早くすればいいのか!
じゃあ、どういうふうに準備していったらいいか、みんなで考えていこうね!」

このように、みんなで「困り感」を共有します。

先生と子供で協議中「どうしたらできるようになるかな?」
「どうしたら、できるようになるかな?」

作り方② 行動を「見える化」する

2つ目のステップは、「行動を見える化する」です。子供たちから行動のステップを聞き出します。

「じゃあ、何をしていったらいいか、みんなで考えてみよう!
1番目、最初に学校に来た時、何をする?
……なるほど、“宿題を提出する”だね。」

「2番目は?
……なるほど、“ランドセルを片付ける”。」

「3つ目は?
……なるほど! “本を用意する”だね!」

「4つ目は?
……ああ、なるほど、“座る”。」

「5つ目は?
“座って静かに読み始める”。
なるほど! ありがとう!」

このように、みんなで挙げたものを黒板に書いて「見える化」します。

協議しながら黒板に書く
子供たちから挙げられた段取りを黒板に書いていく

作り方③ 画用紙にまとめる

そして、3つ目のステップで、黒板に書き出したものを画用紙にまとめます。

こうして私の学級で出来上がった「ルーティン表」は、下の写真のようになりました。この表で「見える化」して、朝することを子供たちと共有していきます。

ルーティン表
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「ルーティン表」の使い方

次は、「ルーティン表」の使い方です。

たとえば、朝読書が終わった朝の会の時に、

「このルーティン表を見て行動できた人は?
⋯⋯あ、10人の人ができたんだ!
よかった、よかった!」

と、できた人数を数え、次の日も子供たちに同じように聞きます。

「はい、このルーティン表を見て行動できた人?
⋯⋯あ、15人! 昨日より増えているね!!」

このように、人数が増えていくことを喜んで指導していきます。すると、行動できる子が、だんだん増えていきます。

昨日より5人UP!

中には、「ねぇ、ルーティン表、見て!」なんて、積極的に声かけをしてくれる子も増えてきます!

こうして「ルーティン表」を使って行動を「見える化」することによって、自分たちで行動できる子供が増えていきます。

また、この「ルーティン表」は、朝の準備以外でも、給食の準備や休み時間の過ごし方など、自分たちの行動がうまくいかないところで作っても効果的です。

活動がうまくいかないところに表を活用しよう!

大切なのは「目的と使い方」!

この方法は効果的ですが、大切なのは「目的と使い方」です。

目的と使い方を間違えると、
「なんでできないんだ!」
という、子供を叱る実践になってしまいます。

私がやっているこの実践の目的は、
『自分たちで見通しをもって動けるようになる力を身に付けさせる』
ということです。

自分たちで見通しをもって動ける力を身に付けさせる

なので、「自分で行動できた人?」と毎日確認し、できる人数がだんだん増えていくことを、「それは嬉しい!」と喜んで、子供達に指導していきます。

とは言っても、時には、強めの指導をすることもあるのですが、できなかったことは責めたりしません。

できなかったことは責めない

大切なのは、目的と使い方!
子供の成長のための実践になれば幸いです!!


いかがでしたか? できなかったことを叱るのではなく、「ルーティン表」を使って日々の成長を喜ぶ育み方は、学校でも家庭でも実践できそうですね。夏休み、冬休み、休校中の過ごし方にも、ぜひ活用してみませんか?


髙橋朋彦先生
撮影/田中麻衣

髙橋朋彦●1983年千葉県生まれ。第55回わたしの教育記録特別賞を受賞。教育サークル「スイッチオン」「バラスーシ研究会」に所属。共著に『授業の腕をあげるちょこっとスキル』『学級づくりに自信がもてるちょこっとスキル』(共に、明治図書出版)がある。算数と学級経営を中心に研究中。
Twitterアカウントは @tomotomoteacher  https://twitter.com/tomotomoteacher
トモ先生のインスタ https://www.instagram.com/tomotomotea/
トモ先生のnote https://note.com/tomotomo777

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