小6国語「未来がよりよくあるために」指導アイデア

教材名:「未来がよりよくあるために」 光村図書

指導事項:B書くこと ア、イ、ウ、オ、カ

執筆/新潟県公立小学校教諭・相澤勇弥
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、新潟県公立小学校教諭・井上幸信

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

本単元は「話すこと・聞くこと」と「書くこと」の複合単元ですが、ここでは、特に「書くこと」を重点に授業づくりを考えます。

大切にしたいのは、説得力をもつように書くということです。取材、根拠、反証…。ただ、自分の思いを書くのではなく、丁寧に論をつくっていくことを経験させましょう。

②言語活動とその特徴

「どんな未来にしていきたいか」という、大きなテーマについて単元を通して考えます。きちんと段階を踏んでいかないと、思いつきのような未来のイメージについて話して書いて終わり、となってしまう単元です。

問題意識をもつところから、取材、話合い活動、反論の予想とそれに対する考え(反証)を考えるなど、教科書に示されている言語活動の一つひとつをきちんと追っていくことが大事です。

特に、問題意識をもつ段階にしっかりと時間をとって、丁寧に考えることができるようにしましょう。導入で、考える土台と方向性をしっかりとつくることが、単元前提の言語活動の充実につながります。

小6国語「意見を聞いて考えを深め、意見文を書こう」指導アイデアのイメージ画像
イラストAC

単元の展開(11時間扱い)

(1~3時)

①資料「平和のとりでを築く」を読む。
・現在の私たちの暮らしが、先人たちの願いの延長線上にあるのだということを知る。
・未来がよりよくあるために、自分たちは何をすべきか、何ができるかを考える。

【学習課題】未来をよりよくするための提言をまとめよう。

②③教科書93ページ(光村図書)を参考に、提言の構想を考える。
・知識や経験を裏付ける資料を図書館やインターネット、地域での取材などで得る。
→アイデア1

(4~5時)

④⑤提言したいことを発表し合い、考えを深める。
・聞き手は、話し手の意見に対する立場をはっきりさせて聞き、賛成や助言、質問や反論を伝える。
→アイデア2

(6~11時)

⑥⑦96、97ページ(光村図書)を参考に、提言の組み立てを考える。
・構成表を作ったら、前時までに話し合ったグループの友達と見せ合い、アドバイスをし合う。
→アイデア3
⑧⑨⑩提言を執筆する。
・書き終わったら友達と読み合い、事実と意見が区別されているか、反証が効果的かを検討したり修正したりする。
⑪提言を読み合い、感想を伝え合う。
・肯定的な評価の伝え合いになるように支援する。

アイデア1 提言の構想を考える

まず、資料「平和のとりでを築く」を読み、私たちが生きている現在が、過去の人々の思いや願いによってつくられてきたことを知ります。その上で「自分が大人になった時代」「自分の子孫の時代」をよりよくするために、自分たちは何をするべきか、何ができるかという提言したいことを考えます。

「平和のとりでを築く」は、戦争、原爆、平和という大きなテーマの文章です。そのような大きなテーマに子供たちの考えが引っ張られてしまわないように、教科書に示された4つの観点を基にアイディアを出していきます。

提言したいことは、最初は子供たちの経験や知識から出てきます。それだけでは充実した提言は書けません。図書館やインターネット、場合によっては地域の人へのインタビューなどを通して、説得力の背景になる事実やデータ、自分以外の人たちの思いや願いなどの情報を収集できるようにします。

ここで十分な情報収集ができていないと、実際に提言を書くときに、内容を膨らませることができなくなります。ですから、この時に、情報がたくさん集まる事柄について提言を書くように、アドバイスすることが重要な支援になります。

アイデア2 提言したいことを発表し合い、考えを深める

提言したいことが決まったら、次の3点について発表し合います。

  1. 何を提言するのか
  2. なぜそのことを提言したいのか
  3. どのような情報に基づいて提言するのか

イラスト/横井智美

『教育技術 小五小六』2019年7/8月号より

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