低学年担任のための時短アイデア9選

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東京都公立小学校教諭

佐々木陽子

まだまだ大人の手助けが必要な低学年の子供たち。子供たちをしっかり見取りながらもメリハリある時間管理と対応術で時短を叶える、とっておきのアイデアの紹介です。

執筆/東京都公立小学校教諭・佐々木陽子

1 私服の制服化

土日に、翌週月曜日から金曜日までの予定を考え、週5日の着ていく服をまとめてセット。クローゼットに上着と下着と靴下をセットで置いてあるため、朝はそれを取って着るだけ。着ていく服を選んだり悩んだりする時間はゼロ。出張の日はもちろんスーツを着用。  

2 一日のスケジュールは前日に確認

「朝は音楽朝会だから早めに支度をさせる声かけをしよう!」
「5時間目に全校球技大会があるから昼休みにジャージに着替えよう!」

などと前日に翌日一日の動きの確認をしておくと動きやすくなります。  

3 連絡帳と宿題を同時にチェック  

連絡帳に書く内容は、前日に黒板に書いておきます。朝登校してきた子供から連絡帳を書いて担任に提出する流れができ、そこで宿題提出も一緒に確認できます。

中高学年なら子供たちで宿題を確認させるシステムがつくれますが、低学年は自分たちだけで確実にチェックするのは困難。担任が朝一で一人ひとりチェックし、忘れていたら声をかけるなど、ていねいな対応が求められます。  

連絡帳と宿題をチェックする先生と子供たちのイラスト 先生「はい、オッケー」

4 「先生!先生!」へはメリハリある対応を

低学年は、話したいことでいっぱい。常に「先生!先生!」と言って話を聞いてもらおうとします。しかし、この「先生!先生!」には、時と場合を考えて対応が必要。休み時間や給食時間などみんなでワイワイ楽しむときなどは、たくさん話を聞いてあげましょう。

子供たちは自分のことを認めてほしくてしかたないので、こういうときこそ担任が率先してその欲求を満たしてあげます。「すごいね」「賢いね」「素晴らしい」と言葉を返し、聴き役に徹します。これが信頼関係につながります。

しかし、学習中やこちらの話を聞いてほしいときは、しっかり人の話を聞く態度を育てなければなりません。いつでも子供中心に話を展開させていたのではクラスは統率できず、授業が長引いてしまうことになります。このメリハリが大事。授業にはその1時間で達成するねらいがあり、そのねらいに向かって教師は子供たちの力を導き出すことが求められます。  

そのためには、子供の自主性を大切にしながらも、今必要な話なのかを教師が取捨選択していく役割を担う必要があります。授業の舵をすべて子供に預けてはいけません。

子供「先生!」先生「今はAさんの意見を聞く時間だよ」
子供1「先生!先生!」子供2「先生!僕ねー」先生「すごいね!」

5 給食中、先生は宅配屋さん

給食を食べる前に自分が食べられる量を調整させます。当然、少なめにする子がいるため、ご飯や野菜を食缶に戻します。この残りをそのままにしておくと食缶を空にするまでに時間がかかり、昼休みの時間に突入してしまいます。だから、子供たちが食べている最中に「ご飯をもっと食べたい人?」 「魚をもっと食べたい人?」と言って子供に挙手をさせ、その子のお皿まで食缶を届けてよそいます。先生が食べ物を運んでお皿によそっていくうちに、食缶はすべて空になります。

6 子供のトラブルは先生が仲介役に

低学年は、まだまだ自分中心。周囲の動きは見えず、勘違いや自分の都合のよいように思い込むことも多々あります。人間関係のトラブルは担任の先生が仲介役となり、交通整理をしましょう。    

このとき、双方の思いや考えを受け止めつつ、トラブルになったのはどちらにも悪いところが必ずあることに気付かせることが大事。担任からの「あなたも相手に嫌な思いをさせてしまったのではないか」という導きがないと、 お互いに絶対に自分は悪くないと主張し続け、一向に収まりません。喧嘩両成敗の意識をもって対応しましょう。

7 休み時間は教師もリフレッシュ

休み時間、子供たちと外で元気いっぱいに遊ぶ教師の姿は美しいものです。 同僚や保護者からの評価も高くなるでしょう。しかし、自分の信念でやり続けたい人はやってもよいと思いますが、トイレにも行けず、疲れ果てて…というほどにはやる必要はないと思っています。  

私は年齢的なこともありますが、自分の健康のことも考え、休み時間にトイレも行き、水分補給をするため職員室でリフレッシュしています。そうするためにも、子供たちだけでしっかりとしたコミュニケーションをとり、友達と楽しく遊ぶ文化をつくっておくことが大切。もちろんたまには一緒に遊びに加わりますが、それぐらいの関係でちょうどよいのです。休み時間は子供たちだけの世界で楽しむ、唯一の時間でもあるのです。

8 週案は手書きでフル活用

週案簿に1週間分の学習計画や行事や分掌の仕事を記入します。最近はパソコンのソフトで週案を立てる人がほとんどですが、私は手書きの週案簿を活用。教室や会議室などどこでも持ち歩いて、書き加えることができるからです。ノートやメモ帳代わりにいろいろな情報を書き込んだり、プリントを貼り付けたりして1冊にまとめているので、とても便利。結果、時短につながります。

9 低学年の保護者にはこまめにあいさつ&連絡

小学校生活が始まったばかりの低学年の保護者は不安だらけ。だからこそ、 担任は進んで保護者に絡んでいくことが大事です。

私は保護者会に限らず、学校公開やPTA活動などで来校した保護者を見かけると、必ず話しかけます。ポイントは、子供のがんばっていることを一つでも伝えること。「最近発言が増えていますよ」などと、事実を述べてほめます。担任との直接の会話は保護者に強い信頼を与え、好感度も上がります。

また、忙しい中でも低学年の先生ほど連絡帳や直接の対話で保護者とこまめにコミュニケーションをとることが大切。些細な怪我や体調不良も、迅速に連絡帳などで連絡することで、大きなトラブルになることが少なくなります。一学期の段階でまめに対応すればするほど、比例して信頼が大きくなり、保護者とのトラブル対応への時間の削減にもつながります。

廊下で会った先生と保護者のイラスト
先生「Bさん、おはようございます。そうそう、この頃の○○くんは発言が増えて、どの教科でもさかんに手を挙げて、指されないと落ち込むほどですよ。やる気が素晴らしいです!」

イラスト/ふせゆみ

「教育技術 小一小二」2020年6月号より

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