小6理科「人の体のつくりと働き」指導アイデア

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執筆/大阪府公立小学校教諭・土井智史
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿

小6理科「人の体のつくりと働き」指導アイデア
写真/金川秀人

単元のねらい

体のつくりと呼吸、消化、排出及び循環の働きに着目して、生命を維持する働きを多面的に調べる活動を通して、人や他の動物の体のつくりと働きについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主により妥当な考えをつくりだす力や生命を尊重する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

単元の流れ

(四次 総時数 9時間)

◆一次 食べ物の消化と吸収(4時間)

① 人は生きていくために、どんなものが必要なのか、また、動物によって違いがあるのかを話し合う。
・ワークシートにキーワードを書き出す。特に多いと予想される言葉として、「食べる」「呼吸」が考えられる。
・人と他の動物(犬)の写真から「食べる」「呼吸をする」上で、共通点や差異点を話し合い、問題を見いだす。

② 食べ物は、体内でどのように変化するのかを調べる。

だ液を使った実験

ご飯をよくかむと、形が変わって甘くなるよ。何かが変わっているのかな。

③ 食べ物に含まれる養分や水分はどのように吸収されるか、図鑑やコンピュータを活用して調べる。

単元全体として、子供が図鑑やコンピュータなどを使って調べていくことが多くなる。情報が膨大となるため、「~の消化や吸収の働きに着目して調べよう」等の調べる視点を確認しながら、学習を進めるようにする。
消化の働き、血液の循環などを子供同士で調べ合ったり、タブレットに人体図を映し出し、血液の流れを書き込んだりして、それらを基に話し合う活動を行っていく。その中で、共通していることや必要な内容であるかを吟味し、より妥当な考えをつくりだし、問題解決を行っていく。

◆二次 呼吸の働き(2時間)【活動アイディア例】

①「吸う空気」と「はき出した息」では、どんな違いがあるのか予想する。
② 気体検知管や石灰水を用いて、気体の成分変化を調べる。

気体検知管とデジタル気体検知器

◆三次 心臓と血液の働き(2時間)

① 血液はどのように全身を流れ、どんな働きをしているのかを調べる。

もう一度、体の図を使ってつながりを考えよう。

◆四次 生命を支えるしくみ(1時間)

①体の各部分は、どんなつながりがあるのかを調べる。

本単元は「生命」を柱とした領域に位置付けられており、子供が自然事象を主に「共通性・多様性」といった見方を働かせ、追究することが大切である。そのため、他の動物にも視点をあてるように促し、様々な動物を調べていく中で、生きている環境によって動物の体のつくりや働きに、多様な違いや共通点があることを捉えさせるようにしていく。

単元の終わりに、子供がこんな振り返りができたらいいね

この単元を通して、体のつくりや働きに注目していろいろなことを調べたね。生き物の体のつくりや働きは、生きている場所によって様々な違いや似ているところがあった。

血液が、食べ物の養分を吸収したり、酸素や二酸化炭素を運んだりしていたなんて驚いたよ。体の中のそれぞれの臓器がきちんと働き合うことで、生きることができているんだ。動物の体はとてもうまくできているんだね。

活動アイディア

資質・能力の育成を目指して!

気体検知管や指示薬(石灰水)などを用いて、吸気と呼気の成分を明確にし、成分表などに示して成分の比率を比較するようにしましょう。その事実から、肺を通して血液中に酸素を取り入れ、血液中の二酸化炭素を体外に排出していることを多面的に調べるようにし、呼吸の働きについてより妥当な考えをつくりだし、表現できるようにしましょう。

授業の展開例

自然事象への関わり(二次①の場面)

食べるときと排出するときでは、違ったね。呼吸では、「吸う空気」と「はき出した息」とでは、違いがあるのかな。

問題
「吸う空気」と「はき出した息」では、どんな違いがあり、体内でどんな働きが行われているのだろうか。

●問題に入る前に
呼吸器(肺)の様子や、空気の出し入れのしくみを人体模型やペットボトルと風船を使って肺に見立てた模型の様子から、呼吸によって体内で何が起こっているのか、イメージをもたせるようにします。

ペットボトルと風船を使った肺の模型

予想

空気の成分が変わるのかな? 意外と多くの酸素が減って、二酸化炭素が増えるのかな。

空気の成分の変化を可視化する

●空気の成分を可視化
空気の成分の変化を、視覚的に捉えられるように、モデル図を描くようにします。

解決方法の立案と結果の見通し

空気の成分を確かめるために、気体検知管や気体センサーがあったね。石灰水も使えるよ。

酸素が減って、二酸化炭素が増えるということは、生きていくのに酸素が必要だということだ。

ここから二次②の場面

実験に使う空気をためる
実験に使う空気をためる
吸う空気と吐き出した息の成分
吸う空気とはき出した息の成分

考察

私の予想した通り酸素が減っていた。呼吸をすることで、酸素が体に取り入れられたのかな。肺を通ったあと、どうなっていくのだろう。

結論

「吸う空気」と「はき出した息」とを比べると、「はき出した息」の方が酸素は少なく、二酸化炭素が多い。これは、肺を通して血液中に酸素が取り入れられ、二酸化炭素が体外に排出されるためであり、生きるために必要なことである。

●自分の考えを班や全体で話し合い、より妥当な考えをつくりだし、結論へと結び付ける場面
肺を通ったあとの空気の行方について調べ、わかったことを班や全体の場で話し合います。血液を通して酸素や二酸化炭素が運ばれ、取り入れられたり排出されたりすることで、空気の成分が変化していることを捉え、より妥当な考えをつくりだし、結論へと結び付けていくようにします。

「共通性・多様性」の視点で捉え「多面的に考える」ポイント!

人の体のつくりや働きだけでなく、他の動物の体のつくりと働きにも着目し、映像や標本などの情報を活用して比較し、共通点や差異点に注目していきます。環境が違う中で生命を維持していくために、多様な体のつくりや働きがあったり、人と共通している部分があったりする、「共通性・多様性」の視点で捉えるようにしていきます。

消化については、唾液などの消化液の働きを実験を通して確かめたり、臓器の働きや血液の循環については、図鑑やコンピュータからの情報を友達と共有したりしながら「多面的」に考えて、問題を解決していくようにします。

ジャガイモやホウセンカなどの植物は、育っていますか。切り花用染色液や食紅を用いるので、色や濃さ、染色する時間をしっかりと確認しておいたほうがよいでしょう。


イラスト/高橋正輝、横井智美

『教育技術 小五小六』2019年5月号より

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