小3社会「市の様子」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・井出祐史
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、埼玉県公立小学校校長・清水健治
目次
目標
自分たちの市の様子について、都道府県内における市の位置、市の地形や土地利用、交通の広がり、公共施設の場所と働き、古くから残る建造物の分布などを調べ、場所による違いを考え、自分たちの市の様子を大まかに理解できるようにする。

学習の流れ(13時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○市の航空写真を見て話し合い、市の外観をつかむ。
○話し合ったことを基に、学習問題をつくり、予想し学習計画を立てる。
学習問題
わたしたちの市には、どのような場所があり、どのような様子なのだろうか。

追究する(7時間)
○市の様子について調べる。
- 県内における市の位置と隣接する市
- 市の地形の様子
- 田や畑、工場の多い場所
- 住宅や商店の多い場所
- 主な道路や鉄道の名称と経路
- 主な公共施設の場所と働き
- 古くから残る建造物

まとめる(4時間)
○調べたことを基に、カードに整理し、学習問題に対する自分の考えをまとめる。
○学習したことを基に市の特色やよさを白地図にまとめる。
問題をつくる
市の航空写真を見て、気付いたことを話し合い、学習問題をつくる。(1・2/13時間)
導入のくふう
市の航空写真を見て、身近な地域の様子と比べて読み取ったことから市の外観を捉え、市の様子に関心がもてるようにします。
1時間目 Googleマップを使った航空写真(3D表示)
みんなの学校は、どこでしょうか?

僕の住んでいるマンションも見付けたよ。
近くの公園も写っているよ。
知っているものや気付いたことはありますか?
左のほうに線路があるよ。こっちは、川かな。
写真の奥のほうは、緑が多いね。
同じ市なのに、場所によって様子が違うね。
2時間目
第1時で話し合ったことを基に学習問題をつくり、予想し、学習計画を立てる。
学習問題
わたしたちの市には、どのような場所があり、どのような様子なのだろうか。
追究する
市の地形、土地利用の様子、住宅などの多い場所、公共施設、交通網などについて調べたことを白地図にまとめ、気付いたことを話し合う。(3~9/13時間)
調べ方のくふう
2枚の白地図を重ねることで、市内の様子が場所によって違いがあることに気付き、説明できるようにする。
3~4時間目
市の位置と隣接する市、地形の様子や交通網などについて調べ、トレーシングペーパーなどに印刷した白地図にまとめる。
5~9時間目
調べたことを白地図にまとめ、地形や交通網と土地利用を比べて話し合う。
2つの地図を比べて、分かることはなんでしょう?


地図を重ねてみると?

※学校の周りの様子を調べたときの追究の視点(地形・土地利用・交通など)を活用しましょう。
駅の近くに店が多く集まっているよ。
地形の地図とも重ねてみると、住宅が多いところは・・・。
単元づくりのポイント
本単元の学習は、このあとに生産や販売の仕事、地域の安全を守る働き、市の様子の移り変わりなどを学ぶうえで、オリエンテーションとしての役割があります。また、自分たちの市の位置を確かめたり調べたりしたことを白地図にまとめたりする際、八方位を扱うとともに、地図帳を参照して地図記号を活用できるようにすることが大切です。

八方位は、四方位よりも正しく伝えられるよ。地図記号を使うと、書き表すのに便利だね。
イラスト/横井智美、佐藤雅枝
『教育技術 小三小四』2019年5月号より