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【スクさぽサポーターインタビュー♯3】幼児教室の講師や事務職の経験を活かして、多忙な先生の役に立ちたい

特集
学校現場の人手不足への解決策【みん教のスクさぽ】

民間企業に事務職として勤務した後、出産・育児を経て、現在は小学館集英社プロダクションの幼児教室で講師を務めている水町敦子さん。現在検証中の事業「みん教のスクさぽ」の現地支援サポーターとしても活躍してくれています。小学校で久しぶりのデスクワークや事務作業に楽しく取り組みつつ、先生方の子供たちへの接し方から多くのことを学んでいると語る水町さんに、サポーターに応募した理由や、小学校の子供、先生方との交流を通してとくに印象に残ったことなどについてお話を聞きました。

「こんな風に学校で働けるという情報があれば、学校で働きたいと思う人はたくさんいるのではないかと思います!」(水町さん)

「みん教のスクさぽ」の現地支援サポーターに応募した理由

教員の勤務実態の報道に胸を痛めていました。自分の経験を活かして、役に立ちたかった。

―これまでの経歴と今回、「みん教のスクさぽ」の現地支援サポーターに応募しようと思ったきっかけを教えてください。

水町 大学時代に保育士資格を取得したものの、卒業は保育の仕事を選ばず民間企業に就職し、10年間事務職として勤務していました。結婚を機に退職、主婦業に専念していたのですが、子育ても一段落したため、少しブランクはありますが、保育士の資格も活かせるのではないかと考え幼児教室で働くことにしました。約10年間勤め、現在は幼児から小学1~3年生を担当しています。

スクさぽの現地支援サポーターを知ったのは、幼児教室の運営担当者から紹介していただいたことがきっかけです。テレビのニュースや周囲の方々からも小学校の先生は多忙で非常に困っていらっしゃるということを聞いていたので、自分のこれまでの経験が何かの役に立てばよいなと思い、応募させていただきました。

現在は、小学館集英社プロダクションが運営する幼児教室の講師として勤務中の水町さん。

保健室、そして個別支援学級のサポートを通して感じたこと

「こんなことをお願いしてすみません」と言われたのですが、私にとっては楽しい仕事でした

―現地ではどのような業務を担当しましたか? また実際に業務を行った感想は?

水町 保健室や個別支援学級でのサポートを行いました。

保健室では、養護教諭の先生から「保健室をもう少し使いやすくしたい」との依頼を受け、必要なものとそうでないものを分け、不要なものは処分するなど整理整頓を行いました。また、児童保健調査票に追加項目のプリントを貼り付けるなどの事務作業もお手伝いさせていただきました。

養護教諭の先生からは、「こんなことをお願いしてすみません」と言われたのですが、私は片付けが好きなので全く苦になりませんでした。また、デスクワークは久しぶりでしたが、事務職時代を思い出して懐かしい気持ちにもなり、楽しみながら作業をすることができました。

保健室の業務を通して、改めて保健室や養護教諭の先生が学校で重要な役割を担っているのだなということにも気付かされました。保健室には、体の調子が悪い子や、精神的にちょっと参ってしまっているような子も来たりしていたのですが、先生が優しく声をかけ、広い心で子供たちを受け止めている姿を見て、保健室が子供たちにとってほっとできる、心のよりどころのような場所にもなっているのだなと感じました。喧嘩をしてしまった子が保健室に来た時も、不安そうな子供に対して、「どうしたの? 喧嘩しちゃったの? どこか痛いところはある?」などと優しくまるで包み込むように話しかけてあげているのです。その子も少しずつ安心した表情になっていくのを見て、やっぱり小学校の先生ってすごいなと感じましたね。

個別支援学級では、子供たちとのコミュニケーションを楽しみつつ、一時も子供から目を離せない先生の業務の過酷さを痛感

個別支援学級のクラスでは、低学年の子供たちのひらがなの練習や、図工のカレンダーづくりをサポートしました。まだ自分で文字を上手に書けない子には、鉛筆の持ち方を教えながら一緒にプリントに文字を書いたり、ハサミを使った作業では、ハサミの持ち方や切り方などお手伝いしたりしていました。また休み時間の見守りや給食時の支援も行いました。

初日はとても緊張しましたが、先生方がとても温かく迎えてくださり、学校の雰囲気もとてもよいので、ほっとしました。

支援学級の子供たちはとても人懐っこくて、自分のことやお出かけにいく予定など、いろいろな話をしてくれるので楽しかったですね。数日支援に入るようになると慣れてくれて、手をつなぎながら「今日は何時までいられるの?」 「今度いつ来るの?」と甘えてくれたりするので嬉しかったです
クラス全体も、低学年の子がわからないところがあれば高学年の子が教えてあげたり、助け合っている姿も見られ、本当によいクラスだなと思いました。

先生方に関しては、障害を抱える子、情緒面で支援が必要な子などに対して個々に合わせた指導、配慮をされているので素晴らしいと感じるとともに、一時も目を離せない、息も抜くこともできない状況の中で目まぐるしい一日を送っていて、本当に大変な業務であると感じました。私がどれだけお役に立てたのかはわかりませんが、大人の目が増えるだけでも子供や先生方の安心につながるため、意味のあることなのかなと感じました。

サポートを行う上で心がけたこと

子供たちには声をかけ過ぎず、性格や特徴を見てから少しずつ近づく

サポートを行う上で、子供たちとの接し方で心がけたことはありますか?

「先生の仕事の流れを止めないよう、聞きたいことはまとめてうかがうようにしていました」(水町さん)

水町 教室では、なるべく授業の流れを止めないように気をつけていました。まず先生の動きを見て、そして子供たちの様子を見てから、自分が動くようにしていました。なかでも授業中に特に注意したことは、必要以上に子供に声をかけすぎないことです。何か気が付いたことがあっても、すぐには子供に声をかけずにしばらく様子を見るようにしていました。急に大人に声をかけられることを嫌がるお子さんもいるので、まずは子供の性格や特徴、先生方の関わり方を観察してから、少しずつ近寄っていくようにしていました。

担任の業務は実は膨大! 少しでも手が空いたら声をかけ、依頼してくれると嬉しかった

―先生方とのコミュニケーションで何か工夫されたことはありますか?

水町 先生方はとにかくお忙しそうなので、できるだけ自分で考えて動くようにしていました。そして時間に余裕があるときには、「何かほかにやれることはありませんか?」と自分から声をかけるようにしていました。すると、実はまだまだやれることがあるということもわかりました。

例えば、時間が空いたので先生に声をかけたところ、図工の制作物のゴミを捨てる際に、ホチキス止めしてあるものは全て針を外して捨てなければならないので、その作業をサポートしてほしいと依頼を受けたことがありました。先生は申し訳なさそうにおっしゃるのですが、私自身はまったくそういった作業は苦になりません。むしろそうした作業でお役に立てて嬉しかったです。

現地支援サポーターを経験してよかったこと

様々な学びがあり、芋掘りやクリスマスリース台作りなど得難い体験もできた

―スクさぽを経験してよかったこと、印象に残ったことはありますか?

水町 私が一方的に何かお手伝いして先生や子供たちを助けていたという実感はあまりなく、逆に私自身も得るものが多かったですし、楽しませていただいたので、本当にやらせていただいてよかったなと思いました。

いろいろな貴重な体験をさせていただいたのも印象深いですね。
六つ川小学校では、校庭の側に畑がありサツマイモを育てているのですが、そこでお芋掘りをする活動のサポートをしました。その後、サツマイモのつるを活用してクリスマスリースを子供たちが作るために、リース台を作ってほしいという依頼もいただきました。そこで私ともう一人のサポーターの方と二人で、膨大に余ったつるから葉を全て取り、リース台を作る作業をしました。畑作業をしたり、リース台を作ったりするような体験は普段はなかなかできないので純粋に楽しかったですね。また後日学校に伺った時に私たちが作ったリース台に子供たちが飾り付けをして、素敵なクリスマスリースができてたんです! それを見た時はとても感動しました。

水町さんが教室でサポートする際の必須グッズ。サコッシュの中に、ハンカチ、ティッシュ、ノート、筆記用具、飲料を入れて。

幼児教室と現地支援サポーターを経験して感じた、子供と関わる仕事の魅力とは?

支援学級の先生の「子供の心にストレートに響く話し方」は、幼児教室でも活かしたい

―小学校の業務を経験したことで、幼児教室の仕事にどのようなよい影響があると思いますか?

水町 幼児教室でも子供と関わり合う機会はたくさんあるのですが、小学校では中学年や高学年の子供たち、そして今の時代の小学校のあり方というものを見ることができたので、視野が広がりとても勉強になりました。

また実際に小学校で仕事をしてみると、昔とは随分変化していることがわかりました。例えば、想像以上にiPadを使った授業が多くて驚きましたね。そうした小学校の様子を知ることで、今関わっている幼児教室の子供たちが小学校に入ってどのように過ごすのかを想像できるので、より将来を見据えた声かけなどができるようになるのではないかなと思っています。

先生方から学ぶことも多かったですね。先生方はものすごく子供たちのことをよく理解していて、それぞれの子供に合ったご指導を毎日されているのですから、それは本当にすごいことだなと思います。そして、子供たちに何か伝える時には、子供の心にストレートに響くような話し方、言葉の選び方をされていることに刺激を受けました。

幼児教室でも、お子さんはそれぞれ皆さん違うので、それぞれのお子さんに合ったように指導はしているつもりなのですが、子供の心に直接しっかり響くような話し方はまだできていなかったのかなと思うので参考にしたいですね。

大好きな子供たちの成長を見守ることができるのが、喜びであり、やりがい

―幼児教室を約10年続けつつ、更に小学校の現地支援サポーターに応募された水町さんの仕事への原動力はどこにあるのでしょうか?

水町 やはり、子供が好きなのだと思います(笑)。

幼児教室を約10年続けられたのは、子供たちが幼少期から少しずつ成長していく姿を見ることができる喜びがあるからだと思います。子供たちの成長を支援し、できたことや伸びたことを間近で見て、一緒に喜べることが幼児教室の魅力だと思いますね。自分の子供はあっという間に大きくなってしまいますが(笑)、教室ではたくさんのお子さんの成長を見守ることができます。

例えば、教室に通い出したときには字がなかなか書けなくて、たくさん手をかけて教えてあげていたお子さんが、小学校入学後に急激に伸びて学力テストではとてもよい成績たったといった報告を受けるとやっぱり嬉しいですよね。

こうした経験を通じて、子供たちの成長の段階は一人ひとり異なり、体力も学力も伸びる時期はそれぞれ違うことにも気付かされます。だからこそ躓いて悩んでしまう子がいたら、成長を信じてじっくり時間をかけて手助けをしてあげたい。そして子供たちの可能性も能力を伸ばしてあげたいんです。

そういう意味でも、スクさぽを通じて先生方から学んだ「子供たちの心に届く言葉がけ」はぜひ幼児教室の仕事にも取り入れていきたいなと思います。

「一方的にサポートをした、という感覚ではなく、私自身が得たものがたくさんありました」(水町さん)

取材・文/出浦文絵 撮影/田中麻以(小学館)

水町さんが働く「小学館集英社プロダクション」は、講師を募集しています! 詳しくはこちら→https://www.shopro.co.jp/kids_recruit/

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