板書の力!“理科の思考”を学級全体で促進する授業の技【理科の壺】

授業で板書をせずに口頭で済ませてしまうことはないでしょうか? 情報を書き留める役割がある「板書」ですが、この情報をどのように扱うかで、授業の進み具合や子どもの理解度に格段の違いが生まれます。板書の工夫は、授業向上に直結する効果的な手法です。今回は、板書の役割を「共有」と「促進」の2つと捉え、明日から取り入れられるアイデアを具体例とともに紹介します。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような“ツボ”が見られるでしょうか?
執筆/和歌山大学教育学部附属小学校・久保文人
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
板書の役割は?
理科に限らず、様々な教科で板書をしていることかと思います。みなさんはどのようなことを意識して板書をしていますか? そもそも何のために板書をしていますか?
私は、板書には大きく2つの役割があると捉えています。
1つは共有、もう1つは促進です。
今回は、「共有」と「促進」の視点から板書の仕方を紹介します。
共有のための板書
ここでいう共有とは、「こんな結果が明らかになったよ」といった情報や、「今ここがモヤモヤしてるんだけど⋯⋯」といった思考を他の人と分かち合うことを意味します。そこで、共有するためのおすすめの板書法を2つ紹介します。
共有のための板書① 思考の流れを見える化する
3年生の理科の問題解決の基本的な過程は、「学習問題→予想→実験方法→結果→結論・考え」です(※)。
今、何に取り組んでいるのかを見えるようにすることで、子どもを取り残さないようにする効果が期待できます。
「問題」「予想」などをラミネートしておいたり、マグネットシートで作成しておいたりすると毎回活用できます。
※板書例は3年次のもので、一般的な理科の問題解決の過程には、このほかに「考察」が含まれます。
共有のための板書② 文字の色を変える
文字の色を変えることでどんな情報を記録しているのかが、一目で分かるようになります。
パターン化することも大事です。私の場合は、「赤:まとめ」、「オレンジ:具体例」、「青:ハテナ(疑問)や考え」としています。受けもつクラスの子どもと4月にルール確認しておくこともおすすめです。


