【木村泰子の「学びは楽しい」#43】子どもと子どもをつなぐ

子どもたちが自分らしく生き生きと成長できる教育のあり方について、木村泰子先生がアドバイスする連載の43回目。今回は、全国の多くの先生たちとの学びを通して考えたことについてお伝えします。(エッセイのご感想や木村先生へのご質問など、ページの最後にある質問募集フォームから編集部にお寄せください)【 毎月22日更新予定 】
執筆/大阪市立大空小学校初代校長・木村泰子

目次
優先順位を考える
少し立ち止まって、教員の仕事の優先順位をつけませんか。
次から次に下りてくる仕事に翻弄されている今の学校現場です。「新しい教育を」と考え、あれもこれもやらなくてはと思ってしまい、一方で、働き方改革の渦の中で何時間働いたかをチェックされ、働きすぎると指導が入る。これらの現実の中で教員が困っている間に、次から次へと子ども同士のトラブルが起こり、そのうちに保護者がモンスター化してしまう。そんな現実に疲弊し、教員の仕事の魅力など忘れ去られてしまうことはないでしょうか。
優先順位のトップは「子どもと子どもをつなぐ」ことです。子どもと子どもをつなげば「不登校」「自殺」「いじめ」などが生まれてきません。同様に「モンスター」「働き方改革」という言葉も生まれないでしょう。
自分が学校を変える
従前の学校文化の当たり前を踏襲している限り、子どもと子どもをつなぐ事実にはつながりません。どうすれば子どもと子どもをつなぐことを優先順位のトップに置ける学校づくりができるかについて対話をし続ける教員になることが求められます。
6月にEDIX大阪でサッカー元日本代表監督岡田武史さんと対談をしたときの話です。フロアーから次の質問がありました。
「なかなか学校は変わらない。変えようと思っても同調圧力につぶされる。上から強い力で指示してくれたら変えやすいと思うが、できないでしょうか」
この質問に対して岡田さんは、「人のせいにしている間は何も変わらない。必要と思えばまずは自分が行動することです。上からやってくれたら変えやすいという発想ではなく、必要と思えば自分が動くことから始めなければ、社会は変わらない」と発言されました。私も同様のことを思っていました。
「ヒエラルキー」「前例踏襲」「同調圧力」の渦の中で仕事をしていては、子どもの未来はつくれません。子どもも「過去」に縛られた社会をつくる大人になってしまうかもしれません。今の大人がそうであるように。
未来の学校づくりが求められている今、負のスパイラルは切り捨てましょう。おかしいと思いながらその流れに乗ってしまうことをなくしませんか。
今年度はこれまで以上に多くの学校の先生たちと学ばせていただいています。全国どの学校でも現場の先生たちの悩みや困り感は共通しているように感じます。