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よりよい人間関係を構築し、協働的な学習を推進する「相互交流」の手立て【学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意⑧】

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学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
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子供たちの学ぶ意欲と力を育てるためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて、学習指導の基礎基本を解説します。第8回は、「相互交流」の指導について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章 

子供のよりよい「相互交流」を図るようにすることは、学級経営上の中心的な課題です。このことは、子供同士のよりよい人間関係を構築することにつながり、協働的な学習を推進する上での基盤でもあります。特に、子供がどのような「相互交流」をしていくかが大切な視点です。そこで、求められるよりよい子供の「相互交流」を指導するにあたって、次の3つのキーワード「よりよい人間関係の構築」「協働的な学習の推進」「実践上の配慮点」でチェックしてみましょう。

CHECK① よりよい人間関係の構築

子供同士のよりよい人間関係は、学校での生活面を充実させるだけでなく、学習面にも大きく影響します。これまでのOECDの調査においても「学級の雰囲気、モラールが良好であるほど学習によい影響があること」が報告されています。特に、いじめ問題においては、ほとんどが教師の目の届かない子供同士の中で起こります。また、不登校の課題についても、子供同士のよりよい人間関係の構築が重要な課題の1つになっています。このようなことを踏まえ、子供同士のよりよい「相互交流」の手立てを講じていきましょう。

「よさ」を正しく認識し、認め合うように指導します

子供が互いのよさを認め合うような「支持的な風土」のある学級は、個々の子供のよりよい成長を促します。ここでいう「よさ」とは、「善や悪」というレッテルを貼ることができないものです。また、他との比較や特別に設定された基準によって規定されないものでもあります。さらに、教師の考えに近いとか、正確、上手などということだけで見ないものでもあります。

発達段階を踏まえ、子供たちにもこのような、「よさ」について理解できるように指導するとともに、互いの「よさ」を認め合うように指導することが求められます。特に、子供が自分の思いをはじめ、自分のもてる力を発揮できる集団の状態にあったときに個々の「よさ」が表れるものであることを念頭に置いて指導していきましょう。 

CHECK② 協働的な学習の推進

ここでの協働的な学習とは、「個性のある子供たちが目標を共有し、対等な立場でともに力を合わせて学習すること」ととらえることにします。ゆえに、単に学習進度や理解の早い子供が、他の子供に一方的に教えるという学習スタイルを求めるものではありません。

個々の学びに応じて、協働して学習を展開するためには、多様な考えを認め合いながら学び合うという視点が重要です。対等な立場で学ぶことを重視するために、アドバイスを必要とする子供が自らの意思で疑問や質問を提示できるような、子供同士のよりよい学習環境を構築していきましょう。

多面的・多角的な視点を踏まえて指導します

子供の発想や着眼点は多岐にわたります。この多様な考えを引き出すのは、教師の役割であり、学級の支持的な風土が基盤です。そのためには、教師が子供の疑問を引き出すように努め、誤答を大切に扱うことが大切です。

今、〇〇さんがよい視点の考えを発表してくれましたよ。隣の人とどこを改善すればもっとよい考えになるか、話し合ってみましょう。

また、子供が多面的・多角的な視点で考え、豊かな発想を広げることができるようにすることが求められます。子供たちが安心して多様な考えを出し合い、協働的な学習が展開できるようにしていきましょう。

CHECK③ 実践上の配慮点

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