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探究「シブヤ未来科」は子供と教員にどんな変化をもたらしたのか? 教科の授業時数1割減の影響は?【授業時数問題 解決へのヒント③】

現在の標準時数の中で、渋谷区では教科の授業時数を1割減らし、午後を探究の時間にあてるという大胆な取組を行っています。どのように時間をやりくりしているのでしょうか。授業時数を1割減らしたことで子供の学力は変化したでしょうか。さらに、先生方はどんな働き方をしているのでしょうか。渋谷区教育委員会事務局教育指導課の統括指導主事柳田俊さん、渋谷区立富谷小学校(児童数594名)の石川亜由美校長に話を聞きました。

写真左から、渋谷区教育委員会事務局教育指導課統括指導主事の柳田俊さん、渋谷区立富谷小学校の石川亜由美校長。

授業時数特例校制度を活用した探究「シブヤ未来科」

渋谷区立小中学校では、2024年度から文部科学省の授業時数特例校制度を活用して、総合的な学習の時間を約2倍に増やし、探究「シブヤ未来科」(以下、シブヤ未来科)の取組を行っています。どういう仕組みなのかを、渋谷区教育委員会事務局教育指導課の統括指導主事柳田俊さんに聞きました。

「総合的な学習の時間ですので、対象は小学3年生から中学3年生までです。例えば、6年生の場合、総合的な学習の時間は70時間ですが、授業時数特例校制度の活用で約2倍の150時間ぐらいにしています。そうすると週4~5コマになりますから、午後の半分の時間にシブヤ未来科で探究に取り組むことになります。残りの半分の時間も、できるだけ探究につながる教科の学びをしていただいています」

渋谷区内の小中学校では、水曜日は午前中で授業が終わるため、シブヤ未来科の時間を取れるのは、月、火、木、金曜の午後です。時間の設定の仕方は学校によって異なり、例えば、富谷小学校では、3~6年の火、木曜の5時間目と6時間目、金曜の5時間目をあてています。

「シブヤ未来科」をスタートした理由

渋谷区では、2021年度から「シブヤ科」の取組をしていました。「総合的な学習の時間」の中の最低20時間をシブヤ科とし、郷土に目を向け、「渋谷区をテーマに、探究×協働をする」単元としていたのです。

「ただ、郷土学習ではどうしても過去を振り返ることに終始しがちです。そこで、2023年度から『シブヤ未来科』と名称を変え、郷土学習だけではなく、未来に向けた建設的な学びや思考をしていけるようにと、これからの渋谷の街や自分たちの暮らしについて子供たちが考えていく方向に目標を変更しました」(柳田統括指導主事) 

そして、2024年度からは授業時数特例校制度の活用で授業時数を約2倍に増やし、現在に至っています。

シブヤ未来科には共通テーマの探究とMy探究がある

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