3学期の通知表 所見欄を書くポイントと工夫
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年度末は校務が山のように押し寄せて忙しい! しかし、どんなに余裕がなくても通知表作成には、うっかりやおざなりなどがあってはなりません。子供も保護者も教師自身も納得のいくよい通知表について考えてみましょう。
執筆/西南女学院大学非常勤講師・大庭正美、福岡県公立小学校校長・宮﨑裕之、福岡県公立小学校教諭・柳田善信、福岡県公立小学校教諭・本村英祐、福岡県公立小学校教諭・岩本未希
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目次
「よい通知表」は所見で決まる
通知表づくりは担任にとって重要な仕事の一つです。手間をかけてつくり上げる通知表ですから、保護者や子供にとって価値あるものにしたいのは誰しも同じでしょう。しかし「所見が抽象的でピンとこない」「ほめる言葉が少ない」「言葉の誤用などが多く誠意が感じられない」と受け取られるなど、いわゆる〈ダメな通知表〉を渡してしまえば、それまでの苦労も報われず、教育効果も上がらないという残念な結果になってしまいます。そうならないようにするためにも、作成には十分な配慮が必要です。
よい所見をつくるためには、〈取り上げるエピソードや内容の厳選〉〈簡潔でわかりやすい記述〉〈温かさが感じられる言葉や表現〉など、いくつかの留意すべき点があります。まずは〈よい通知表〉にとって欠かせない基本的なことを改めて確認した上で、三学期の通知表づくりに取り組むことが必要です。
三学期の「よい通知表」とは
三学期の通知表は、この1年を総括する最後の通知表になります。一・二学期とは違った三学期ならではの所見記入上の留意点を踏まえ、受け取る保護者にとって〈よい通知表〉を作成していきましょう。
では、三学期の〈よい通知表〉とは、どんなものでしょうか。子供の伸びが具体的な事実をもとに記述され、次への学びの意欲を喚起するものがよい通知表であることはこれまでと同様ですが、それに加えて1年間を振り返って成長が確認できるとともに、進級へのエネルギーとなるものにすることが求められます。
三学期は期間が短く、授業日数も50日弱しかありませんが、学年のまとめと進級への準備をする重要な学期です。そのため、三学期のカリキュラムに沿った指導とあわせて、1年間を振り返り、まとめの指導をしなければなりません。
子供にも、一・二学期を通じて成長したことを自覚させながら1年間の仕上げをするといった構えをもたせる必要があります。通知表もその指導の一環として位置付け、所見を通して1年間の成長を確かめ、次の学年への展望をもたせるためのツールにしたいものです。
所見についても、例えば「今学期は計算が速く正確でした。これは一学期から続けてきた家庭学習の成果の一つです」などのように、三学期のカリキュラムに関する内容と1年間を通した総括的な内容の二段構えで記述することなども考えられるでしょう。
