小5国語科「みんなが使いやすいデザイン」全時間の板書と指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小5国語科「みんなが使いやすいデザイン」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立けやき小学校校長・前田 元
執筆/東京都葛飾区立東四つ木小学校・竹株陽香
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、目的や意図に応じて感じたことや考えたことなどから書くことを選び、集めた情報から分かったことを整理・分類して報告する文章を書く単元です。
児童は、本やインターネットで調べたり、人から聞いたりして分かったことをまとめたりする学習は経験しています。今回も複数の情報源から分かったことを記述していくことになりますが、単に情報源ごとに段落を作るのではなく、調べて分かったことを整理・分類して段落を作るようにしていくと読み手にとって分かりやすい報告になることを確かめていきます。
また、学習の終盤では、「報告する文章の構成」として問いと答えが対の関係になっていることを確認するようにします。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
「報告する文章」とは、見聞きしたこと、観察したこと、調べたことなどの結果を相手に正確に、分かりやすく知らせる文章です。
この単元では、「だれもが使いやすいように工夫されているもの」を探すことから学習をスタートし、そのものについて本やインターネット、あるいはインタビューで調べ、分かったことを一定の構成で書き、報告するという活動を行います。
まずは、「調べたいことを見つける」ということが肝心になります。ユニバーサルデザインは、現在私たちの生活のあらゆる場面で目にします。学校のみならず、家庭や公共の場など、様々な場所にあり、日常的になっているがゆえに、意識していないと見つけることができないという側面もあるでしょう。
また、なぜそのようなデザインなのかを調べてみないと分からないものが多いと考えられます。それらのデザインに込められた理由を知ることで、児童の見方や考え方に新しい観点が芽生えていくはずです。
4. 指導のアイデア
これまでの学習では、学校生活や行事等に合わせた課題設定をすることが多くありましたが、本単元の題材は、ユニバーサルデザインであり、社会に関心を広げていくものとなっています。
ユニバーサルデザインは、身の回りに多く見られるものではありますが、日常的になっており、意識しないと見つけることができないという側面もあります。そのためにまずは「調べたいことを見つける」ことが肝心となります。このとき、大切にしたいことは、ユニバーサルデザインに対する興味・関心を引き出すことです。ユニバーサルデザインに対して、「調べてみたい」「他にもあるかな」と主体的に調べることができるように教師の体験などを活用して興味・関心を引き出していきます。
そして、身近なユニバーサルデザインを探すことを通して、なぜそのようなデザインになったのか、どういう配慮が必要なのかなど調べてみないと分からないものを課題にしていきます。
児童は目的や意図に応じて情報収集を行います。選んだユニバーサルデザインそのものに触れ、分かったことや知りたい事柄について詳しい人にインタビューをして情報を得ることも可能です。
また、専門書やインターネットなどから得た情報を基に調べていくことになるでしょう。情報収集の際に適宜、写真や動画、録音などICT端末を活用して情報を蓄積していくことにより、報告する文章を書く段階で生かしていくことができます。
本単元の報告する文章の構成は、実証研究の基礎となる初歩的な構成です。「初め」「中」「終わり」の三部構成で書くようにしていきます。教科書82ページの書き方を活用し、「初め」には調べたきっかけと調べ方、「中」には調べて分かったこと、「終わり」には分かったことをまとめ、自分の考えを書くようにしていきます。また、最後には参考にした資料を記述するように指導しましょう。
本単元は特に「中」の部分で小見出しを立ててまとまりが分かるようにして書くことや、引用は「 」を使用して他の部分と区別して書くと読み手にとって分かりやすい報告になることを理解させることが大切になります。
また、問いと答え(調べたことと分かったこと)がずれていないか確認させることも大切になります。
5. 単元の展開(8時間扱い)
単元名: みんなが使いやすいデザイン
【主な学習活動】
第1時
① みんなが使いやすいように考えられたデザインについて関心をもち、学習課題を設定する。
② 学習計画を立てる。
第2時
① 身の回りのユニバーサルデザインを探す。〈 端末活用(1)〉
② 調べたいことを決める。
第3時
① 情報の調べ方や、メモの取り方について確認する。
② 興味をもったことについて調べて、メモを作っていく。〈 端末活用(2)〉
※インタビュー等を行う場合は課外の時間を活用する。
第4時
① 自分が伝えたいことに照らして、調べた情報を整理する。
第5時
① 報告する文章の組み立てを考える。
② メモを基にして、下書きをする。
第6時
① 下書きを仕上げる。
② 視点に沿ってペアで下書きを読み合い、下書きを修正する。
第7時
① 下書きを見直し、仕上げる。〈 端末活用(3)〉
第8時
① 読み合って、感想を伝え合う。
② 単元の学習を振り返り、今後への生かし方を考える。
6. 全時間の板書例・ワークシート例・端末活用例と指導アイデア

●「主体的な学び」のために
イラスト/横井智美
令和6年度からの国語科新教材を使った授業アイデア、続々公開中です!
